なぜ薬局がコミュニティスペースなんてやってるの?その5
今日で三日坊主じゃなくなりました。書き始めて実感しているのですが、やはり頭の中にあるものを文章にアウトプットすることで、かなり考えが整理出来ていると思います。誰も見ていないと思うのですが、頭の中の整理をすると思って続けていければと思います。笑
毎日不調ばかり言っていたおじいちゃんの変化
前回の記事で、服薬指導をする際に生活背景も聞くようにしてから、元気な高齢者には共通して、趣味やボランティア、仕事、話せる友達などが多かったと書かせてもらったのですが、まさにそれとは真逆のおじいちゃんが患者さんとして私の薬局に来ていました。
薬局の裏に住んでいる方で、当時88歳。奥さんを早くになくし独居生活。囲碁を先生と打つのが趣味だったのですが、先生もご高齢でなくなってからほとんど家から出なくなってしまいました。息子さんはいるのですが、現在も仕事をしており頻繁には会えない状況。
独居生活の寂しさだと思うのですが、そのおじいちゃんは毎日どこかの不調を薬局に言いに来ており、ある日は胃、その次の日は心臓、その次の日は膝といった具合で不調をローテーションさせて薬局に来ていました。
その度に不調の具合を聞いて、励まし、心を落ち着かせて帰ってもらっていたのですが、ある日そのおじいちゃんに大きな変化が起きたのです。
今日は胃の日かな~?なんて思って話そうとしたのですが、こころなしか、いつもより背筋が伸びており、目に力があります。
そして、薬局のカウンターの所まで来て
「わし会社作りたいんやけど、どうしたらええ?」
と言って来ました。
生きがいがあるって大切
全く理解が出来なかったので詳しく話を聞くと、もともと銀行員として支店長まで務め、かなりのやりてだったらしいのですが、自身の病気で早期退職。病気が少し良くなってからは、個人で株を中心とした資産運用をしており、結構な額を稼いだそうです。その後、現在までも手堅い運用を続けて、着実な資産運用をしていたそうなのですが、パソコンが使えないため市場に大きな変動がありそうなときだけ電話で取引していたそうです。
そんな中、つい最近息子さんのお嫁さん(以後娘さんと言います)が証券会社を辞めたそうで、娘さんは金融の知識もあり、パソコンも扱えるので、そのおじいちゃんの資産運用のメソッドと組み合わせれば小さい証券会社が出来る!!と思ったとのことでした。
なかなかぶっ飛んだ話ではあったのですが、今まで不調ばかり言っていた人がここまで元気になっている姿を見て、純粋に応援したい気持ちになりました。その日は、また経過がわかったら教えてくださいと伝えて帰ってもらったのですが、数日後、また背筋が少し曲がった感じで薬局に来て
「娘に断られたわ。。」
と一言。
でしょうね!と喉まで出かかった言葉を飲み込み、慰めていたのですが、先日あそこまで元気になったのに、また元気がなくなっているおじいちゃんを見ていてなんとか出来ないか?と思っていると、ふとアイデアが湧いてきました。
「だったら僕の資産運用のアナリストやってよ!」
と伝えて見た所、まんざらでもない様子
「よっしゃ。それなら明日から教えたる。」
と乗り気になってくれました。それから薬局には不調を言いに来るのではなく、日経平均の値動きや、資産運用の考え方を伝えに来てくれるようになりました。
後日談ですが、現在も(93歳)そのおじいちゃんは健在で、今ではPCの簡単な使い方をレクチャーして、毎日株価のチャートとYou Tubeを家で見ています。株価の値動きを見ていると心が落ち着くそうで。それと、そのおじちゃんの言ったとおり資産運用して、着実な運用も出来てます(笑)
なかなか言語化しにくいのですが、役割というか、何かをしてあげる側になるというか、生きがいというのでしょうか?そういうものがなくなっていた人が、もう一度見つけることが出来ると、ここまで変わるものかと驚いたと同時に、薬だけでなく、そういったものを一緒に見つけたり、作っていくことをサポートする薬局を作って行こうと決めました。
でも。そんな薬局どうしたらつくれるのよ??せっかく良いところまで来ているのに肝心な所がわからない。でも、そんな状態を打破する出会いがあり、一気に思いが形になっていくことになります。
その6へ続く
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