一粒の中に栄養たっぷり。黒ニンニクの秘めたるパワー
今年の夏も強烈な暑さ。外に出た途端、逃げ場のない暑さが容赦なく襲ってきて、まるでオーブンで焼かれているかのような状態です。40度を超える地域もあり、こんな異常ともいえる暑さが毎日続くと本当うんざりしてしまいますよね。ちょっと動いただけで汗だくになり、すぐにばててしまうという方もいるかと思います。そこで、今回はこの夏を乗り切るためにぜひお薦めしたい食材を紹介したいと思います。
●黒さ際立つ塊の正体とは
今回ご紹介したい食材はこちら。
かなりインパクトのある見た目をしていますが、これは何かというと元はスーパーなどに置いてあるいたって普通の白いニンニクです。ニンニクを高い温度を保ったまま適切な管理の下で熟成させることによって、このような黒いニンニクになるのです。もちろん化学調味料や添加物を使っているわけではありません。自然の作用だけでここまで変化しているのです。
●熟成することで生まれる果実のような甘味
黒々としたこのニンニクを見て、食べれるの?食べて大丈夫?なんて思う人もいるでしょう。しかしこの黒ニンニク、その見た目からは想像もつかないような濃密な甘さがこの一粒の中に詰まっているのです。それはまさに果実を思わせるような甘味で「え、これがあのニンニク!?」と初めて食べた時は驚いたほどです。食感はしっとりと柔らかで、にんにく特有の刺激臭や辛味もほとんどなく、そのままでも美味しく食べることができます。ニンニクの匂いが気になるということで食べるのを避けている人もいるかと思いますが、この黒ニンニクでしたら一度試しに食べてみる価値大いにありだと思います。
●黒にんにくになることで栄養価が大幅アップ
黒ニンニクは色が単純に黒く変化しただけではありません。見えない部分でも驚くべき変化が起こっているのです。それはニンニクに含まれる栄養成分の含有量の変化です。特に注目したいのは、アルギニン、ポリフェノール、S-アリルシステインといった疲労回復やアンチエイジングなどに力を発揮する栄養素が普通のニンニクよりも大幅に増加していることです。
・アルギニン
アルギニンはアミノ酸の一種で、成長ホルモンの合成や筋肉組織の強化を促進したり、疲労回復を助けたりする作用などがあります。栄養ドリンクやサプリに使われる成分の代表的な種類の一つ。そのほか、免疫力の向上にも関わっている成分なので、健康を維持する上で大きな役割を果たしてくれます。
・ポリフェノール
身体を構成する細胞の老化を防ぐ抗酸化物質として、ワインやチョコレートに含まれていてよく耳にする成分だと思います。いつまでも若々しい身体を維持するのに大変有効です。黒ニンニクになると、通常のニンニクよりもポリフェノールは数十倍と劇的に増えることがわかっています。
・S-アリルシステイン
ポリフェノール同様に抗酸化作用があり老化の原因である活性酸素を除去する働きがあります。また、血液循環の促進や血管の健康維持にも寄与し、血液をさらさらにしてくれるなどの嬉しい働きも。がんの発生や進行を抑制する作用もあることが分かり注目度の高い成分です。
上記のように黒ニンニクについて知れば知るほど、疲労回復や細胞の老化防止、血管の健康維持などに役立つとあって、ここまで健康効果の高いものだとは思わずでした。すごいぞ、黒ニンニク。
●黒さは熟成されて旨味が凝縮された証
なぜこのように黒くなるのかというと、加熱や熟成によって引き起こされるメイラード反応というものが関係しています。メイラード反応とは、食品に含まれるタンパク質と糖分が熱に反応し、メライジンという物質が生成されて食品の色が褐色になる現象のことをいいます。それによって、食材の旨味や香ばしさがが際立ち、より美味しい進化を遂げるのです。美味しそうに焼けたホットケーキや食パン、味噌・醤油などの発酵食品もこの反応によって色が茶系のものになっています。
●料理に使うことで美味しさが倍増
もちろんそのまま食べても美味しい黒ニンニクですが、料理にアクセントとして使うのもお薦め。リンゴを思わせるような優しい甘さと酸味があるので、キーマカレーを作ったときに隠し味として入れてみました。黒ニンニクの風味を活かすように、すりつぶしてペースト状にしたものを出来上がりの直前に具材に混ぜ込んでいます。
黒ニンニクの甘さはカレーとの相性抜群。玉ねぎの溶け込んだ優しい甘みと合わさって、主張もするけどでもどこか控えめでもある、そんな奥深い甘さです。その甘さと肉の旨味が調和し、うまさのレベルはもう最高潮です。「待て」のできない誘惑カレー。ご飯をいつも以上に食べてしまう美味しさでした。
また別の日には豚肉のソテーを作ったので、黒ニンニクと生姜を合わせたタレをかけて仕上げました。
黒ニンニクと生姜のソースの作り方は簡単。黒ニンニクと生姜をみじん切りにして、お酢(大さじ2)、醤油(大さじ2)、砂糖(大さじ1)、豆板醤(小さじ1)を合わせてかき混ぜるだけです。お酢が入ることで、タレはさっぱりとした味わいに。辛さが大丈夫な人は豆板醤を多めにいれて辛味を足すとまた違う美味しさになるのではと思います。
フライパンで肉を焼いて、焼き目がついてきたら、最後にこのタレを肉に三分の二ほどかけて味付けしていきます。しゅわーと勢いよくフライパンから立ち上る煙はたまらなく良い匂い。嗅覚が反応した途端に胃袋が早く食べさせろとわめき始めます。
皿に盛り付けて、仕上げに残りのタレを上からかけたら完成です。ニンニクと生姜の風味がお肉の旨味を引き立て、甘じょっぱいタレが染みた豚肉はジューシーで柔らか。さらにお酢の酸味が心地よく、もう箸が止まらない美味しさ!この元気の源であるニンニクと生姜はやはり間違いのない最強コンビですね。
このタレは作りおきして常備しておきたいくらいです。牛肉や鶏肉でも合うし、サラダなどにドレッシング代わりに使うのも良いなと。
●黒ニンニクは夏バテ対策に有効的
弱ってるときや夏バテを感じているときこそしっかりと食事をとって、力をつけたいものです。食べないことには力を発揮することもできませよね。しかしこうも暑かったりすると食欲がわかないといった時もあるかと思います。そんな時、この黒ニンニクであれば、味わいも普通のニンニクのような刺激が全面にでてくる感じはありませんので様々な料理に活用できますし、その風味が食欲を刺激、増進してくれます。
疲労回復やアンチエイジング、血流改善など人間が健康的で快適な生活を送る上で計り知れないポテンシャルを秘めた黒ニンニク。まさに良いことづくめです。今では黒ニンニクを扱っているお店も増えていますので、簡単に手に入れることが可能です。この夏の暑さを能動的に乗り切るべく、黒ニンニクを食べて元気を養っていきましょう!スタミナと元気があればとりあえず何だってできるはずです。