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【徹底比較】オーストラリアと日本のマゴチ釣りの違い ─ 浅場攻略・ルアー選び・サイズ規制までまるわかり

「マゴチを追い求め、世界を股にかけて――。」
そんなフレーズがぴったりなオーストラリアと日本のマゴチ釣り。しかし、同じ“マゴチ”という魚をターゲットにしていても、実際の釣りスタイルや狙うポイント、レギュレーションなどは驚くほど違いがあります。本記事では、マゴチハンターである私の体験と知見をもとに、「オーストラリアのマゴチ釣り」と「日本のマゴチ釣り」の違いをじっくり掘り下げてみましょう。


1. ポイントの違いと水深

日本のマゴチ釣り

日本のマゴチは、主に沿岸の砂地を中心に狙われます。夏のハイシーズンには比較的浅場(1~5m)で釣れることが多い一方、秋や冬になるとやや深場(10m以上)へと移動します。船釣りでは東京湾のような内湾部で3~15m程度を狙うこともしばしば。なかには20m前後を攻めるケースもあるため、広い水深レンジをカバーする必要があります。

また、サーフや堤防から狙う陸っぱりの釣りでは、数メートル程度の浅場でヒットするケースも多いです。波打ち際から少し離れたわずか1~2mの底付近に潜んでいることも珍しくありません。
「こんな浅場にいるの?」と驚くほど岸際でヒットするのが、日本のマゴチ釣りの面白さでもあります。

オーストラリアのマゴチ釣り

一方、オーストラリアのマゴチ釣りは、信じられないほど浅い“ドシャロー”の世界をメインにしています。場所や季節にもよりますが、0.5m~1.5mほどの水深で狙うケースが非常に多く、船がギリギリ入れるかどうかというほどの浅場で釣りを成立させてしまいます。船長によっては「4m~7mはディープだね」と言うくらい、彼らにとって3~4mを超える水深は「深場」に相当することさえあるのです。

土砂質の底が広がる浅場では、トップウォーターやジャークベイトなど、意外なルアーでマゴチが飛び出すことも少なくありません。実際、トップに出てくるマゴチをサイトで釣る光景は、日本のアングラーにとって新鮮かつ刺激的なはず。浅場ゆえに水面を割ってくる瞬間は迫力満点です。


2. タックル・ルアーの違い

日本の定番スタイル

日本のマゴチ狙いでは、メインとなるのはジグヘッド+ソフトルアー(ワーム)の組み合わせや、メタルバイブ、ミノー、バイブレーションなど。特に船釣りの場合、14~35g程度のジグヘッドを使うことが多いです。サーフや堤防であれば、遠投性能を重視してバイブレーションやメタルジグを用いるアングラーも少なくありません。

ワームのカラーとしては、ピンクやチャート、クリア系などが人気。ベイトの種類や水質によってはグロー(蓄光)カラーや茶系も有効ですが、「とりあえず迷ったら赤金」は日本のマゴチ釣りの“お約束”とも言えます。

オーストラリアのユニークなルアー選択

オーストラリアのドシャローでは、軽量ジグヘッドやフローティング系、トップウォーターなど、まるでブラックバスを狙うかのようなバリエーション豊富なルアーを操ります。ワームのサイズも大きめを好む傾向が強く、特にホワイトやアイボリー系のカラーの使用頻度が高いのが特徴です。狙う水深が浅く、ルアーが着底してからのアクションが日本と比べてよりスローになるため、軽量かつ大きめワームで存在感をアピールしつつもゆっくり見せる、というスタイルが定着しています。

また、甲殻類を模したエビ系ワームも大人気。日本でもエサ釣りではエビを使用することが多く、「マゴチ=甲殻類好き」というのは万国共通のようです。これはベイトの生態や砂底に生息するエビ類が豊富なためと考えられます。


3. サイズへのこだわりと釣りの目的

日本:本数勝負の傾向

日本では60cmを超えると「マーゴン」などと呼ばれ、それを釣り上げるとかなり盛り上がりますが、基本的には型狙いだけでなく「何本釣れたか」を重視する人も多いです。大会や船上でも「今日何本釣った?」という会話がしばしば交わされ、数釣りへの楽しみも大きいのが日本流といえるでしょう。

オーストラリア:ビッグサイズ狙い

オーストラリアのアングラーは、「80cm以上のクロコ(クロコダイルの略称)」を狙うことに情熱を注ぎがちです。80cm超えになれば「ビッグワン!」と大盛り上がり。小型サイズがいくら釣れてもあまり自慢せず、「大物を一本仕留める」ことを何よりも重視する風潮があります。
そのため、タックルやルアーも大型で強めのものを選び、ドシャローでモンスター級のマゴチと真っ向勝負する場面も。これは「大物を仕留める醍醐味」を心から楽しむオーストラリアならではの釣り文化でしょう。


4. レギュレーションとリリース文化

オーストラリアの厳格な規定

オーストラリアでは、マゴチを含むさまざまな魚種に対して「最小サイズ」や「バックリミット(持ち帰り可能数)」が明確に定められています。州ごとに異なるものの、たとえば36cm未満と70cm以上のマゴチはリリースするなど、ルールがきっちり整備されているのが特徴です。
一部地域ではキープできる本数が5匹までなど、環境保護と資源維持の意識が非常に高く、釣り人一人ひとりが規定を守りながら釣りを楽しんでいます。

日本の現状

日本には全国統一のマゴチ釣りサイズ規制やバックリミットがなく、各都道府県が定める最低サイズや自主的に設定されている程度。マゴチに関しては「好きな数だけ持ち帰れる」という場所がほとんどです。リリースに関しても、釣り人それぞれのモラルや自主判断に任されているため、オーストラリアのような厳格な規定がないことに戸惑う海外アングラーも多いです。今後は資源保護の観点から、何らかのルールが整備される可能性もあります。


5. 求められる釣りのスキルと楽しみ方

テクニカルなアプローチが必要なオーストラリア

オーストラリアのドシャローでは、トップウォーターやジャークベイトなど多彩なルアーアプローチが求められるほか、水深が極端に浅いゆえにすぐルアーが着底してしまいます。スローに誘うテクニックやシャローエリア特有の攻め方、さらにはバス釣りで培った技術などが非常に活きる場面も多く、「日本のマゴチ釣り経験=すぐに通用」というわけにはいかない難しさがあります。

広い水深レンジをカバーする日本

日本のマゴチ釣りは、船で狙う場合は比較的広い水深レンジをカバーすることが必要です。底質や潮の流れも含め、場所によってはかなり深場を攻めることもあるので、重めのジグヘッドやメタルジグ、キャロライナリグなど、多様な仕掛けやタックルセッティングを活かす柔軟性が求められます。サーフでは遠投力とルアーコントロールが重要になるなど、いろいろなアプローチを試せる自由度の高さが魅力です。


6. まとめ

オーストラリアのマゴチ釣りと日本のマゴチ釣りを比べると、以下のような違いが浮かび上がってきます。

  1. ポイントと水深

    • 日本:1~5mのシャローから20m超えのディープまで幅広くカバー。

    • オーストラリア:0.5~1.5mのドシャロー中心で、4~7mでも「ディープ扱い」。

  2. タックル・ルアー

    • 日本:ジグヘッド+ワームやメタルジグ、バイブレーションが定番。ピンクやチャートなどのカラーが人気。赤金が定番。

    • オーストラリア:軽量ジグヘッドやトップウォーター、ジャークベイトなどバス釣り的アプローチも多用。ホワイト系や甲殻類系ワームが大活躍。

  3. 釣りの目的・サイズへのこだわり

    • 日本:本数を重視する傾向があり、60cm超えで“マーゴン”と喜ぶ。

    • オーストラリア:80cm超えの“クロコ”狙いが主流。とにかく大物志向。

  4. レギュレーションやリリース文化

    • 日本:全国規模での厳しい規定はなく、各地域の自主規制。

    • オーストラリア:州単位でキーパーサイズやバックリミットなどが明確に定められている。

  5. 求められる釣りスキル

    • 日本:多彩な水深と底質を把握し、タックルやリグを使い分ける柔軟性。

    • オーストラリア:超浅場でのテクニカルなアプローチやビッグベイトへの対応力。

どちらが優れている・釣りやすいという話ではなく、地域ごとに異なる条件を最大限に活かしながらマゴチという同じ魚を狙う楽しみ方がそれぞれにある、ということです。日本からオーストラリアへ遠征すると「こんな浅いところで狙うのか!」と驚き、逆にオーストラリアのアングラーが日本へ来れば「ここまで深いポイントを探るのか」と驚く――そんな文化の違いを楽しめるのも、マゴチ釣りの大きな魅力ではないでしょうか。

もし機会があれば、オーストラリアへ“クロコ”ハントに挑んでみるのも面白いですし、日本各地のサーフや船釣りで手軽にマゴチを狙ってみるのも最高に楽しい選択肢です。どちらにしても、大物のパワフルな引きは病みつきになること請け合い。皆さんもぜひ、次回の釣行プランに「マゴチ釣り」を加えてみてください。

私もまだまだ“世界のマゴチ”を追いかけます。いつかどこかの浅場や深場で、あなたと一緒にビッグマゴチとの対決を楽しめる日を心待ちにしています。

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