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セレブな同級生のメモリアルアーチ

さあ、久しぶりの「メンドくさ言葉デカ」がやってきたよ!
また変な言葉を斬っていくよ!

今まで何度か気になる言葉を取り上げては糾弾してきました。
今回吊るし上げる言葉は3つだけです。
2つは英語です。
英語の堪能な人にとっては、何を今さらかもしれませんが、英語に堪能でない人はこれを機に勉強しましょうね。相変わらずの言い草だ。

メモリアル
「記念すべき」と訳せるからか、めでたく祝福したいことに対して使われるようです。
「開業20周年のメモリアルなこの日に・・・」
「通算500号のメモリアルアーチを打ちました!」
しかし本来の英語にはめでたい意味はありません。
「メモリアルアーチ」と聞くと、英語話者は「誰か死んだのか?」と聞きたくなるそうです。
なんだかあまり祝福していないどころか、縁起が悪いのです。

アメリカの祝日に「メモリアルデイ」というものがあります。
戦没者追悼記念日です。
つまり「メモリアル」は「追悼」つまり「記憶にとどめておくべき」という意味なのです。
なので死んだ人を思い出し悼む時に使われ、あまりめでたくはないのですね。

昔いた会社には「メモリアルウィーク」というものがありました。
会社の創業者が没したのが4月27日で、そのあたりの週を「メモリアルウィーク」と称して何やら行事をおこなっていました。
正しく分かってる例です。あの会社にしては珍しく。

セレブ(セレブレティ)
「あの人はセレブ」「セレブな1日をすごした」みたいに、お金持ちや、ちょっと贅沢な生活などに使われます。
しかし本当の意味は「有名人」です。
ニュアンスとしては「成功した有名人」「名声を博した有名人」です。
成功すると大抵はリッチになるので間違われたのでしょう。
まだ和製英語のリストには入っていないようですが、近々入ってくる予備軍でしょうね。

同級生
近所に同い年の人がいて、町内会か何かの寄り合いの時に、年上の人から、
「君らは小学校の同級生やったな」
と言われたことがありました。
我々は顔を合わせて「同じクラスになったことはないよな」と言ったのです。

そう。
同級生とは、クラスメイトのことです。
「級」とは「クラス」です。
学級会の級ですね。
同じ学校の同学年であったとしても、同”級”生とは限らない。
しかし時々、スポーツなどで「同級生対決」というフレーズを聞きます。
いやいや、それは同学年やん、それぞれ大阪桐蔭高校と花巻東高校出身で、同じクラスなわけないやん、とモヤモヤしてしまいます。
どうも、同級生と同学年が混同して使われているようです。

しかし先日あることに気づきました。
8つのタイトルがあって、2人で向かい合って互い互いがたまにちょこっと木片を動かす競技がありますね。
その8タイトルを独占していた、ものすごく強い人が先日タイトルの1つを落としてしまいました。
その時に気づいてしまったのです。
誰も彼らの対戦を「同級生対決」とは言わなかった。
2人は同い年、同学年でしたが、どのメディアも「同級生対決」というフレーズは使わず、正しく「同学年対決」と称しました。

なぜ突然、「同級生対決」は言わなくなったのか。
ボクの見ている限り、それまでメディアは2回に1回は間違った「同級生」を使っていました。
最近政府による、「同級生」と「同学年」を区別して使いましょう、という官報か通達があったのでしょうか。
聞いていません。

さあ、ここからがようやくこの記事の本題です。
ボクが気になる言葉をただ単に吊し上げているだけとお思いでしょうか。
「メモリアル」「セレブ」「同級生」などは、それぞれを検索すれば、意味が誤用されている例として昔から頻出しています。
何を今さらの誰もが書くような記事を、このボクが書くとでも?
深遠な狙いがあったのですよ。深遠て自分で言うのです。

これらの言葉は、おそらくスポーツ新聞から出てきた言葉じゃないかと思ったのです。
ね。そんな言及はどこにもないでしょう。
言いたいのは、スポーツジャーナリズムのちょっとズレた言語感覚なのです。

記念すべきの「メモリアル」は、スポーツにありがちです。
100勝だ、200号だ、1000試合出場だ、何かキリが良ければスポーツ新聞は派手に修飾したくてしかたがないのです。
本当によく目にします。よく聞きます。
誕生日に100号本塁打を打てば、「メモリアルデイのメモリアルアーチです!」と恥ずかしげもなく言い放ったりします。
(ホームランをアーチと言うのも何だかなあ、ですが)

さて「セレブ」はスポーツに関係なさそうですが、スポーツ新聞には芸能欄があります。
海外のハリウッドスターのゴシップ記事も扱うでしょう。
原文記事には「セレブレティ」という文字が何度も登場していたはずです。
いつの間にかそのまま取り入れ、「ハリウッドセレブレティの豪奢な生活」→「ハリウッドスターのセレブな生活」みたいな表現も使ったかもしれません。
そうやってどんどん「セレブ=リッチ」が日常に浸透していったことでしょう。

そして「同級生」。
フレッシュな若手同士の対決で、同学年の組み合わせになると「同級生対決」というフレーズを何度聞いたことか。
特にプロ野球で顕著です。

しかし今回の、たまにちょこっと木片を動かす競技においては「同学年対決」と表現されました。この違いは何か。
おそらく記者の違いでしょう。
一方はスポーツ新聞の記者、もう一方は一般紙の記者です。
スポーツ新聞にもその競技のニュースは載りますが、たまの大一番くらいです。
一般紙は毎日載せていて専門記者がいます。
というか、どの新聞もタイトルをスポンサードしているほどです。
名人なら朝日、竜王なら読売といった具合ですね。
もしかしたら、この「同学年対決」が毎回盛り上がりを見せたら、「同級生対決」という言葉は駆逐されるかもしれませんね。

さて、これではまるでスポーツ新聞の記者の程度、教養レベルが低いって言っているようなものです。
まあ、まさしく言ってるんですけど。
昔、実際スポーツ紙に取材されて適当な記事を書かれたことがあって、程度が高いとは思えないのです。
一般紙の記者もどうかと思いますが。

まあそれはともかく、いまだに「アベック」という用語を平気で使っているのがスポーツ新聞なのですね。
「カップル」が意味の、今や死語になった「アベック」を恥ずかしげもなく表現してしまう世界なのです。
「大山選手と佐藤選手のアベックホームランでタイガースの快勝!」なんて臆面もなく書きますから。
うーん、今年はそんな試合、ありそうもないけどなあ。それではまた。


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