相原コージ『うつ病になってマンガが描けなくなりました(退院編)』
6月25日
相原コージ『うつ病になってマンガが描けなくなりました(退院編)』読了。
作者のうつ病体験を綴った実録エッセイ漫画のシリーズ完結編。
前作から快方に向かっていた病状が、日を追うごとに良くなっているのが伝わってくる。はじめての外出許可をもらい、迎えにきた奥さんが1ページ丸ごと使って描かれる場面は、つい涙ぐんだ。
抗うつ剤の副作用による便秘で下剤を服用している影響から、家族と会食している間も、急に便意に襲われたら、トイレが使用中で漏らしてしまったら、と不安に苛まれていて食事が楽しめなかったという描写がすごくリアル。
「閉鎖病棟がいかに安全で守られていて不安を感じずに済む空間かってこともでもあるよな〜」という著者の感慨は、読みながら不謹慎にも閉鎖病棟での生活にすこしだけ憧れをおぼえてしまった自分には、とてもよくわかる。実際にうつの真っ只中にいたらそれどころではないのだろうけど。
そして、『第36話 エピローグ』と題された最終回。ショッキングな内容だけど、これが現実なのだろう。まるで伏線を張っていたかのようなタイトルにつながる終わり方にうめいた。
マンガはこれで完結しても、作者自身の生活はこれからも続いていくのだし、生きている以上、うつと折り合いをつけていく必要があるのだろう。それでもやっぱり、好きな人には生きていてほしい。どんな形であっても。