百味エッセイ1 チョコミント
チョコミント、ミントチョコ。上下はいずれであろうとこれを毛嫌いする人がいる。
いろんなきらいな食べ物がある人と出会ってきた人生だが、チョコミントが嫌いな人は大抵に過激派だ。あんなもの、食べ物じゃない。歯磨き粉の味がする、だの。声高くして主張する傾向にあると思う。私の周りのチョコミント嫌いがそうであっただけかもしれないが、この論争の彼らの主張には眉をひそめるものがある。ほかの食べ物が嫌いな人だって、そんなにその嫌いな食べ物がいかに嫌いであるか、綿密に説明なんて試みない。だが奴らは別だ。こちらに構わず、それがいかに食べ物らしからず、己の口に合わず、そしてその感性こそが正しいのだと主張してくる。全くの言語道断だ。
もうここまで読めばお気づきだろうが、私はチョコミント大好きである。特にチョコミントのアイス。あれが一等好きで、大抵それが選択しにあれば真っ先に選ぶ。ファミマのざくざくチョコミントアイスなんてもう最高だ。ミントとチョコのバランスが完璧にわたし好みだ。私の好みはと言えば、きつすぎることなくしっかりとしたミントと、それに釣り合うカカオのしっかりした甘いチョコチップがたっぷり入っているものである。
チョコミントは食べる前から楽しい。青みがかった緑と深い茶色の組み合わせはどこか外国の紳士を思わせ、それでいて堅苦しすぎず、ユニークながらも高貴な気持ちをスプーンを持つこちらに構えさせてくれる。
アイスでない、ミントチョコも非常にいい。カルディに売ってあるアンデスやアフターエイトなんかも最高だ。甘さと苦み、まろやかなそれらにミントがすうっと爽やかさをもたらす。二粒でお茶の時間は完成する。珈琲にも合うし、言わずもがな、お茶にも合う。私は体質上飲めないが、お酒にもきっと合うのだろう。香り高いそれらと、ミントチョコは意外にも喧嘩をしない。先に含んだチョコとミントの香りが珈琲の香ばしさに立ち替わるのはなんどしても面白い。鼻腔のなかで入れ替わるのは一瞬で、軽やかで、ふわりと浮いた感覚に深く流し込まれる珈琲の重厚さは一種やめられない快感さえある。
私がチョコミントとであったのはいつだろう。もう思い出せもしないが、5歳の頃、イギリスに住んでいた。そのときにはもう確実に食べていて、好物と成り果てていた。アンデスもアフターエイトも出会いはイギリスだ。まず母が大のミントチョコファンだったことで家にもたらされた。そして遺伝子のなせる技か、ませたがきんちょだったのか、アフターエイト、なんて夜八時以降のお楽しみ的な大人ニュアンスの含まれるビターなチョコレートも喜んで食べていた。チョコのビターが鋭い分、なかのミントシロップもきつめに作られている、が、ソレが美味しい。
ちなみにアンデスは茶色いチョコが多い方が好みです。(アンデスは茶色いチョコとミント色のチョコで構成されていて、含有率の違う二種類がある)
と、まぁ、とにかく、チョコミントはおいしい。
それが語りたかった。
わたしは嫌いな人に無理に食べさせようとはしないし、その良さを語って理詰めでわからせようなんてしない。味覚は感覚だ。
(私の周りにいる一部の)チョコミント嫌いへ。
これ以上無駄な論争はやめよう。
ただもし、いままで食わず嫌いでチョコミント食べてこなかったあなた。この文章で一度チャレンジしてみてくれたら幸いだ。きっと天国が観られるぜ(ウインク☆)