記事一覧
No.9 19歳の夏
『19歳の夏』
雨が降る台北の街
息が詰まりそうな異国の午後に
僕たちは狭い部屋から外を眺める
燻んだ小さなビル群が曇天を支え
朱色のカーテンに彩られたこの窓辺で
静かな映画の音だけが二人の緊張を代弁していた
雨の止んだ17時
出掛けたいと言ってリップを塗った彼女につられ
じっとり汗をかくような 八月の二週目
日の沈んだ小さな繁華街
アイアンブルーの夜風に吹かれて
僕たちは 若い胸の高鳴り
No.8 甘い葉の記憶
『甘い葉の記憶』
美しさが問題視された昼下がり
彼女は妖しく髪を掻き上げ
大胆不敵に二度回った
私は8年前の駅のホームに降り立ち
出会った日の夕景に手を翳す
オレンジ色の泡となって消えていく彼女
予告の無い南風が 私から涙を奪う
#詩
No.7 神でもない
同じ空を飛ぶのはいいけれど、お互いの翼を捕えてはならない。
浮気について
浮気しないことを相手に求めることって、すごく「甘え」な気がしています。
恋人って、自分の保護者じゃないし、神様でもなければ牧師さまでもない。
ただ自分の人生を、一番高い頻度で支えてくれる人だと思う。
それでもただの一人の人間だし、私と合同ではない自分自身の人生を持った、一人の人。
「恋人として寄り添い合うもの同士は
No.6 死について
『死について』2019年9月
眠りと死は似ている
だから夢から覚めたときは少し悲しい
まだ人生の途中だったね
この心地よさが死ではなく
小さな眠りだったなんて
ひとつぶの涙
霞んで遠ざかる さっきまでの場所
現実的にはアンバランスな夜空
また安らかな時間に戻るまで
暗い部屋を照らして
一杯の水で喉を潤して
死のときまでは
#詩 #死
No.5 あなたを好きになることが
『あなたを好きになることが』2019年春頃
あなたを好きになることが
桜並木の下で
新しい家にときめき
新しい風にときめき
新しい声にときめくことであるならば
私はあなたを想って 花になりたい
あなたを好きになることが
青い潮風の前で
大きな船におどろき
大きな雲におどろき
大きな手におどろくことであるならば
私はあなたを追って 鳥になりたい
あなたを好きになることが
金木犀の香の中で
No.1 わたしのおもちゃ箱へ
7月14日深夜
書きたいことは山ほど溢れる。覚書や詩、そして不完全な戯曲の多くは書き貯めていても光浴びず。あとはSNSで日常の感動や、作品批評、社会批評を無い頭なりに表現していたかも。
正直とても無造作で無意識的で粗雑な癖のようだった。それは見つけた蝶を虫籠に入れ続けるように。それとも見つけた宝物をおもちゃ箱に投げ入れていくように。
ところで、それをなんとなくnoteにしてみようかなと思っ