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「刀と手裏剣、使うならどっち」
「手裏剣かなぁ」
「えっ予想外」
「俺、刀振り回せるほど体力ない」
「そういうことじゃなくてサァ」
「なに、ロマンの話してる?」
「そう! ロマンの話!」
「じゃあ手裏剣かな」
「なんでやぁ」
「いや、トリッキーな武器っていいじゃん。あと忍者。いいじゃん」
「納得したわ」
「意図は?」
「糸?」
「多分違うな、その質問はなんのための質問だ?」
「俺とお前が将来宿敵になって戦う際に事前に武器を知ってれば対策立てられると思って」
「俺とお前って宿敵になるの?」
「あり得ないとも言えない」
「あ、そう。てかだったら最初の理由で十分じゃない?」
「最初の理由だったらお前今後俺を敵視して体鍛えて刀に寝返る可能性あるだろ」
「あるかなぁ」
「反面、人間はロマンにはそうそう逆らえない」
「でも俺、お前に勝つためなら嘘つくよ」
「マジ? 今からもうその布石打ってるってこと?」
「まぁお前は俺の宿敵にならないだろうけど」
「なんでそう言い切れる?」
「宿敵にはしないからかな」
「……なんだかこれも布石に思えてきたな」
「お前の勝手な思い込みに付き合うのも疲れてきたな」
「お、敵視か!?」
「想像力の上でお前は無敵だな」
「つまり俺の勝ち?」
「ま、それでいいんじゃないの。もう刀とか手裏剣とか関係ないけど」
「釈然としないな」
「釈然としないならこれからも戦うしかないんじゃない?」
「えっ俺勝ったのに?」
「お前は勝ちを認めたいの? 認めたくないの?」
「勝敗がはっきりしたら認める」
「認めたそのあとは?」
「さぁ、俺から戦いを挑むんじゃないの」
「なんだよ終わらないじゃん」
「終わらないだろ、今日まで終わってないんだし」
「たしかに」
「ところで俺がお前を敵視する可能性があるんならお前が俺を敵視する可能性もあると思うんだけど」
「それはねぇでしょ、お前優しいし」
「さーて何を言ってんのかわかんなくなってきたぞ」
「俺はキレないけどお前はいつかキレるからな〜」
「あ、そういうこと」
「家宝の手裏剣を持ち出してくるんだよ」
「俺の家、いつから伊賀の国になったんだ」
「だったらいいなのロマンだよ」
「だったらいいなのロマンねぇ」

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