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「大江戸ミルキーシスターズ」
「ご当地アイドル?」
「無いんだよそんなの」
「え、こわ。なに」
「アイドルっぽいじゃん。アイドルっぽくないにしても、なんらかのアニメっぽいじゃん」
「うん。でも無いんだよね」
「無い。そんなものは」
「こわいこわい」
「てことでさ、作ろうぜ。俺らの大江戸ミルキーシスターズ」
「えぇ〜〜〜ロゴが温泉マーク」
「ノリノリじゃん。大江戸温泉かよ」
「でもシンプルで伝わりやすいコンセプトって大事でしょ」
「大事。でもミルキー要素どうするの」
「『名物! 乳白色風呂』でしょうよ」
「でしょうよ、と言われても。温泉に振りすぎてない?」
「大江戸から入っちゃったらもう温泉に喰われる運命なんだと思うよ」
「思いつきで生まれた言葉が温泉に喰われた」
「シスターズだし幅広い年齢層が必要だよね」
「発案者よりも真面目に考えるのやめよ?」
「ま〜でもキャラで売ってくのはもう打ち止めなところあるのかな。歌じゃなくて温泉紹介で売ってくか」
「大事な地盤が崩れてしまった。方向性迷子だな」
「大江戸温泉非公認だし」
「非公認なの?」
「勝手に温泉真っ白にしてPV撮るから要注意アイドルに指定されてる」
「営業妨害もいいところだな。どんどん俺が描いていた大江戸ミルキーシスターズから離れていく」
「ちなみにお前のエドミルは?」
「エドミルって略すんだ。シスターズだし大人数」
「ほうほう」
「江戸っ子」
「それでそれで?」
「以上」
「でも居ないんだもんな」
「うん。釈然としないわお前にこの話畳まれるの」