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「3分クッキングってあるじゃん」
「よくあるね、そこらへんに」
「あれ? 俺が知ってる3分クッキングの話? それ」
「ボケです。本題どうぞ」
「あれのさ、『こちらが温めたものになります』はさ、ズルよな」
「……そうだね」
「3分に収めるために悪魔に魂を売って得た魔術だからなあれ」
「まぁどう考えても3分じゃできないよな、なんかロールキャベツのなんとか蒸しみたいなのとか」
「そもそも材料を切ったりするので3分使うし、時間の感覚が狂ってんだよな」
「でも俺らにできることは何もないな」
「そこなんだよ。俺らは魔術を見過ごすことしかできないわけ」
「見えた。魔術って言い回しが気に入ったからこの話してるな?」
「いつの世も、不可思議に対抗しうるのはパワーですよ」
「と言いますと」
「3分間で弁当作って持ってこようぜ、明日」
「あ〜〜〜〜〜、そういう流れになるのね」
「ちゃんと3分で作ってる様子を動画に収めるんだぞ」
「え〜〜? 急に弁当作るっつってキッチン貸してくれるかな母さん」
「パワーでいけ」
「できるかんなこと」

〜次の日〜

『と、いうわけでぶつ切りキャベツの雑炒め完成です』
「……現物がこれです」
「いや、よく3分で頑張ったと思うよ。俺は称賛を送るよ。それに比べたら俺なんか……」
「え、ちょ、いやめちゃくちゃちゃんと弁当じゃん! 料理したことないの嘘だろ」
「母親の知識を嘗めちゃいけないよ」
「だとしても飲み込みがよすぎる。はやく動画見せてくれ。どうやったら3分でこんな……」
『……で、炒めたウインナーがこちらになります。あとは詰めれば完成』
「薄々感づいてはいたけども!! 堂々とそんなことやってくるのか!! お前はぁ!」


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