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「この前読んでた本にさ」
「うん」
「『プールが終わった後の国語みたいな眠たさ』って表現があって」
「んおー」
「めちゃくちゃわかる! ってなりたいのにうちにはプールがない」
「ないなぁ」
「俺、初めてこの高校に絶望したよ」
「独特な引き金だな」
「中学にはあったじゃん? だから俺は中学の頃を思い出さなきゃいけないわけだよ」
「まぁそうなるかぁ」
「今せっかく高校生なのに、作品の中の高校生がそう言ってるのに、それを理解するのにタイムラグが生じる。それっておかしなことだと思いませんか!?」
「珍しい熱量が今全て俺の顔面にきてるきてるきてる! 暑苦しい!」
「てことで俺は、この学校に、今すぐ、水泳の授業を組み込むことを要求する」
「無理だよ、この前目安箱にそれ書いて入れたら晒し者にされて『そういうのは無理です』って言われたもん」
「リテラシーどうなってんだよ」
「あれは『学校をプールや動物園といったこの世のエンタメを全て詰め込んだ複合施設にしてはどうか』って送ったからなんだけど」
「間違っても俺の願望と一緒にするんじゃない。晒し者も頷けるわ」
「まぁそれは冗談」
「なんだよよかった」
「晒し者じゃなくてちゃんと先生に呼ばれて注意された」
「あれ送ったのはマジなのか、飛ばしてんなお前。っていうか投書に名前書いたのか、飛ばしまくってんなお前」
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