Review#7:If an Octopus could Palm (Dan & Dave Buck)
"If an Octopus could palm"は、カーディストリー界のスター Dan and Dave Buck兄弟による、パームに特化した技法集です。「もし、タコがパームできたら…」という、高校で習った仮定法を用いた表現がタイトルというおしゃれな本。見た目もおしゃれ。
最近、スペイン由来の理論や創作論が含まれたヘビーな本ばかり読んでいたこともあり、脳よりも手を動かせるもので薄めの本があるかな、と書架をぼーっと眺めていたら、この本が目に入りました。
本書は、約80ページと短めで、文字が少ない!余白が多い!ということで読みました。これ買ったの、私が米国留学中だった気がするので、10年以上積んでいることに…なんと…。それゆえに私の手元にあるのは初版本でして、青い表紙のものです。かっこよいので非常に所有欲が満たされます。なお、残念ながら特製デックは所持していません。今あのデック、とんでもない価格になってるらしいですね。もっと早く買っておけばよかった。
インスピレーションを与えてくれるアイデア集でした
Dan & Daveからの発売、というだけで難易度はお察しの通り、基本ムズいです。また、有用かどうか、という視点で技法はセレクトされていません。本の中でも書いてありますが、アイデア集、インスピレーションを与えるためのセレクションだ、とのこと。なお、Derek DelGaudioのものなど、他の人の技法も紹介されています。
ちなみに、最後に推薦図書の一覧がありましたが、Erdnaseのような古典だけでなく、John CarneyのBook of Secretsなども入っており、なかなか良さそうなリスト。積んでる本が大量に入ってたのは反省ポイント。
なお、第二版(V2)がMAJIONさんで販売されています。説明文にもある通り、有用なものとしては、UndertowとPlumber Palmです。
掲載されている技法へのコメント
読みながらメモとったものを恥ずかしげもなくそのまま載せます。これだけ読んでもあんまりわかんないと思うので、レビューとしては適切じゃないんですが。
Cephalo Palm
カードがシステマチックに、反転して左手にパームされる。練習してて面白い動き、気持ちよさがある。
Octomus Palm /Octomus Load
カードがひっくり返った上で右手にパームされる。角度やタイミングがシビア。
正直、こんなんやれんの?耐えるの?という感想
Cascade Control / Cascade Palm
ちょっとできそう、と思って練習しながら、本人の映像見たらうますぎてちびった。なんか違う気がするw
そもそも私はカスケードがちゃんとできないことに気づく
でかい動きの中に小さい動きを隠す、という原則に従ったシンプルな技法
Peeping Palm
DPSからのパーム
DPSがまず私はできないのですが、ちょっとコツが掴めた気がしました。カードへのプレッシャーの掛け方や指の動きの説明が詳細です。
Treading
2枚カードを使ったワンハンドパーム、リプレースメントの練習曲
まぁ、練習にはなる。リプレースメントのほうが難しい。
Inking
カラーチェンジとして見せるならわかる。スイッチとして使うとしたら謎。動作が怪しすぎる。
パームしながらドリブルの動作が入るが地味に難しい。ヘルダーがうまかったなぁ
最後にデルガウディオのアイデアが紹介されているがそっちの方がなんかよさそう
Undertow
カードを表向きにする動作でパームしてるカードがロードされる技法
近年、instagram等のSNSでむっちゃ使われている印象。片手でなく両手でやってる人いるけどそれじゃ魅力半減している気が…
これができると色々応用がききそうな良い技法なのだが、やたらとムズい。揃える部分が特に。でも不可能ではなさそうな印象を受ける。
Hermit Transfer
デックを持ちかえる動きで右手から左手にパームカードがトランスファーされる
D&Dがやっても謎な動きになるんではないか?実演をみたい。
と思ったので、やっぱこの本映像ないのは意味不明、映像で出したほうがよかったのでは…
Buoyancy
左手にパームしているカードをデックのトップにリプレースメントする技法で、結構有用な技法と感じた。
右手でファンにしたデックを閉じる動作でリプレースメントする手法も解説されててこれが結構、左手の動きも理にかなっていて良い
Lofty Transfer
本書の中で最も「どこで使うねん」技法。D&Dも”impractical”と自認している。
左手にパームしてるカードが最終的に右手のフラットパームに入るが、とにかく動きがダイナミックすぎて笑う
Mimic Palm
ワンハンドリフルシャッフルしながらパームしちゃう珍技法
解説読むと「は?」と思うが実際に指動かしてみると結構システマチックにカードが動いてパームのところにカードが入ってくるので感動
ワンハンドシャッフルしたあと右手を結局添えざるをえないのだがそれは…
Nautilus
デックを回しながら揃える動作で、トップカードが左手のボトムに表向きに入る
挿絵だけ見るとマジでクソやばい頭おかしい技法。カードを信じられない方法で支え、信じられないほど移動する。
ただしやってみると、力加減は難しいものの、たしかにカードはその通り動く。脳みそバグる。
DelGaudioの技法とのこと
Cephalo Palmでよくね?と思ったけど、まぁ、そういう話ではない。楽しく、馬鹿らしく、練習しがいがある技法であることが目的なのだから…
Plumber Palm
オーバーハンドシャッフルしたら右手にカードがパームされている
本書の中で最もまともかつ有用です
DelGaudioのものとのことで、別のレクチャーノートでも発表しているものみたい
オーバーハンドシャッフルした後かなり自然な動きでパームできる。角度も強い。有能技法。
Otocyst
デックを回しながら持ち替える動きで右手にパームしているカードをデックのボトムにリプレースメント
割とこれもその通りやればカードがそう動いてくれるので楽しい。ぬるっとそのポジションに入る。練習は楽しそう。どこで使うねんという話。
その他、Molecule CutとSybil Cutでのリプレースメントという珍技法がおまけで紹介されてましたが、パームしたままSybil Cutなどをやるのは、正気ではないと思いました
まとめると、頭おかしいテクニックと練習しがいがあるテクニックを探している人はおすすめ。挿絵見るだけでもクレイジーなやつがあるので英語がわからなくてもおすすめ。見た目もかっこいいのでオブジェとしてもよい、そんな総論で締めたいと思います。アディオス。
おまけのpodcast、久々です。
むっちゃ久々にpodcast録ったんですが、絶版本やレアデックの価格って今どうなってるのか、ebayで調べてしゃべるという内容です(笑)
あ、あと、apple podcastでも聞けるようになったので、よしなに。