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奇術積読宣言のマジックレビュー

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古今東西のマジック・手品について、主に洋書を中心にレビューしています。
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#Tamariz

Review#21:Letters from Juan vol.6 (Juan Tamariz)

いよいよ最終巻。虹の色が日本は7色ですが、西欧では6色の国も多く、ゆえに6巻で終了です。vol.6は、トリックそのものの不思議さは失速した印象はありますが、学びの観点からはとても得られるものが多い内容でした。ということで走りきりました! Rafael Benetar氏が全編英語に訳してくれたことに改めて感謝です。 Letter from Juan (序文)マジシャンがトリックについて議論する際に、秘密(タネ)の部分に注力してしまい、肝心の現象(効果)の部分をおろそかにしてし

Review#20:Letters from Juan vol.5 (Juan Tamariz)

全6巻のうち5巻目で、今回は紫。かなり面白かったです。Letters from Juanはどんどん面白くなってる気がします。いよいよ次回は最終巻です。どうなるんでしょうか。早速内容にいってみましょう! Letter from Juan (序文)タマリッツがとんでもない生活リズムであることや、孫がヨーヨーアーティストであること(なお孫のダニエル・タマリッツは大阪で開催されたヨーヨー世界大会で優勝、グランプリ獲得しています)などのアイスブレイクではじまります。 タマリッツが、客

Review: Letters from Juan vol.3 (Juan Tamariz) ~English ver.

I am writing the magic book review in English for the first time. And the book I chose is "Letters from Juan". This book has become a bit of a hot topic in the magic world, partly because it is the new work of Juan Tamariz, a living legend.

Review#10:Letters from Juan vol.2 (Juan Tamariz)

タマリッツ(Juan Tamariz)というマジシャンは、私のマジック人生においてとてつもない影響を与えた人です。 大学入学後、サークルで、FISMに出た先輩からタマリッツがすごい、という話を聞き、当時手に入る映像をいくつか見ました。正直、凄さがあまりわからなかった。エアバイオリンをやるヤバい爺さん、くらいのイメージ。 タマリッツの思い出2012年、当時まだ私は大学生でしたが、生のタマリッツを手品雑誌Geniiのコンベンション@フロリダで見ることができました。ヤバすぎて、叫

Review#5:Letters from Juan vol.1 (Juan Tamariz)

スペインの生きる伝説、Juan Tamariz。2023年時点で、御年80歳のマエストロ。そのTamarizが、ここにきて新作 “Letters from Juan”を発表する、という驚きの展開にざわつきました(主に私が。) Flamenco、という本が未だに発売されていない中、先にこのシリーズが公開されることになったようです。(Flamencoについては過去のポストを参照) Tamarizの自宅にある鍵付きキャビネットにしまってある彼の手品ノートから秘蔵作品を抜粋、公開し

Review#1:Walking Down the Magic Way (Helder Guimarães)

ポルトガルのマジシャン、Helder Guimarães。FISM 2006のカード部門1位で世界に鮮烈なデビューを飾ったマジシャン。 そんな彼がTamarizの著書”The Magic Way”について執筆したエッセイです。元々はQuarterlyという季刊雑誌に掲載されていたとのこと。こちらのエッセイはHelderのwebサイトにて、無料公開されています。 これを紹介してレビューする、という時点で難しいものを選んだ、ということは自覚しています。トリックの解説はなく、理論