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奇術積読宣言のマジックレビュー

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古今東西のマジック・手品について、主に洋書を中心にレビューしています。
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#カードマジック

Review#22:Encore (John Graham)

アメリカのマジシャン&メンタリスト、John Graham(ジョン・グラム、でしょうかね。グラハムでも良さそうですが)による「マルチプル・セレクション」と呼ばれるカードマジックのプロットを扱った本です。 John Graham自体はほとんど知らなかったのですが、彼はVanishing Inc.社から"Stage by Stage"という本を出しており、そこではショーの構成の仕方やトリックをいかにショーアップしていくか、といったことが語られているそうです。持ってないので確認でき

Review#9:52 Lovers (José Carroll)

とりあえず何も言わず、読みなさい。そんな本でした。 読んでいるときに何度もうっとりし、こんなカードマジックを演じてみたいなぁと憧れる、そんな本です。 それでも別に俺はいいや、という人は、まずこの映像を見てみてください。こんな素敵なマジシャンが書いている本なのだから、内容も良いに決まっているじゃないですか。(右はTamariz。左がCarroll) 確かに、本書で紹介されているトリックは、演じるには道具の入手の度合いや難易度がハードルが高すぎるきらいもありますし、現代から

Review#8:Trabajando en Casa (Dani DaOrtiz)

今やスペインマジックの代表格であるDani DaOrtizが2015年に出版した本。スクリプト・マヌーヴァ社より日本語に翻訳されたものが2018年にebookとして発売されました。今回のレビューはその日本語版を読んだ感想です。 なお、出版元のGrupokapsでは映像付で、理解を深めるためにショーが見られるらしいのですがそれは未見。なぜこの映像がマヌーヴァから販売されていないかは不明。 最近スペイン語を勉強しているのでやっと意味がわかったのですが、"Trabajando e

Review#7:If an Octopus could Palm (Dan & Dave Buck)

"If an Octopus could palm"は、カーディストリー界のスター Dan and Dave Buck兄弟による、パームに特化した技法集です。「もし、タコがパームできたら…」という、高校で習った仮定法を用いた表現がタイトルというおしゃれな本。見た目もおしゃれ。 最近、スペイン由来の理論や創作論が含まれたヘビーな本ばかり読んでいたこともあり、脳よりも手を動かせるもので薄めの本があるかな、と書架をぼーっと眺めていたら、この本が目に入りました。 本書は、約80ペ

Review#6:Naypes (Roberto Mansilla)

アルゼンチンのマジシャン、Roberto Mansillaが2011年に販売した、パーラーでのカードマジック作品集。原著はスペイン語ですが、英語に訳され、Vanishing Inc.社から35ドルで販売されています。読み終わったあとに価格を確認してたまげました。この価格はさすがに安すぎると思います。 御本人のLinkedInを見る限り、ビジネスコンサルティング会社でも勤務しているようで、専業マジシャンではないようです。掲載作品の中で、少しばかりマニアックなところもあり、プロ