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不登校対策のイマ~文科省「COCOLOプラン」の注目ポイント

2023年3月、文部科学省は永岡文部科学大臣の下、「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」(COCOLOプラン)を取りまとめました。

不登校対策の今後の方針として、内容面においても注目すべきポイントを含んでいます。

「目指す姿」

学びたいときに学べる環境をつくる

COCOLOプランでは、「学びたいと思った時に学べる環境を整える」ことを提言しています。

具体策としては、次の3点を挙げています。

  • 夜間中学や不登校特例校の設置

  • 校内教育支援センターの設置

  • 教育支援センターの機能強化


学びたい時に学べる環境の整備

不登校期間を長引かせない

環境整備に加えて重要な観点は、不登校期間を長引かせず、「学びたいと思った時」をできるだけ早めることです。

子どもたちが自ら「学びたいと思った時」をできるだけ早くすることも重要と考える。不登校の期間に負ったマイナス面は、彼らの人生に長く影響すると経験的に知っているからだ。

朝比奈なお「不登校対策への懸念」(内外教育.2024.1.12号)

現時点でも、定時制・通信制高校、普通科の通級指導教室などで、子どもたちをサポートする努力が日々つづけられています。しかし、不登校経験をした子どもたちがその期間に受けたダメージ、負の影響を払拭することは、極めて困難なケースが多いです。

不登校期間を長引かせず、「学びたいと思った時」に即座にサポートすることが重要です。そのために何が課題なのかを明らかにして、体制を整えなくてはなりません。

必要な情報は子ども・保護者に伝わっているか

不登校児童・生徒とその保護者は、「情報弱者」であるケースが多いです。
情報ソースとしてまず学校が挙げられますが、その学校が十分に情報提供できない現状があります。

教員は、日々の授業や登校する生徒の対応だけでも1日のほとんどの時間が消えていきます。

その中で、不登校児童・生徒へ対応する時間をつくることは、「何とかしたい」教員の思いと裏腹に、むずかしいのが現状です。一方、不登校の子どもの家庭の情報収集能力にもかなりの差があります。

学校現場は慢性的な教員不足に陥っています。1クラスには多くの子どもたちがつめこまれ、中学・高校では担任1人で40人を相手にしている状況です(日本はOECD諸国でも下位ランク)。このような状況においては、だれもが不登校当事者になる可能性があります。

子ども、保護者、学校に責任を負わせず、すべての国民に、必要な情報を届けることが求められます。COCOLOプランの実現は急務です。