【数学】相加平均と相乗平均の幾何的証明など

今回は 相加平均と相乗平均の関係 の周辺のお話

一部(理系3つ目の例)を除いて受験では知らなくてもOKな内容です

相加平均と相乗平均の関係は次のものでした


これを変形した $${a+b\geqq 2\sqrt{ab}}$$ の形でよく用います
よくある幾何的な説明は次のようなものになります


次のようなものもあります



数式自体に具体的な意味はないので
そこにどういう意味を付けるか どう解釈するかは自由であって
他にもいろいろな方法の証明があるかもしれません


理系の人は 次のように対数関数のグラフの凸性を利用したものは理解しましょう
関数の凸性は受験でも重要テーマの1つです

関数の凸性についてはこちら

2点とその中点で考えていますが 中点ではなく内分点で考えると
次の重要式が得られます

$${f(t a+(1-t)b)\geqq f(t a)+f((1-t)b)}$$

凸方向が変われば 不等号の向きが変わります
関数の凸性と絡めて理系ではたまに出題されます(文系で出題されたこともある)



3次元でも考えてみましょう

$${x+y}$$,$${2\sqrt{xy}}$$をそれぞれ
$${z=x+y}$$,$${z=2\sqrt{xy}}$$ とおくと
それぞれ3次元空間内の曲面(平面)となります

平面 z=x+y


曲面 z=2√(xy)

この平面$${z=x+y}$$,曲面$${z=2\sqrt{xy}}$$を同時に描くと
交わりは次図のような直線となります

交わりは y=x かつ z=x+y

任意の正の数$${x,y}$$に対して
平面$${z=x+y}$$は曲面$${z=2\sqrt{xy}}$$より上側にあるので
$${x+y\geqq 2\sqrt{xy}}$$ が成り立ち
等号が成り立つのは$${x=y}$$のとき ということになります


ちなみに 問題でよくあるのは「最小値問題」であり
そのとき $${x}$$と$${y}$$は積が定数のときでした

青い平面$${z=x+y}$$全体を考えたとき $${z>0}$$となるので
$${z}$$の最小値は存在しませんが

$${y=\dfrac{1}{x}}$$という条件をつけると
$${z=x+y \ かつ\ y=\dfrac{1}{x}}$$ は
青い平面上に曲線とし現れます(次図)
$${z}$$軸の真上の方向から見ると双曲線(反比例のグラフ)です

このとき $${z=x+\dfrac{1}{x}}$$ が最小となるのは
青の平面内の曲線上の点で$${z}$$座標が最小となるときです
つまり $${x=\dfrac{1}{x}}$$のときとなります


以上 相加平均と相乗平均の関係の周辺のお話でした



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