愛と愛情、そしてAI
今回は「愛と愛情、そしてAI」についてお話ししていきます。
この内容は、これからAIがより発達する中で一人ひとりが「自分という『人の価値』」を見失わないようになるための、大切なものです。
特に介護・福祉といった直接人と関わる分野にいる方には必ず理解しておいて欲しい内容となっていますので、お見逃しなく最後までお読みください☺️
【愛と愛情、情の定義を見る】
愛とは
①非常に気に入って、一途にかわいがる
②好意を相手への行動として示す
③慕わしく思う。好きだという気持ちにする.
④貴さ、美しさなどを感じて強く好きになる
⑤美しさ、おいしさ、良さなどを好んでそれを楽しむ
⑥子どもなどの機嫌を取る
⑦神があらゆるものをいつくしむ
愛情とは
①相手をいとしく思う気持ち。人や物に対するあたたかい心。
②異性に対して恋い慕う心
情とは
①物事に感じて起こる心のはたらき。感情。
②他人を思いやる心。なさけ。まごころ。
③男女間の愛情。
④本能的な欲望。欲
⑤あじわい。趣味、風情。おもむき。
⑥実際の様子、有様。
⑦本質。性質。
愛と愛情のちがいとは『人(感情)』の有無であり、「愛は構造であり、愛情は心である」と言えます。
【愛と愛情のちがいから見えること】
ただ、こうして並べると「愛も愛情もそんなに変わりがない」と感じるかもしれません。
愛にしても愛情にしても、そこに好きだという気持ちがあれば同じではないか、と🧐
しかしよく見てみれば「愛情」は「愛」+「情」であり、愛よりもより人間らしい状態を指します🥰
愛という構造に則った上で自分の気持ち(情)を加えている訳ですから、愛よりも愛情の方が心理的距離が近いと言えます。
ただ「愛」や「愛情」が名刺ではなく動詞、すなわち『行動』に切り替わった時、「愛情する」とは言わずに「愛する」という訳ですから、両者は似通っていて誤解されやすいものとなります。
【情が伝わらない理由】
「愛は構造であり、愛情は心である」という違いが見えてくると、「愛する」という行為だけでは心が伝わらない現象にも説明がつきます👨🏻🏫
例えば親が子どもに好きなものを与える時、親はそれを愛情だと思って「与える」という行為をします。
「親が子どもに与える」という『構造』自体には『愛』があり、第三者から見ても「子どもを愛しているんだな」と理解することができる訳ですね。
しかし、もしその行為が「こうすることが『愛する』ということだ」と考えてのものだとしたら、
「その行為をする自分は(自分の感情はともかく)相手を愛しているということになる」
と、自分の『心』を置き去りにして『構造』によって愛を装うこともできる訳です😶
こうなると、親は「愛は向けても愛情は向けない」という行為を意識的・無意識的に関わらず取ることになります。
そしてその行為を受け取る子どもはそこに『情』があるかを敏感に感じ取る結果、徐々に家族関係がぎくしゃくしてしまうこともあり得るのです😔
ここまで見ると、一見同じように感じられた「愛と愛情のちがい」が重要なことなのだとわかってきますね。
「そこに自分の『情』はあるのか」が、情が伝わる・伝わらないの境目になるのですから。
【愛と愛情、そしてAI】
加えて、これからの時代は「AI(人工知能)なし」では考えられないほど変化の激しい時代となっていきます。
これまでは「人間が『愛』と『愛情』を誤解するか」を考えるだけで済んだ訳ですが、これからAIが人間の相手をする時代になる以上、
「AIが『愛』と『愛情』を誤解するのか」
についても、遠からず一人ひとりが向き合うこととなります。
このことを判断するには「AIは『情』を再現できるか」がポイントとなります。
最初に見た『情』の定義はすべて「心」が感じ取るものです。
では心とは何か。あるいは心とはどの臓器を指し、どのような『構造』で成り立っているのか。
こうした問いを立てていくと、人類は未だに正確な「心の在処」を見つけておらず、抽象的な概念で心というものを捉えていることがわかります😳
というのも、心から生まれた感情の処理を脳がするにしても、脳そのものが心ではありません。
また心の動きによって生まれた感情によって様々な臓器が反応することからも、どの臓器が心なのかを特定できていないのです。
つまり、心そのものは「それが何かもわかっていない」ため再現性はなく、数値で表現することはできない訳です。
ただ、心の『構造』を断片的に理解することはできていますから、「切り取られた心」を数値化したり再現したりすることはできるのです。
そして数値化できないものは『科学』で再現できず、AIが科学の産物である以上、
「AIは『愛』は再現できても『情』を再現できない」
と言えます👨🏻🏫
また科学が数値で再現される『空間』のみの領域で、人間を始めとした自然が『時間』と『空間』の両領域にあることからも、
「科学では自然(あるいは人間)を超えることができない」
ことは明白です。
(詳しくは下の記事をご覧ください。)
【愛もAIも『情』がなければヒトを蝕む】
今回「愛と愛情、そしてAI」のお話をさせていただいたのは
「AIは『愛』を再現できても『情』を再現できない」
ということを、一人ひとりが理解しておく必要があると考えたからです。
何故ならこれからAIがより発達し、「人よりも人らしい」言動を使いこなすAIが登場するようになった時に、自分という『ヒトの価値』を見失わないで欲しいからです。
特に人と直接関わる分野で「AIが示す最適解が正しい」と思い込んでしまうと、人としての『情』が失われて『正しさ』による支配が構築されます😰
介護・福祉分野もコミュニケーションロボットに利用者の対応を任せきりにしてしまうと、利用者を取り巻く「状況」は良くなっても、利用者の心身「状態」が悪化する事態を招くことは予測しておいた方が良いでしょう。
何故なら、その理由こそ「AIでは『情』を再現できないから」であり、『愛』という構造を模倣して提供し続けたとしても『情』が与えられないため、
「AI利用による『情』のネグレクト」
という、利用者がこれまで体験したことのない『未曾有の孤独』に陥る可能性が高いからです。
【まとめ】『情』を与えられる人へ
人に『情』を与えられるのは人しかいません。
そして『情』とは「『時間』+『空間』の自然の領域」ですから、科学で再現することは叶いません。
「数値で再現可能な『空間』による切り取られた心」という『構造』、すなわち擬似的な『愛』は再現できますが、そこに『情』がなければ人の心を潤すことは叶わず、心身ともに「病む」ことになります🥲
こうした前提を理解した上で、人とAI、『ヒト』と『コト』がどのように共存していくか。
『コト〉ヒト』の関係では『正しさ』による支配を生み出すことになりますし、それは2020年のコロナ禍で体験済みのはずです。
あの時ほど国やメディア、専門家やインフルエンサーの示す『正しさ』によって人々の言動が制限された時期もなかったのですから😷
もしそうした「『正しさ』による支配」が嫌なのだとしたら、『情』を持って『ヒト』と『コト』が共存する
『ヒト⇔コト』の社会
を目指していくのを、自分の人生の指針としてみましょう😊
今の社会はインターネットが提供する同じ情報で人が育てられる「自分と他人が分けられない時代」でありながら、「与えられる情報の『選び方』のちがい」によって一人ひとりの価値観が異なるパラレルワールドでもあります。
一見矛盾したこの社会は
・自分で調べ、考えられる人
・与えられた情報に従うだけの人
が混在することで成立しており、「どちらの人になるか」を選べる期間は残りわずかです。
何故なら国民の約8割が一度は「与えられた情報に従うだけの人」であることを選んだ結果起きたのが『コロナ禍』であり、それによって様々な弊害が起き、今も苦しめられている人々が現実にいるからです😭
社会はすでに「『正しさ』に従う」方に走り出した訳ですから、軌道修正するなら『今』しかない、という話です。
だからこそ「君たちはどう生きるか」。
僕たちはこの社会で、これからどう生きるつもりなのかを問われているように思えてならないのです。
そしてもし『情』のある社会を望むなら、「自分で調べて、考えられる人」となり、『情』を与えられる人間を目指してみましょう。
『愛情』が『情』を失って、形だけの『構造』とならない為にも。
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