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15歳の娘が男だと言い出した。(その2)

今思えば、前兆はあった。

中3にあがった新年度のクラス写真は、長い髪を後ろに束ね、サイドの後毛をカールした彼女だった。
それが、8月になって、急に髪を切りたいと言い出した。
韓国風ショートヘアのリールばかりを見ていたし、ティーンには、それがトレンドなのかなくらいにしか思っていなかった。
しかし、Sちゃんの希望する髪型写真を見せてもらったら、弟が憧れるツーブロックマッシュだったのだ。
その時は、まあ本人がそうしたいなら、いいじゃないかくらいの認識だった。

翌月の9月には、姪っ子の結婚式の予定があり、振袖を着る予約を入れていたので、結婚式が終わってから髪を切るのはどうかと提案した途端、
「振袖は着たくない」
と、バッサリ。
自分の思い通りにならないと、すぐに不機嫌になる思春期Sちゃんだが、この時は、彼女よりも、私が先に切れた。
「ちょっと、ワガママもいい加減にして💢
あなた、自分から「振袖、着たい!」って言ったじゃない。Sちゃんのために、わざわざ、おばさんが二十歳の時に着用したお着物をあなたのサイズに調整までしてくれて、他にも草履とかさー、髪飾りとかさー、全部揃えてくれたんだよ!!
Sが、成人式の時にも着れるようにって、そこまで考えてくれてさー!!!!!」

「振袖は、着たくない」

「あ、あんた、おばさんの優しい気持ち、理解できないほどバカなの?!
結婚式に親戚が着物を着るのは、花嫁さんに花を添えるって意味があるの!
コスプレじゃないのよ、わかるっ?
花嫁さんのお母さんはね、色々と気を使うこと多くて、すっごい大変なの。
それなのに、あなたのことまで考えてくれているおばさんの気持ちが想像できないって、あんた、人として、どうなのよ。
自分の気分で勝手に発言をひっくり返すのやめてくれる?!
自分の言ったこと、決めたことに責任持ちなさいよ!
ったく、なんなの💢」
「。。。。。。。。。」
「なにっ💢」
「髪は切るからっ!」
「はぁ⤴️?💢」

続く


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