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金曜日

金曜日、お昼頃に落ち込む出来事があった。

私は、基本的にネガティブな性格なので
他人からひとつのことを否定されると、そこからどんどん
それ以外の部分も否定的に思えて、どんどん自分を否定しては気分が落ち込んでいく。

指摘されたことは、なにひとつ間違っていないし弁解の余地もなかった。
すべて私が悪いのだ。

午後から、仕事中もそのことが頭から離れずとても悲しかった。
心がいっぱいいっぱいで、自然と涙が溢れそうになる。

明日からは土日でお休みだけど、好きな人に会いたい。
会ってこの落ち込んだ気持ちをなかったことにしたい。
少しでもメンタルケアをしたいと思って
「今日少しで良いんで時間あったりしませんか?
ちょっとだけでも会いたいです〜!」とLINEを送った。
本当に、30分でも10分だけでも良いから会いたかったのだ。

1年のなかでも、業種的に9月10月が忙しいシーズンの相手なので
きっと忙しかっただろうに「少しで良ければいいよ」と時間を割いてくれた。

最近は、私が会いたいタイミングや「ここしか空いていない!」というようなピンポイントなタイミングで連絡をしても忙しいだろうに時間を割いてくれて
それがとても嬉しくて、なんだか大事にしてもらえている気がしていた。

私達の関係は少し特殊で、特に付き合っているわけでもないのだが
月に数回程度会っているのがもう気付くと6年も続いている。

その日は結構な雨が降っていて、私は仕事が終わったあと会社の最寄り駅の近くでパソコン作業をしながら待っていた。

連絡が取れた2時間後に車で迎えに来てくれて、
車に乗った瞬間、車内は私の大好きないい匂いが充満していた。

江國香織が書いた「東京タワー」という小説に
「人と人はね、たぶん空気で惹かれあうんだと思う。
性格とか容姿とかの前にね、まず空気があるの。
その人がまわりに放っている空気。
そういう動物的なものをね、私は信じてるの」
というセリフがある。
私もそう思っている。

彼が醸し出す空気に触れた瞬間、それだけで少し満たされた気がした。

LINEを返信したあと、会社で急なトラブルがあって対応していたことや、今週は忙しくて疲れたんだ。大変だったんだよ〜というようなことを車に乗ってすぐに話してくれたんだけどその話し方が相変わらずとても可愛らしくて。
9つも歳が上とは思えないなぁと考えながら
「うんうん」「大変だったね」と相槌を打っていた。
私がいつもかわいいなぁと思う部分なのだが、変わらないそんな部分にも癒やされた。
二週間ぶりに見る顔も、聞く声も、話し方も、醸し出す雰囲気も、やっぱり好きだなぁと思った。

それと、なんだか彼と居るときのわたしは心が丸く穏やかで
”可愛くいよう”としている気がして、そんな私好きだなと思えた。

車から降りたあとに私もお昼にこんなことがあって気分が落ち込んでたんだと言って話していたが、彼は話半分くらいで聞いていて。
でも、そのくらいが私にはちょうど良くて、心地よかった。
真剣に聞かれて、あれこれ言われても私はきっと思い出して傷をより抉ってしまうだろう。
ふわっと聞いてくれるくらいが、一番消化できる。
私もちゃんと落ち込んだことを言語化して、口に出すことによってモヤモヤを外に吐き出せた。

結局、少しで良ければと言いつつも4時間くらい一緒にいてくれて
言い方は悪いが、自分のメンタルケアのために”好きな人に会いたい”となったが
時間を割いてくれて、癒やされて満たされた時間だったなと思う。

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