栗空団vs公人団 自戦記
5月15〜16日の日程で、栗空団と公人団の交流戦が行われました。発端であり発起人は実は僕で、そのために棋士団DMを立ち上げることまでしました。
企画を持ちかけた相手は国家公務員系Vの公人直人さんで、実行力に定評のある配信者の方です。
経緯などは以前のnoteを読んでいただくとして、将棋の話にうつります。
僕の対局は23時からで、それまでのスコアは栗空団から見て4勝1敗。既にチームの勝ちは決まっていたものの、あまり楽に指せない雰囲気。
僕の相手は、V竜王のギア・マキナさん。早指しが得意で、ウォーズ弾丸五段と完全に格上です。陣形が崩れてからの受けと、広さを利用した玉捌きが強さの秘訣かなと思いました。相手にして苦手なタイプです。戦前の星取り予想では、実は自分の負けを計算していました。
戦法は何を採用しよう。こちら先手で筋違い角になる保証もないので、相手の主戦である左玉に照準を絞って準備することに決めました。調べる棋譜はV棋戦のギアー川山戦、ギアーやさい戦と、別でギアさんが指して負けていた将棋の3局。その将棋を、何度も並べてソフト解析までかけて…前期ののりたまリーグ最終戦以来の、準備をしたつもりでした。
先手がギアさん、後手がまじくり。基本的にこちらは三間飛車に振って歩交換をして、向かい飛車に振り直してから筋違い角を打って突破を目指す方針。
▲7六歩△3四歩▲6六歩△3五歩
▲5六歩△3二飛▲4八銀△4二銀
▲5七銀△3六歩▲同 歩△同 飛
▲3七歩△3二飛▲7八銀△6二玉
▲6七銀△7二銀▲6五歩△7一玉
▲7七角
調べた棋譜の中では、高い確率で▲2二角成とされており、既に予定は僅かに狂った。しかし方針は変わらないので、こちらは同じような形を目指す。
△5二金左▲8八飛△7七角成
▲同 桂△2二飛▲3八金△2四歩
▲8六歩△2五歩▲8五歩△2六歩
▲同 歩△同 飛▲2七歩△2四飛
▲4八玉△3三銀▲4六銀△4四銀
▲8四歩△同 歩▲同 飛△8三歩
▲8九飛△5四角
予定外第二段として、先手の銀が4六に進出してきていること。そして、左玉ではなく4八に玉が上がってきているということ。もともと早い動きをかけるつもりではあるが、先手の左辺に配置された飛車金銀を相手にしない形になれば理想的。ここでの受けはいろいろあるところ…だが。
▲1八角
ギアー川山戦では、この▲1八角が後に端歩で狙われることになった。本局では、▲4六銀の効果により後手の角が危ない。すぐに△2六歩などとして無理矢理こじ開ける順も考えた。普段筋違い角を指していて、得があるなら筋違いに打った角は差し違えても良いと思っていて、本局もそのような展開になった。ちなみにギアさんによると、ここで先手のソフト推奨手は▲2六角。そんなのは知らないわ…。
△3三桂▲5五歩△4五角▲同 銀△同 桂
角は犠牲になったが銀を手にして、桂馬を跳ねることができて後手好調を意識した。端の角を遊ばせることができれば、駒効率で勝る。
▲4六歩△5七銀▲4七玉△5五銀
感想戦でギアさんが、△5五銀の形になれば後手よし、とおっしゃっており、事実攻めが切れにくくなりました。
▲4五歩△4六銀上▲3六玉△3四飛
▲2六玉△1四歩▲3六歩△2四飛
▲2五桂△2一飛▲1六歩
直前の△2一飛で△2三飛なら、直後の変化でスムーズに成桂を取ることができ、勝ったかもしれない。配信のチャットを遡って拝見して、なるほどと思った。飛車を引くなら最下段という固定観念があった。また、この後△2八歩なんていうシャレた退路封鎖の手筋があったようだが…それは見えなかった。
△2四歩▲3三桂成△2五歩▲1七玉
△3一飛▲2二角△2一飛▲7八金
角を質駒に打ってもらい、先手が何を指すかと思っていたら…この局面で▲7八金は、僕には指せない。後の△3七歩からの攻め筋に、最後△5五角とフィニッシュブローを食らわないことと、地下鉄飛車をスーッと通して△4九角を消したこと。ギアさんの戦型慣れと、広い大局観を感じた。
△3七歩▲同 桂△3五歩
狙っていた△4九角すらも消されてしまい、攻めが見えにくくなってしまったが…角が質駒であることと、2枚の銀を使わないと話にならないので工夫したつもりの手順。
▲同 歩△1五歩
端歩まで入れるのがまじくり調だと、見事まほっちに言い当てられ…いや、たたく筋がある方がいいかなって。
▲同 歩△3五銀▲3六歩△同 銀
▲1六玉△4六銀不成▲1四歩△同 香
▲1五歩△3七銀右不成▲1四歩△2二飛
▲同成桂△3八銀不成▲1五玉△3三角
▲2四香△1六金▲同 玉△2四角
▲1五金△4六角▲3一飛△3七角成
▲2九飛△2四桂▲投了
最後は、桂馬からではなく△2七銀不成から詰みがあったようだが…銀を盤上から消して切れてしまうのがこわい、という1局の流れと、角と飛車の形に触らず、押し返せば負けないと思っていた。
攻めて優勢になっても、強靭な受けを繰り出されて負かされるかもしれない…と、ずーっと思いながら指していました。いざとなれば美濃囲いの金を左に寄せていこうとか、手順ではなく方針を考えたりしていました。終局後、配信はくりそらーはまブリ戦を放送する中、裏でギアさんと感想戦をしていましたが発見が多く、勉強になりました。
お互いに左玉と筋違い角という不器用で苦労の多い戦法を愛しているということがわかり、同志であると認識が一致しました。
次はアニマル連合で、人間に戦を仕掛けますか!
長い自戦記でしたが、読んでいただきありがとうございました。