暴かれる欲望 33

窓ガラスから見える風景は、雨のせいで立ち並ぶビルがぼやけて見えた。各新聞社や雑誌社のチェックを終えて時計を見るとお昼前になっていた。相変わらず恵美は外回りで席が空いている。そんな恵美の開いた椅子を見ながら昨夜の事を思い出していた。
あんなに愛されてたなんて思わなかった。初めてのレズビアン、そして恥ずかしいクンニには顔が赤くなっていただろう。指を絡め握り締め、恥ずかしい場所を擦りつけ合って・・・そして・・・・
あんなに激しく愛し合ったのは初めてだった。思い出しただけで恥ずかしさとうれしい気持ちが湧いてくる。ここにいる誰にも気づかれてはいけない関係。上司と部下のいけない関係。そんな甘い関係の夢を見ていた。しかも禁断のレズビアン。恵美は今日は早く帰って来るのだろうか。それとも夕方まで帰らないのだろうか。朝からずっと恵美の事ばかり考えてしまう。その方が多江子にとってもいいことかもしれない。あの小田切との契約のおかげで屈辱の緊縛から解放され新しい恋が生まれたのだ。今頃何をしてるのだろう。食事中だろうか。スマートフォンで連絡を取りたいが今は仕事中だ。二人は上司と部下なのだ。気を引き締めて仕事に取り組まなくてはならない。
そんな浮きだつ気持ちを押さえて食事に行こうと立ち上がった時、恵美からスマートフォンにメールが届いた。
(今日は帰れそうにないので先に帰って下さい。)
普段ならこんなメールの書き方はしない。・・・何かあったのか。
このスマートフォンは会社支給のスマートフォンだ。監視、束縛してるようであまり気がすすまないが、多江子はGPSで恵美の位置情報をパソコンで調べはじめた。
・・・小田切の屋敷だ。
(どうして恵美が小田切の屋敷に・・・・帰れそうにないって・・・まさか・・・)
あの小田切の事がまたよみがえってくる。多江子は急いで地下駐車場に向かって行った。