「尻根っこ栽培」からの脱却
私には持病で胃の癪がある。
たぶん胃下垂なのだと思う。
ここ何年かはちょっと疲れ気味だったり、
季節の変わり目などに反応して不調に陥る。
もとの調子に戻るのに一か月はかかる。
しかも薬に頼って。
最近は漢方薬で凌いでいるが、
一日中気持ち悪くて、
ときには痛みで何もできないこともある。
今年も夏至の辺りからどんどん
調子が悪くなっていった。
処方箋に頼り、
対処療法的なことを繰り返していないで
根本的に改善をしなければ、
と、思ってはいた。
思ってはいるが、根が横着なので
よくなるとそのまま忘れてしまう。
のど元過ぎれば、である。
しかし、ここ最近の癪の頻度は
以前にも増した気がする。
一日中、痛い。
なので、今回ついに行動に出た。
きっかけは定期的に通っている
馴染みの整体院での施術だった。
数か月ぶりに行き、
いつものように施術を受けたら
ある部位で飛び上がるほどの痛みを感じた。
あまりに痛くて思わずうなり声を上げた。
こんなに痛いのは初めてかもしれない。
場所は左の足裏(親指側)と膝の下辺り。
「はいはい、痛いですね」
私の悶絶をよそに整体師さんは淡々と続ける。
「ここは胃のツボですよ、
弱ってると痛いですね。」
痛さで一気に冷や汗をかいて
しかめっ面の私に
いつもは無口な整体師さんが語り始めた。
「・・・少しは歩いたりした方がいいですよ。
筋肉、特に体幹を鍛えないと。
体幹は、内臓の支えでもありますから。
支えてくれる筋力が低下すれば
当然、内臓への負担は大きいですね。」
私はこの整体院に10年近く通っているので
彼は私の筋力低下を見抜いている。
怠惰な生活による運動不足が
愁訴を招いている要因であることも・・・
今回の施術の
あまりの痛みにおののいた私は
うちに帰るとすぐ、
近所のスポーツジムのHPを開いた。
私だって、運動不足やばいって
わかっていたし、
ちゃんと歩かなきゃなって
ずっと思っていた。
思ってはいた、ものの、
私の住んでいる地域は
普段の生活には便利だが
ウォーキングするのには向かない環境で
しかも「歩く」という、タダで出来ることに
わざわざお金を払って、
その環境を用意するのは
何だかもったいないという感覚もあった。
・・・そんな言い訳を並べて
私はずっと「歩く」ということから逃げてきた。
だが、このままではヤバいと実感した今こそ
手を打たねば。
尻に根を生やした暮らし方は止めよう。
私は「尻根っこ栽培」からの撤退を決めた。
「明日やろう」は「バカ野郎」
私はバカ野郎にならないうちにと
HP上で施設見学の予約をした。
予約時間になり、
自宅からクルマで2分のジムへ向かう。
(決意表明したんなら
それくらいの距離は歩けとの指摘は百も承知)
トレーニング器具の種類や扱い方、
施設の案内を一通りし終えたところで
「良かったら、体の数値を測ってみませんか?」
と、スタッフの方が測定器を指さした。
私は促されるまま、その機器の上に立った。
年齢・身長を入力すると、数秒ほどで
スーパーのレシートサイズの紙切れが
スルスルと出てきた。
「あら。全部、標準数値ですね。」
その紙切れの数字から視線を私へ移して
スタッフの方がにっこり微笑みかける。
「体幹を除いては、ですけど。」
渡されたそれに印字された
様々な項目の数値を私も一つ一つ確認する。
体脂肪・脂肪量・基礎代謝・内臓脂肪レベル・BMI
全項目が標準または普通。
体の左右バランスもほぼ均等。
なんだ、年齢のわりに私、
けっこうイケてんじゃん・・・
内心、そんなことを思いながら
うっとり眺めていると、
「惜しいですね、体幹だけ弱いなんて」
スタッフさんが指した項目には
「体幹部・少ない」とあった。
整体師さんのご指摘通りなのね。
さすがプロ、彼は私を正しく観ていた。
「まずはここの数値アップを目指しましょ ♪ 」
私に小さくガッツポーズをして見せるスタッフ。
「あっ、はい~・・・」
私も中途半端なガッツポーズを返した。
それから30分後、
私は契約書にサインをして入会手続きを済ませた。
今月いっぱいだというキャンペーン中で
『入会料無料』と『水素水の無料提供』
という追い風を受けたカタチだ。
この近況を投稿することについて
実はさっきまでウダウダと悩んでいた。
投稿してしまうと、もし続かなかったとき
「意気揚々と宣言しておいて」と
恥ずかしさが湧きそうだし、
自己憐憫も大きい気がして及び腰になる。
そもそも、記事投稿の件だけでなく、
私はどこか及び腰である。
心の体幹も軟弱なのかも・・・
今日はこの辺で
では また。
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