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天燈輝く夜に
「ねえ、見て。とてもきれい。これに参加しようよ。」
家族が、SNSで見つけた映像を見せてくれた。
その美しさに惹かれた。そして、イベントの趣旨にも。
調べてみると、数日後。
早速、ウェブサイトから参加登録をする。
![](https://assets.st-note.com/img/1729476373-Re8OczQiTx1JgsKw3IfP7H54.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1729476373-euHiy4xAzpdIqMcstbNUXCK1.jpg?width=1200)
会場のナショナルモールは、
東に議会議事堂、西にワシントン記念塔のある緑地。
また、複数の博物館、美術館が立ち並び、たくさんの人が行き交う。
近くに暮らしていても、それら博物館等に行ったのは、
初めてこの街に訪れた時に遡ってしまう。
「そうだ、たまには博物館巡りに、ここに来よう。」
新しくできた博物館を通りすぎながら、そう考えた。
![](https://assets.st-note.com/img/1729478931-lLqJ8oGjSEcXWhaneBNT4AIu.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1729478955-WFGazMfC4jNZiVxpuR5O7o3J.jpg?width=1200)
会場には、たくさんのブースが設営されていた。
協賛団体による飲み物や、グッズの提供。
そして、癌サバイバー、支援者のチームのテントも。
私の祖母、おじ、そして友人は
癌との闘病の末、光に還った。
まだ2歳だったが、私は祖母に抱かれている記憶がある。
かすかに樟脳の香りのする、ラベンダー色の道行の肌触り。
チューブに繋がれて、眠る祖母を見舞ったこと。
病名を告知されずに亡くなり、小さい骨になったその体。
私、そして私の家族も愛した、おじ様。
誰にも思いやり深く、あたたかい人柄が、恋しい。
末期がんで細身になった体でこそ着こなせる服を纏う美意識の高さ。
最期の最期まで、凛としたまま生を全うした。
春分の日に旅発った、「ねえさん」
「hikariちゃんを訪ねたいな。桜が咲く時期がいいかな。」
桜咲く時はもちろん、いつでも訪ねてきてよ。ねっ、ねえさん。
![](https://assets.st-note.com/img/1729481846-IqdakshyUuWTvCHX0PwMl735.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1729482123-3NH8OPf9GZTCLVk0yFDgtYKx.jpg?width=1200)
イベントが始まる。
まず、サバイバーの人々に声がかかる。
サバイバーの印である白色の天燈が、夜空に掲げられる。
続いて、癌で亡くした人を愛おしむ印である、黄色の天燈。
それに、病と闘う人のサポーターである印の赤色の天燈が加わる。
その様に、息をのむほどの感動を感じた。
今生きる私達、全てを越えてここに舞う愛しい人達と共に、
光輝く天燈を掲げ、ナショナルモール周囲を行進する。
光よ、輝きよ、この世に満ちよ。
夜空を、そして遥か遠くまで。
WE LIGHT THE NIGHT
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