
①職人の熟練則という超感覚的な世界に数学で挑む
音楽もそうだし、熟練者の経験則・熟練則も感覚だ。何が良いとかじゃなくて、心に刺さるんだよなぁ… あの感覚を攻めないと、技術屋はいつまで現場に入れない。
実例でいくか…
1年前、ある配車マンをサポートしてくれという依頼が有ったので行ってみた。いいおっちゃんで、抵抗はまったく無い。
「さてと、まずは今日はずっと居ますね。何をしてるのか見てますから。」
「うん、俺も説明は出来ないんだよね… 感覚なんだよ」
(観察しながら、数学の用語に置き換えていく)
ふむ、まずは伝票200枚を出すのか。
ん、これは午前と午後を分けるのね。
それを分け始めた… あぁ、これは発地で分けてるんだ。
グルーピングでAMとPMでそれぞれ30グループほどか。
ん… この次が難しいな、そうか。
発地が近い同士でクラスタリングしてるのか。
ん、電卓で計算してるな… ロジックが全然分からん…
「これ…」
「あー、分からんよね(笑)
"この場合だけ重さを10倍にする"のよ。…①
ほら、違和感あるでしょ?」
「全然分からん…(笑)」 この場合 って何だよ
「説明できないなぁ…」
ほらきた!
こんな調子でグルーピングとマッチングを続けていくのだが、
ロジックは確かにあるのに傍目からはさっぱりと分からない。
もう一つは重さじゃなくて枚数。
「なんで、この場合はこんなに重量が多くて枚数少なくて、
この場合は重量が少なくて枚数が多いの?」
「あー、分からんよね(笑)
"この場合だけ重量じゃなくて枚数でやる"のよ。…②
ほら、違和感あるでしょ?」
「全然分からん…(笑)」 この場合 って何だよ(2回目)
この中には大きな熟練則が2つ(①と②)あって、そのロジックを見つけるのに毎日ではないけど半年通った。分かってしまえばExcelのセル計算で出来るけど、それを見つけるのは本当に難しかった。
例えば今、聴く音楽のジャンルを拡げてtoddleを聴いているのだけれど、
私には音楽理論も楽器も全く分からん。ベースがどの音なのかも分からんし詳しい人が解説している内容も1mmも分からない。でも聴いてると心地よいから良いかなと思う。この愉しい世界を数学化する気持ちはゼロで、聴くのみ。ただ、その無謀な試みが、この10年で実用化が進んだ機械学習の世界だと思う。
機械学習は傾向やルールを結果の塊から抜いて蓄積してくれるという大変に便利なものだが、その理由や理論は一切説明してくれない。感覚で分かっちゃう職人みたいなもんである。そこから生み出すのはYes/Noだけで新しい情報は何もない。
生成AIが何かと言うと、あれは過去の人類の叡智を全て覚えこんでその言葉の順番を変えてるだけだ。新しい情報を生み出すかもしれないが、過去の知識の組み換えに過ぎない。
「あれ、それって聞いたことあるな...」
「これじゃない?」
この超ロングセラー本の要旨は
・何でも興味を持て
・情報を拾って整理しておけ(頭の外で)
・どれかと、どれかを混ぜろ
・それが新しいアイデアだ
「あれ?これって生成AIじゃないの?」
「どうだろうね(笑)」
生成AIが生み出す?新しいアイデアには興味が無くて、奴は機械学習には出来ない”熟練則の抽出&まとめ”をしてくれるのだ。
この感覚が私の熟練則で動いていて、それをキメてくれるのがtoddleのロックなのだ。
30歳くらいの時はまだ数学をやってなかったので、色々と方法を考えていたもので。まぁ、殆どは失敗したけれど。(ひょっとしたら微かには影響は残っているのかもしれない)