OSはなぜ必要か(後編)
おはようございます。またはこんにちは。もしくはこんばんわ。マゲっちSCと申します。2021年6月15日。愛媛松山は雲に覆われています。もうすぐ雨も降りそうですね。皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
さて前回はOSの歴史の後半部分をお話しました。どんどん複雑化していくコンピュータの操作を簡単にするためにOSがいかに重要であるかがざっくりとご理解いただけましたでしょうか?しかし、OSでコンピュータの制御が簡単になったというのはだいたい把握したけど、ユーザにとってどういうメリットがあるのか?ということが気になると思います。今回のブログネタはそのあたりをざっくりですがお話していきます。
コンピュータは電子計算機ですが、計算するものや計算を命令するものがなければただの金属が組み合わさった箱に過ぎません。その指令書となるプログラムの中でも、コンピュータの根幹部分を担うプログラムの集合体をOS(オペレーティング・システム)と呼びます。コンピュータの電源を入れると、OSが立ち上がってコンピュータが起動します。当たり前のように思われているかも知れませんがこれは当たり前ではありません。本来であれば、コンピュータの起動を行う際には相当数のコマンドをユーザが自身でキーボードで打ち込み実行する必要があるのです。が、実際にはそうではありません。自動的にコンピュータが起動します。PCで言えばログオン画面が現れたり、デスクトップ画面が自動で表示されキーボードとマウスを認識したりします。ゲーム機で言えばコントローラやキーボードなどを認識したり、遊ぶゲームを選択できるようになったりします。これがOS搭載のコンピュータの利点の一つです。そのコンピュータに接続されたハードウェアをすべて認識し制御することができます。キーボードで打たれた文字や数字をコンピュータへ伝えて、必要に応じて英字・数字・ひらがな・カタカナ・漢字へ変換することができます。またマウスからの入力にも対応して、マウスカーソルの位置を計算したりマウスのボタンからの入力信号を識別して、サブメニューを開いたりコンピュータへ指示を出したりします。
では他の利点は何でしょう?皆さんは例えばビジネスで作成する文書や表計算ソフトでの売上などのデータ作成を行う場合、マウスでワープロソフトや表計算ソフトを起動させるための命令を出すと思います。端的に言うと必要なソフトをスタートボタンメニューの中から選び、マウスの左ボタンをクリックします。そうすることによって必要なソフトを立ち上げることができます。この操作方法はビジネスソフト以外でも同じでゲームソフトを立ち上げるときもまったく同じ操作で立ち上げられます。立ち上げたあとのソフトの使い方はそのソフトに依存しますが、準備する方法はソフトの種類に関係なく同じ手順です。このように操作の一貫性が保たれるわけですね。また、使用するソフトの種類は違っても、マウスの左ボタンと右ボタンの命令の一貫性や、キーボードから入力された文字・数字などの一貫性も保たれます。例えば、「A」をキーボードから入力した際に、ワープロソフトでは「A」が表示されます。同じように表計算ソフトでも「A」と表示されます。ゲームソフトでも文字入力をするシーンでは「A」と入力されます。このように使用するソフトが違っても、ユーザの認識とシステムの振る舞いの一貫性が保たれることによって、ユーザ側の混乱をできるだけ抑える事ができます。
また、OSを使用することで様々なソフトを一つのコンピュータで動作させることが可能になります。例えばワープロソフトを使用するにはワープロソフトに最適なコンピュータを1台用意する必要があります。端的に言うとワープロ専用機としてのコンピュータを1台用意しなければなりません。しかし、表計算ソフトを同じコンピュータで使用することはできません。基本的にコンピュータはそのソフトに特化したハードウェア構成を用意して組み立てる必要があります。つまり表計算ソフトを使用したい場合は別途表計算ソフト専用に特化したコンピュータを用意しなければなりません。しかしそれは現実的ではありませんよね。できれば1台のコンピュータで様々なソフトを使いたいのが普通です。OSはそれを可能にします。各ソフトを作成する場合に、そのOSで利用可能な状態のものを作成することで1台のコンピュータで様々なソフトを使用することが可能になります。
例えば前回・前々回のブログネタでOSを日本語では基本ソフトと呼ぶとお話しました。そのOSの上で動くソフトは日本語では応用ソフトと呼ばれています。つまりOS以外のすべてのソフトは応用ソフトです。基本ソフトの力を借りて応用ソフトでは様々なことを行うことができます。OSの一貫性のお話も絡んできますが、例えば入力された文字の識別機能はOS側に搭載されているので、ワープロソフト側ではOSで認識した文字記号をそのまま表示します。マウスカーソルやマウスのボタンによる命令もOS側の機能をそのまま借りてきます。そうすることによってキーボードやマウスの命令に一貫性が出ます。表計算ソフトも同じようにOSが認識した文字やマウスの命令を認識するようにできているので、ワープロと表計算というまったく違うソフトであっても同じような操作体系で使用でき、ユーザの混乱をできる限り抑えることができます。つまりワープロソフトや表計算ソフトにはキーボードやマウスの命令を直接解析するための機能はついていません。すべてOS側が解析し、そのデータをそのまま受け取って表示しているに過ぎないわけです。
またOSはそのコンピュータでできるであろうすべての事柄に対して対処できるように作られています。各応用ソフトはOSの機能の一部を借りて文字や命令などを認識するわけですね。画面出力や音声出力、インターネットへの接続もすべてOS側の機能です。また周辺機器もすべて認識するのはOS側の仕事です。昔のコンピュータの環境では処理能力も低かったため、各ソフトにこのOSの機能を持たせていましたが、そうするとソフトメーカーによって操作にずれが生じてしまいユーザの混乱のもとになっていました。しかし、OSが搭載されたことでOSの基本的な操作を覚えてしまえば、様々なソフトの基本的な操作が可能になるということです。応用ソフトによって様々な使い方があるので、応用ソフトの使い方を覚える必要はありますが、基本操作は一貫しているので混乱が少ないのです。応用ソフトを作るメーカー側も、複雑な機能はすべてOS側に搭載されているので、自分たちでその基本構造を作成する必要がなくなりソフト制作がかなり楽になります。
また、メニューやボタンのデザインもすべてOS側で用意されたものです。ゲームソフトではボタンやメニューの表示はそのゲームでオリジナルで用意されますが、ビジネスソフトでは大体のメニュー内容やボタンのデザインはメーカーが違えど共通しています。見た目からもユーザの混乱を抑えることができますし、ソフトを制作する側も用意された素材をそのまま使えるという利点があります。基本ソフトの機能を応用ソフト上で表現できるので様々なソフトを1台のコンピュータ上で使用することができるのです。またOSには複数のソフトを同時に使用するための機能もあります。例えば、ワープロソフトで文書作成をしつつ、ウェブブラウザを開いて動画サイトにアクセスし、作業用BGMとして音楽を流したいと思ったとします。その時コンピュータ上ではメインでワープロソフトを動かし、ワープロソフトを動かす必要がないタイミングで動画サイトから拾ってきた音楽のデータを再生しています。コンピュータは非常に高速な計算が可能なので、ワープロソフトを動かしているときBGMの再生は一時的に動作をストップさせているのですが、ユーザ側としてはそれを体感することは不可能で常にワープロと音楽の再生が同時進行であるかのように体感できるというわけです。
もちろんOSの種類によっては複数のソフトを同時に動作させるものもあります。上記はPCのOSの例ですが、例えばサーバ機器に関してはPCと同じような動作のタイミングではたくさんある命令を一気に処理することはできません。なので複数のソフトや命令を同時に処理する機能がサーバのOSには入っています。PCやゲーム機は基本的にシングルタスク(タスクとはコンピュータがこなす仕事のこと)と呼ばれており、サーバは基本的にマルチタスクと呼ばれています。
このようにOSを搭載することで様々な恩恵が得られるわけです。ハードウェアの制御の自動化やシステム・ソフトウェアのデザインの一貫性の保持、コンピュータの動作に必要な機能すべての提供を行います。家電量販店などでソフトを買う場合、欲しいソフトがどのOS環境で動作するかを抑えておく必要があります。OSが古いと応用ソフトで用意されている機能が動かない場合や、立ち上がらない場合があります。また応用ソフトがきちんと動作しなかった場合、ソフトメーカーに動かないと連絡すると思いますが、その際にOSが古い場合サポートの対象外になります。なので、OSの種類を抑えておくことは非常に重要なのです。またキーボードやマウスなどが壊れてしまった場合も、OSのバージョンが箱に書かれていますが、そのOS以外では動作しない場合があります。ハードウェアでもソフトウェアでも確実に動作するものを買いたければOSのバージョンを知っておく必要があります。2021年6月現在、販売されているOSは最新のものが搭載されて売られていますが、時期によっては古いOS搭載モデルと新しいOSの搭載モデルが同時に店頭に出回っていることもありますので、OSの情報は常に手に入れる事が必要でしょう。
OS搭載の恩恵についてざっくりとお話しました。OSは非常に奥が深いので様々な機能が搭載されていますが、それは皆さんで調べてみてください。これまでの知識を総動員すればもう皆さんは自力でコンピュータ本体やソフトウェアを購入できる知識がついています。では次回のブログネタですが、これまでのお話はすべて1台のコンピュータのことについてのお話でした。ですが今はインターネットが全盛の時代です。複数のコンピュータが連携をとって動作しサービスを提供するのが当たり前になりました。ですので、通信に関してのお話をさせていただこうと思っています。現在は電話回線よりも光回線やwi-fiサービスを使ってインターネットに接続する事が増えましたので、現在のネット事情を簡単にお話できたらと思います。それではまたご興味がありましたらお立ち寄りください。それでは失礼いたします。