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マガジンX 2024年10月号『ざ・総括。』BYDドルフィン/BYDシール
オススメ度 ★★★★☆
「まだまだ」だが、進歩中
中国のBYDオート(比亜迪汽車)はBEV(バッテリー電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)の専業メーカーだ。日本ではBEVメーカーとしてアピールしているが、じつはPHEVでの利益をBEVに投じることでライバル他社より有利に事業を進めている。親会社のBYDから車載電池を調達している点も、利幅の小さいBEV事業を有利に進められる理由だ。日本への進出は昨年だったが、最近ではテレビCMも展開しており、知名度は少しずつ上がってきた。では、肝心の商品はどうだろう。以前試乗したATTO3はまあまあの仕上がりだったが…。
●評価(★)の見かた●
★☆☆☆☆=まったく買うに値しない
★★☆☆☆=ちょっと考えたほうがいい
★★★☆☆=一応オススメできる標準作
★★★★☆=積極的に買いの秀作
★★★★★=買わなきゃ損する超逸品
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<評価メンバー>
エ=エンジニアリングコンサルタント
チ=チューニングショップの社長兼エンジニア
部=元部品メーカーのエンジニア
T=ベテラン実験ドライバー
通=自動車業界の事情通
LFP電池のメリット
エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) BYDオートのBEV2台に乗ってもらった。メディアでの評価は上々で、新聞系は相変わらず「日本が出遅れたBEVで中国が攻めてきた」といったトーンで報じている。テレビCMは長澤まさみ女史を使って、クルマ好きではない層にもアピールしている。
元部品メーカーのエンジニア(以下=部) 日本にかぎらず「環境にやさしいBEVに乗りたい」という層は多いですからね。そもそも本当にBEVが環境にやさしいのかどうかは、おそらく98%の人は考えていません。
ベテラン実験ドライバー(以下=T) 環境にやさしいと思い込んでいる人は多いよ。完全にメディアのミスリードだ。電力需給ギリギリの日本で、しかも夏場と冬場の電力事情はさらに危うくなるというのに、好き勝手にいつでもBEVへ充電するとどうなるか。BEVは原子力発電または蓄電設備付き再エネでしかCO2削減にはならない。
自動車業界の事情通(以下=通) 政府も東京都も呑気にBEV補助金を続けているが、いまでは中国もドイツも補助金は打ち切った。BEV補助金は税金から出ている。日本でメルセデスベンツのBEVを買う人への所得再配分など、愚の骨頂だ。
チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) 日本でエネルギー政策を論じると政権の命取りになる。だから誰も核心には触れたくない。オレはむしろBEV税を取るべきだと思う。まあ、それはさておき、みなさんに試乗してもらったのはBYDのドルフィンとシールの2台だ。ドルフィンは以前、中国仕様に試乗してもらったことがあるが、今回は日本仕様だ。
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