【ミニ・カントリーマン】マガジンX 2025年1月号『ざ・総括。』_単品売り
オススメ度 ★★★☆☆
カタチと仕上がりの不一致
日本ではミニ・クロスオーバーだった車名が本国と同じ「カントリーマン」になった3代目ミニ・カントリーマン。前号で取り上げた3ドアのミニ・クーパーおよび5ドア/コンバーチブルは現在もUKL1プラットフォームで、このカントリーマンはUKL2プラットフォームを使う。いわばBMW・X1/X2のバッジ違いだ。カントリーマンは欧州というよりもワールドワイドに売りたいモデルであり、本誌評価陣は「BMWのブランドにしては少々雑な仕上げ」「クルマのキャラクターと仕上がりがミスマッチ」と評価した。車両価格が489〜667万円という点も、往年のミニとはまるで違う。
●評価(★)の見かた●
★☆☆☆☆=まったく買うに値しない
★★☆☆☆=ちょっと考えたほうがいい
★★★☆☆=一応オススメできる標準作
★★★★☆=積極的に買いの秀作
★★★★★=買わなきゃ損する超逸品
<評価メンバー>
エ=エンジニアリングコンサルタント
チ=チューニングショップの社長兼エンジニア
部=元部品メーカーのエンジニア
T=ベテラン実験ドライバー
通=自動車業界の事情通
UKL2の兄弟車
エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) 前回はミニ・クーパーSと、BEV(バッテリー電気自動車)仕様のオールエレクトリック、クーパーSEに乗ってもらった。今回はミニのSUVとも言うべきカントリーマンだ。前回も説明したとおりオールエレクトリックは、2018年10月にBMWが提携した中国・長城汽車(グレート・ウォール・モーター=略称GWM)との折半出資で設立した光束汽車(スポットライト・オートモーティブ)が開発と生産を担当する。今回試乗したカントリーマンはICE(内燃機関)を搭載するICV(内燃機関搭載車)だ。BEV仕様も設定されているが、今回はICVのみだ。
チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) みなさんに乗ってもらったのはBMWのB系モジュラーエンジンの2リッター直4を積む「カントリーマンSオール4」の204ps(150kW)版と、このICEの出力を向上させた最上級仕様「ジョン・クーパー・ワークス(=JCW)オール4」の317ps(233kW)版だ。オール4なので2台とも駆動方式は4WD。車両価格は前者が566万円で後者は667万円。オリジナル・ミニの最終モデルは200万円クラスだったのだから、ミニも高くなったものだ。
部品メーカーのエンジニア(以下=部) 最大トルクはSオール4が300Nm、JCWオール4が400Nmですから、このボディサイズとしてはややオーバースペックにも思えますが、車両重量はSオール4で1640㎏、JCWは1680㎏ですからBMW・X2と横並びで、VW(フォルクスワーゲン)ゴルフよりもはるかに重たいクルマです。
自動車業界の事情通(以下=通) これ、BMW・X2のUKL2プラットフォームではなくてミニBEV系のJ01なのかと思ったら、違うんだね。UKL2だ。つまりBMW・X2のバッジ違いモデルだ。3ドアのミニ・クーパーはBEVとICVで違うプラットフォームを使っているが、こっちは共用だ。
チ 3ドアのほうは昔からのミニのイメージがあるから、床下に電池を積むために嵩(かさ)上げするとプロポーションが崩れて違和感が出るから違うプラットフォームを使ったということだろうね。
ベテラン実験ドライバー(以下=T) UKLのUKは英国という意味ではなくアンダー・クラス、つまり「小型」という意味で、横置きパワートレイン用のプラットフォームだとBMWは言っている。UKLの初出しは2014年のミニ3ドア/5ドア(F56/F55)だが、改良しながら現在も使っている。UKL2はBMW・2シリーズのグランクーペやアクティブツアラーに対応したホイールベース延長型だから、基本は同じだ。
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