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マガジンX 2024年10月号『ざ・総括。』ホンダ・アコード

オススメ度 ★★★★☆

めずらしく「おっとり」系

1976年に発売された初代アコードから数えて11代目となる新型アコード。日本国内向けは2ℓ4気筒ICE(内燃機関)に電動モーターを合体させたストロングHEV(ハイブリッド・エレクトリック・ビークル)のホンダe:HEVだけに集約された。主要市場は北米で昨年は約20万台が売れたが、日本では500万円クラスのセダンはあまり売れないだろう。しかし、本誌評価陣は「乗ってみれば、このクラスの国産セダンのなかではイチオシ」と言う。ただし、モーション・マネジメント・システムは「マツダのGVCとどこが違うの?」というツッコミが入った。
 
●評価(★)の見かた●
★☆☆☆☆=まったく買うに値しない
★★☆☆☆=ちょっと考えたほうがいい
★★★☆☆=一応オススメできる標準作
★★★★☆=積極的に買いの秀作
★★★★★=買わなきゃ損する超逸品

<評価メンバー>
エ=エンジニアリングコンサルタント
チ=チューニングショップの社長兼エンジニア
部=元部品メーカーのエンジニア
T=ベテラン実験ドライバー
通=自動車業界の事情通

全長だけ延びたフシギ

エンジニアリングコンサルタント(以下=エ) 11代目のホンダ・アコードだ。先代とホイールベースは同じ、つまり骨格は流用で、フロントのオーバーハングだけが75㎜伸びた。そのためプロポーションは全高の低いスポーツクーペ的だ。ファミリーカーというよりスペシャリティカーだ。日本市場でセダンといえば多くが欧州車で、車両価格は600万円クラスになる。ホンダとしてはe:HEVの動力性能とこの佇まいで、アッパーミディアムでの存在感を確保する狙いだろう。
チューニングショップの社長兼エンジニア(以下=チ) 日本仕様のアコードはグレードがひとつ。車両価格544万9400円のe:HEVだけだ。みなさんに試乗してもらった車両は約20万円の外装オプションを追加してある。タイヤは235/45R18のミシュランe‐プライマシーだ。
部品メーカーのエンジニア(以下=部) 米国でのホンダはCR-Vが販売台数トップで、2023年実績は36万台です。2番目がシビックで20万台強。アコードは20万台をわずかに下回りましたが、日本では1モデルで20万台など、もはや望むべくもなく、その意味では基幹車種です。中国ではNEV(ニュー・エナジー・ビークル=新能源車)に分類されるPHEV(プラグイン・ハイブリッド車)が設定され、北米向けではHEVと1.5ℓ4気筒ターボICE(内燃機関)が設定されています。日本市場は、どちらかと言えば「オマケ」的な扱いです。
自動車業界の事情通(以下=通) 昔のアコードは普通の家庭が購入するファミリーカーだったが、いまや車両価格545万円だ。米国市場のファミリーカーが上限3万ドルだった時代、日本仕様のアコードは350万円で買えたが、30年近くも所得が増えなかった日本では、とうとうアコードすら高級車だな。
ベテラン実験ドライバー(以下=T) ホンダも日産もトヨタも、北米の3.5ℓV6級セダン市場へ投入するモデルは伝統的に出来がいい。トヨタはカムリとレクサスES、日産はアルティマ。日産の販売は振るわないが、2023年実績でもアルティマは13万台近く売れた。

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