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積読を増やしに増やした1年(後編)
前編はこちらから。残り20冊もごりごり紹介していく。
『エンディングまでゆっくり』
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映画・ドラマ好きの著者によるお悩み相談本。「誰も私の夢を応援してくれません」「いつも劣等感に苛まれています」「どうしたら自分を認めることができますか?」「つらいことがあるたびに死にたくなります」――。
人生についての複雑で繊細な悩みの数々。著者は自分がこれまで見てきた膨大な作品の中から一つを選び、自身の視点や経験、解釈を交えながら、その人にぴったりだと思うものを「処方」する。
著者のイ・ミファさんが今年12月に東京でイベントをした際、ありがたいことに通訳を担当させていただくことになり、事前準備としてお借りして読んだのがこの本だった。
「東京ソナタ」「コントが始まる」「百円の恋」「問題のあるレストラン」「横道世之介」など、日本の作品も多く登場する。純粋に内容が面白く、これは持っていたいなと思い、イベントが終わった後に自分でも買い直した。
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こちらは同じくイ・ミファさんのエッセイ。タイトルは『映画館へ行かない日にも』。購入したのではなく、ご本人からいただいたものだ。薄めの本だったので帰りの電車で半分くらいまで読んだ。とにかく映画が(作品だけではなくてそこに携わる人も含めて)大好きなことが伝わってくる。
『空港で一週間を』
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イギリスの有名な哲学者・エッセイストらしい著者。どうしてこの本を知ったかというと、上に書いたイ・ミファさんのエッセイ『映画館へ行かない日にも』の冒頭で紹介されていたからだ。油断しているとすぐに欲しい本が増えてしまう。
『空港で一週間を』、副題は「ヒースローダイアリー」。タイトルそのままの内容で、アラン・ド・ボトンがロンドンにあるヒースロー空港に一週間滞在しながら見聞きしたことを綴ったエッセイだ。
経緯が面白い。ある日突然、同空港の一画を所有している企業の重役から連絡が入り、初の「空港常駐記者」として記事を書いてほしいと依頼されたという。空港内には専用デスクが、すぐ近くにあるホテルに部屋が、そして食事のためのクーポンまで用意される。なんと贅沢で羨ましい仕事か。さっそく取り寄せたあと、少しずつ読み進めている。
『未来を先に経験しました』
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副題は「アフガンの難民とともに過ごした蔚山の1年」。2021年、紛争の被害を受け、難民として韓国へやってきたアフガニスタンの人々。韓国南の方に位置する蔚山広域市が受け入れ場所となった。
しかし、実際に難民たちの「隣人」として過ごすことになった地域の少なくない人たちがこれに難色を示す。それだけでなく、反対運動を行ったり、中にはヘイトスピーチを吐く人もいたという。
文化がまったく違う他者と、どのように共存するのか? 課題を前に試行錯誤し、乗り越えた人々を、一人の記者が追い続けた。本書はその記録だ。
「こんな本もあるのか」、それ以前に「韓国社会はこんな経験もしていたのか」と感じた。たまたま見つけたのではない。再度名前が登場するが、上で紹介したイ・ミファさん関連でこの本を知った。かのじょが同僚とともに運営するYouTubeチャンネルで毎月おすすめの本を紹介しているのだ。そこで取り上げられていた。
実は次の1冊も同じチャンネルで紹介されていたもの。振り返ってみると、今回はイ・ミファさんに少なからず読書の幅を広げてもらったのだと分かる。
『人生の対岸に野原があるなら』
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副題は「ムン・ボヨン アイオワ日記」。韓国の詩人であるムン・ボヨンさんが、アメリカのアイオワ州で行われる「インターナショナル・ライティング・プログラム(IWP)」に参加したときの日記エッセイ。
私はムン・ボヨンさんという人を知らない。イ・ミファさんのYouTubeで紹介されて、(おっ)と思ったポイントは「IWP」だ。これは世界各国の作家や詩人たちが約10週間、アイオワに滞在しながら交流し、各々の作品を書いたり紹介したりするプログラムで、日本からもこれまでに様々な作家が参加している。
そしてそのときの経験をもとに、帰国後に作品を発表する作家もいる。滝口悠生さんがその一人で、『やがて忘れる過程の途中(アイオワ日記)』という本を昨年、水道橋にある機械書房さんで買って読んだ。
それがとても面白かったので、韓国の作家の視点で書かれた「IWP」関連の本もあることを知って(絶対に読みたい)と思ったのだった。
『書き取り』
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副題は「私が滞在したアイオワ日記」。同じく、「IWP」に参加した韓国人作家による日記エッセイ。どうせ買うなら1冊も2冊も同じだし他の人のも読みたいと思い関連ワードで検索して見つけた。
『小説みて 秋』
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보다という言葉には「見る」という意味と「〜よりも」という意味があり、このタイトルはどちらなのかちょっと判別しきれなかったので念のため出版社にメールで質問したら返信が来なかった。
なのでニュアンス的に少し自信はないが暫定的に『小説みて 秋』とした。
この本は、版元である「文学と知性社」が季節ごとにおすすめしたい作品を選び掲載するシリーズのうちの1冊。値段が手頃なのと、まだ知らない作家の小説に触れたくて購入。未読。
『ひょっとするとうまく書けるようになるかもしれません』
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副題は「どんなことでも書いてみたら書けるのが文章なんだから」。ここからの10冊は、韓国旅行をした際に現地の中古書店で購入したものだ。
現地で買って持って帰るので送料がかからない=とにかく安いので、いつもよりも判断が甘々になって気になる本は結構気軽にカゴへ入れた。
『がんばって書きます』
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副題は「逸脱講師キム・ヨンジュンが聞かせてくれる、正直で淡白な執筆ライフ」。帯には「文章を書く上で何よりも大切な素材は自分自身だ」と書いてある。これも中身はあまり確認せず即カゴへ。
『文章にできない人生はありません』
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副題は「平凡な日常を特別にしてくれる魔法」。10人以上の筆者が、書くことについての文章を寄せている。もうこの機にとにかく買おう、というモードに入ってしまい気になったものはどんどんカゴへ。
『隠れた言葉さがし』
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タイトルがいいのでカゴへ。
『スターバックス日記』
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日本の小説を数多く韓国語に翻訳している著者が、スターバックスでの作業の日々を記録したエッセイ。これは早々に読了。
話し上手な人の面白い話をずっと聞いているような感覚でするする読めた。スターバックスで見かけた気になる人々について、自分の仕事や経験と重ね合わせながら軽妙に綴っていく。
クォン・ナミさんは他にもエッセイを数冊出しており、日本語にも翻訳されている。親しみの持てる文章で、もっと読みたいと思わされた。
一点、気になったのはスターバックスが親イスラエル企業であること。この本が出版されたのは2023年11月で、まさに世界各地でスターバックスへの批判や不買運動があった時期だ。
そんな時期に企業名をどんと出して出版する以上、パレスチナ虐殺には触れられないとしても、何かしら個人として世界をどう見ているか、みたいなことには言及するのだろうかと期待していた。
というか、この時代に「スターバックス」という名前を掲げて商業出版する人が、本の中でどのような表明をするのだろうか、結局そこのところに興味があって購入したのだと思う。
しかし最後まで読んでみて、結局イスラエルやパレスチナに関する言及は見つけられなかった。まあ普通に考えたら本の性格的にも「そりゃそうだ」なのだが、大切なことには最後まで触れられていない、というようなモヤモヤを私が勝手に感じてしまった。
『無礼な人に笑って対処する方法』
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心理学系の人文書。『無礼な人にNOと言う44のレッスン』というタイトルで邦訳出版されているらしい。たまにはこんな本も面白いかもしれないと思って購入。まだそこまで無礼な人に出会ったことはないけれど、処世術として分かっておけばいつか自分を守れるかもしれない。
『シティフィクション』
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副題は「いまどこに暮らしていますか?」。(このnoteでは)お馴染みチョン・ヨンジュン作家も参加しているアンソロジーとのことで迷うはずもなく購入。
『純度100%の休息』
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日本語にも翻訳されている小説『大都市の愛し方』を書いた作家によるエッセイ。本人が出演するYouTubeをたまたま見て、とても気さくで面白い人だったので、もっと人となりが知れる文章が読みたいと思い購入。
『心がすること』
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帯には「数えきれないたくさんの夜を支えてくれた作家オ・ジウンの新作エッセイ」とある。タイトルと装丁を見てすぐカゴへ。
『人文薬房が出す文学処方箋』
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このnoteの1冊目に紹介した『エンディングまでゆっくり』のような本だと思う。人生の様々な悩みに、こちらは文学を処方しつつ答える。
帯には「私たちはみんなどこかが痛い。身体も心も痛い。あなたの疾病にぴったりの文学を捧げます」と書かれている。本の作りも素敵で購入。そして未読。
『とにかく、オンニ』
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オンニは、「お姉さん」という意味。女性が年上の女性を呼ぶときに使う言葉だ(男性が年上の女性を呼ぶときは別途「ヌナ」という言葉がある)。実の姉だけではなく、親しい間柄でも使われる。
本書は、現役警察官の著者が出会ってきたたくさんのオンニとのエピソードを綴ったエッセイ。韓国も家父長制や男尊女卑、ミソジニーが根強い国だとよく言われている。そんな国で女性として生きるオンニたちへのあたたかい眼差しが感じられる本、のようである(まだ背表紙の情報しか読んでいないので)。
これは韓国旅行の際、中古書店とは別の新刊書店で陳列されているのを見て購入。この『とにかく、〇〇』というのはシリーズの一環のようで、色々なタイトルが並んでいた。
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改めて本を開いて説明を読むと、以下のような説明がある。
自分にとっての喜びや楽しみ、考えただけでいい気分になる「一つ」をテーマに綴るエッセイシリーズです。
前半で紹介した『とにかく、タングンマーケット』も同シリーズだ。
『つらいって? それでもやらなきゃどうすんの』
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3人のデザイナーによるユニットARTZZIL(アチル)が描くイラストエッセイ。日々感じるストレスや複雑な感情を紹介しつつ、視点やアプローチを変えることでもう少し楽に生きようと励ましてくれる。
Instagramの投稿からスタートし、人気が出て書籍化されたもののようだ。人間臭い不思議な動物と肩の力が抜ける提案が並び、読むのが楽しい。Instagramで韓国の出版社をフォローするようになったことで見つけた。まだちょこちょこ拾い読みしている段階。
『やわらかい街』
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副題は「イラストレーターの目に映ったその場所、普通の人々」。表紙に描かれているような味のあるイラストが本のあちこちに登場する。
全身真っ白なスーツを着た紳士、ダウンコートを着てフードをすっぽり被ることで一様にイカのようなシルエットになる人々…。
イラストレーターのやわらかい感性を通すことで、変わり映えのしない光景も可愛らしく、親しげに映る。これはのんびりとした旅行先でいつかゆっくり味わいながら読みたいなと思い寝かせている。
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改めて、ほとんどの本が未読であることをしっかりと確認できた。来年は心のままに買うのは控えて読むことに専念したい、と今この瞬間は本気で思っているが、いざ面白そうな本を見つけてしまってもその意志が揺らがないかどうかは正直分からない。