ダラダラするのも飽きてきた
エッサウィラで快適な生活を営み始めて約2週間が経過した。
先週の1週間は家計予算の厳守を心がけた結果、一度も外食せずに質素で平凡な日常を送った。
今日は海辺でビールが飲めるお店に初めて来てみた。
風が強いが日差しが暖かく心地よい。モロッコに来て初めての生ビールにありつけた。銘柄はカサブランカビールだ。
美味しいビールをごくごくと体に流し込みながらこの手記を書いている。
久しぶりに飲む生ビールは、うーん、美味しい!
イスラム教徒が9割を占めるモロッコは、お酒を提供できるお店が極端に少なくアルコールも高い。
全体的な物価は日本の1/4程度であるのに対し、アルコール類だけは日本と同程度の金額がかかる。
なので少し外でお酒を飲むことに消極的になっていたのだが、今日はなんだか新しいことを久しぶりにできて嬉しい。
正直、ちょっと退屈になってきた。
それは家計厳守だ!というミッションのもと外食を一切せずに暮らした1週間が原因かもしれないし、
フランス語が主要言語のため現地の人たちをうまくコミュニケーションが取れず、夫婦2人だけの生活に変化がないからかもしれない。
あるいは、その両方かも。
いずれにせよ、退屈なのだ。
もし今、仕事を辞めず、海外にも行かず、数ヶ月前まで自分がいた日本の日常が続いていたらどうなっていただろう?
と考えてみた。
意外にも、あの頃は退屈じゃなかったんだよな。というか、退屈だから海外に飛び出したわけではない。
ありがたいことに、会社から与えられていた仕事はスリリングで、激動の時代を泳いでいる感じがあった。
でも私は辞めたのだ、1日の大半を仕事のことで埋め尽くされていた自分の思考回路を強制的にシャットダウンした。
それは、どこか「さもありなん」という人生のレールに乗りすぎていて、つまらなかったからだ。
繰り返すが、仕事が退屈だったわけではない。自分の人生に退屈さを感じていた。
大学に行って、会社員になり、結婚して、子供を産み育てる。私はこのレールに乗った。
だいたいの女性は会社員として活躍してもこのレール上では産休育休、時短勤務があるのが一般的だ。
だいたいの男性は会社員として生活を守る、要するに家庭を支えるためにお金を稼ぐことが絶対条件になることが一般的だ。
私は、そのなんとなく自分の生きる道がイメージできてしまう人生が幸せそうではないと感じてしまった。
このレールの上から一度飛び出して、予測不能でもいいからワクワクする人生に向かって動いてみたかった。
それだけ、ただそれだけで海外にきたのだ。
要するに海外で何かがしたい!と思って飛び出したわけではないのだ。自分で書いていてウケる。やばいやつだ。
このまま日本にいても、あまり大きく生活は変えられないな、と思っただけ。
そりゃ退屈もするな、と書いてて思った。
危機的な状況な気がするが、なんだかここまで「やりたいことは別にない」と言い切ってしまうと楽しくなってきた。
なんだかやっとスタートラインに立てた気がする。
自分がやりたいことが何かを無限にある時間の中で探してみるのもいいかもしれない。
この数日はニートになると社会との関わりが途絶えることを夫婦共々実感できた。
レールに乗っていたらなかなか体験できない貴重な経験だ。この呑気な夫婦に危機感というワードがなんとなく浮かんだのだ。
そして、気持ちを言葉にするって大事だ。それとビール、そして散歩も。
暗雲が漂っていた気持ちが久しぶりに晴れた。スッキリした。
時間はいくらでもある、これから手に入れた時間の中で自分のやりたいを見つけていこうと思う。
とか偉そうなことを言いつつ、数日後には自分では何もできず泣いてるかもな。
そうなったら、それもまた一興ということにしよう。
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