前島賢の本棚晒し【復刻版】12:鴨志田一『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』


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本記事は、電子書籍ストアeBookJapanに、連載「前島賢の本棚晒し」第7回として2014年11月7日に掲載されたものを、加筆修正の上再公開したものです。記述は基本的に連載当時のもので、現在とは異なる場合がありますが、ご了承ください。連載時に大変お世話になりました、そして、再公開を快諾頂きました株式会社イーブックイニシアティブジャパンの皆様に厚く御礼申し上げます。

 学生寮に引っ越してきた少女は自分でパンツもはけないような「要介護ヒロイン」で……。
 アニメ化もされた人気シリーズ『さくら荘のペットな彼女』。一見、典型的なラブコメのように見えて、物語が進むうちに、才能を持つ者と持たざる者の格差、取り残された者の焦りや嫉妬と言った思春期の苦悩が姿を現していく。
 著者の鴨志田一は、ひとりのヒロインのなかに、いわゆる「萌え要素」と、等身大の内面性を両立させることができる優れたライトノベル作家だ。

 は、そんな著者の新シリーズ。現在、続編『青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない』と合わせ2巻まで刊行されている。

 諸事情からクラスで孤立する梓川咲太は、ある日、図書館で平然と本を読む「野性のバニーガール」を目にする。その正体は、美貌と実力を兼ね備え、将来の大女優と期待されながらも、突然タレントを活動を休止してしまった、先輩の桜島麻衣だった。他人から認識されなくなるという奇妙な現象に悩まされる彼女は、その影響範囲を確かめる為に、バニーガールの恰好で街に出ていたのだという。そんな先輩をはじめ、不可思議な超常現象=思春期性症候群に苛まされるヒロインのために咲太が奮闘する、ちょっと不思議な青春ラブコメだ。

 個人的な感想から先に言うとメインヒロインの麻衣先輩が素晴らしい。
 経験豊富で性にオープンな大人の女を演じようと、咲太のセクハラ発言を受けて立ったり、あるいは自分からも挑発したりもするのだが、一皮剥けば男性経験皆無な奥手であり、大抵毎回自爆する。そうやって顔を赤らめるところが最高に可愛い。こういうタイプのヒロインに弱いのです、私。

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