前島賢の本棚晒し【復刻版】14:秀章『GランDKとダーティ・フェスタ』
「自由」とか「体制への反逆」と言ったテーマが、フィクションの中でさえ輝きを失いはじめて、随分になると思う。
一昔前までライトノベルの主人公の定番といえば、冒険者だった。国家にも組織にも縛られず、己の腕だけを頼りにファンタジー世界を生きる者達。貴族の息子として生まれ、何の疑いもなく騎士となったエリートの青年が、自由な冒険者と旅をするうち、定められたレールの上を歩むだけの人生に疑問を持ち、やがてみずからも自由人となる――ほんの少し前までド定番だったはずのこんなプロットを、最後に