前島賢の本棚晒し【復刻版】14:秀章『GランDKとダーティ・フェスタ』
本記事はマガジン『前島賢の本棚晒し【復刻版】』に含まれています。連載の更新分と、今後更新される予定の記事が含まれているため、個別に購入して頂くよりお得になっております。
本記事は、電子書籍ストアeBookJapanに、連載「前島賢の本棚晒し」第8回として2014年11月14日に掲載されたものを、加筆修正の上再公開したものです。記述は基本的に連載当時のもので、現在とは異なる場合がありますが、ご了承ください。連載時に大変お世話になりました、そして、再公開を快諾頂きました株式会社イーブックイニシアティブジャパンの皆様に厚く御礼申し上げます。
「自由」とか「体制への反逆」と言ったテーマが、フィクションの中でさえ輝きを失いはじめて、随分になると思う。
一昔前までライトノベルの主人公の定番といえば、冒険者だった。国家にも組織にも縛られず、己の腕だけを頼りにファンタジー世界を生きる者達。貴族の息子として生まれ、何の疑いもなく騎士となったエリートの青年が、自由な冒険者と旅をするうち、定められたレールの上を歩むだけの人生に疑問を持ち、やがてみずからも自由人となる――ほんの少し前までド定番だったはずのこんなプロットを、最後に読んだのはいつの日か……。
「このご時世に、誰が好きで正社員からフリーターになるか!」
そんな現代日本の無意識が、ライトノベルにさえ反映されている気がする……。
デビュー作『脱兎リベンジ』で、反抗する若者たちの音楽としてのロックの復権を目指し、『空知らぬ虹の解放区』では性的マイノリティの表現規制への抵抗を描く秀章は、そんななかで、ずっと「反逆」の物語を描き続けている数少ない書き手である。
https://ebookjapan.yahoo.co.jp/books/260136/
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