成長期か否か
アスリートが運動指導者として活躍する為に必要な学びを提供しているメディアです。
本日は6月初日ということで、箸休め記事、すなわち、運動指導者としての思考に関するお話とします。
様々な知識やテクニックを身に着けても、それらを現場でどう活かすのか、或いは目の前の指導対象に対して「これでいいのか?」と常に疑問を抱き、よりよい方法を模索することが大切です。
人間の成長
人間は産まれたままでは生きていけませんから、成長をしていきますが、目に見える成長はいずれストップします。
有名なものは「スキャモンの発育曲線」でしょうか。
個人差はありますが、神経系の発達は早期に急激に起こり、生殖系が思春期にかけて急激に発達する、といった具合です。
今回の記事ではあまり細かいことに言及せずに進めますが、要は20歳ぐらいで身体の自然な成長は止まりますよ、ということです。
自然な成長とは、生理的な成長とも言えるでしょう。
だいたい高校生ぐらいまでに、勝手に身長が伸びて、体格もしっかりしてきて、見た目には男らしく、あるいは女らしくなっていくのが、一般的には自然であると考えられます。
成長期は読んで字のごとく成長する
著しく成長する時期を、「成長期」とも呼びますが、この成長期には先述の通り、ある程度勝手に成長していきます。
ですから、この時期にスポーツをしていると自ずとパフォーマンスが上がります。
速く走れるようになるとか、投球速度が増すとか、キック力が向上するとか、これは、練習の成果もありますが、身体の成長によるところも非常に大きい世代となります。
成長期を過ぎたらどうなるか
成長期を過ぎたら、生理的には衰えていく世代に突入しますが、急に老いるわけではありません。
むしろ、成長しきった身体をフルに生かして、より力強くなるはずですし、高校生よりも大学生、大学生よりも社会人の方がパフォーマンスが高いことが一般的であることを考えれば、むしろ進化していくと考えてよいでしょう。
しかし、記録やパフォーマンスの伸び具合は少々低下していきます。
これは例えば世界記録保持者と中学生を比べればよく分かりますね。
伸び率は下がるのです。
特に陸上競技や水泳のように戦術に頼る局面が少ないスポーツの場合、それは顕著です。
自己ベストが高校生の時のまま止まっているというパターンは、残念ながらそれなりに見受けられる現象です。
心を成長させる
身体の生理的な成長が止まってしまい、記録が伸び悩んでいる時、多くの人は練習量を増やし、ウェイトの重量やトレーニングの頻度を増やそうとします。
しかし、それで良い結果が得られたという話はあまり聞いたことがありません。
生理的には衰えていくのだとすれば、そんなことをすればただ疲労が蓄積するリスクが高まるだけです。
ここで、運動指導者としては、「心を成長させる」ように促していかなければならないと、私は考えています。
「私はこのやり方で強くなった」
「追い込まないといけない」
「練習量が足りないんだ」
この考え方が問題なのは、身体の成長が止まっていることよりも、心の成長が止まっているからです。
一旦別の例で考えてみましょう。
営業マンが売り上げを上げることに苦労しているとして、
「去年はこのやり方で上手くいった」
「もっとたくさんのアポを取ろう」
なんて言い出したら、きっと売れない営業マンで居続けるでしょう。
大切なことは、
「現状の問題点は何かであって、それを解決する為の手法は何が考えられるか」
です。
営業マンであれば、社会情勢やお客様の状況をよく見て、本当のニーズを聴き出してそれに見合う商品やサービスを案内することが大切です。
話を戻して、それがスポーツであれば、根本的な身体の使い方や、力の出し方や抜き方といったところに目を向ける必要があるかもしれません。
もちろん、明らかに練習不足なら練習を増やすべきですし、筋力が不足しているならウェイトトレーニングを入れるべきかもしれません。
要は、落ち着いて、問題は何で、対処法どんなことが考えられるかを、真剣に考えることです。
それは決して過去に戻ることではなく、未来へ進む為の思考です。
「昔のやり方」がよければ、それは「今も通用する手法」ですし、そうでないなら「別の手段」を講じなければなりません。
ただ、練習量をこなして、重量や本数などが増えて言っても、成長期以降にパフォーマンスを向上させることは難しいでしょうし、成長期においても「そんなにやる必要ある?もっとやることあるやろ?」という思考になれるかもしれません。
アスリート経験のある「運動指導者として」
特にアスリート経験があれば「自分はこうやって強くなった」という話を持ち出しがちですが、その経験談も冷静に分析して、「何故」それで強くなったのかを分析してください。
分析するには、学びが必要ですね。
だから運動指導者は学び続けないといけないのです。
その上で、有効な手法は後世に伝え、馬鹿げていたことだと思ったら笑い話として喋ってあげてください。
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