漸進性の原則
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最近の記事ではトレーニングの原理原則に関して少し踏み込んだ話を続けていますが、今回は「漸進性の原則」について解説していきます。
トレーニングの原理原則に関する概説は以下の記事をご覧ください。
漸進性とは?
漸進性の原則について上の記事では以下の様にまとめました。
負荷は徐々に増やすこと
まさにこれだけの話ですが、もう少し踏み込んで考える必要があります。
そもそも「漸進」という言葉にあまりなじみがない人も多いことと思います。
この「漸進」は「少しずつ進む」の意で、対義語は「急進」です。
ちなみに「漸」は訓読みで「漸く(ようやく)」と読みますので、本当にゆっくりした印象を持たれることと思います。
この言葉から読み取れる印象というのが大切です。
少しずつの少しって?
この少しずつ負荷を増やすということは、まともに考えれば当たり前です。
しかしアスリートの様に運動が得意な人の考える「少しずつ」と、運動経験に乏しい方の「少しずつ」は全く異なります。
私たち指導者はその尺度を前者として持ち合わせていますから、注意しないと運動経験に乏しい方からすれば「少しじゃない」水準で負荷を増やしてしまいがちです。
人間は急激な負荷には弱いものですから、本当に慎重に負荷を増やしていく必要があります。時には「こんなもんでいいの?」と少々馬鹿馬鹿しく思える様な「少し」を作り出すこともあります。
ホメオスタシス
これは生理学のおはなしですが、人間は急激な変化には上手く対応できない生き物です。
ホメオスタシス(生体恒常性)といって、現状を維持しようとする働きが私たちの身体には備わっています。
ですから「急進」してしまうと例えば激しい筋肉痛や倦怠感といった運動の継続が困難なフィードバックが下ってしまいます。
この反応が出ない様に騙すことはできません。
出来るとすれば、「漸進」しかないのです。
「急がば回れ」なんていう言葉もあります。
指導者として「急進」は絶対に避けましょう。
これは原則の話ですから「漸進」こそ適切な運動指導のキーになるのです。
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