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今回の記事では、運動指導をするにあたって忘れてはならない「トレーニングの原理原則」の中から「意識性の原則」について取り上げます。

「トレーニングの原理原則」に関する記事はこちらをご参照ください。


意識性の原則とは?

上記の記事の中では、意識性の原則について以下のように解説しました。

トレーニングの目的、意図を理解する

つまり「目的を明確にしてトレーニングをしましょう」ということです。


筋トレ界(あえてこういう言い方をします)では「使っている筋肉を意識するのだ!」ということがよく言われますが、これも「どこの筋を鍛えているのか?」という目的に対して意識を向けると言う点で、適切な考え方とも言えます。


意識性が失われている例

目的を明確にしたうえで運動をした方がよいというのは当たり前のように思える話です。

しかし、実際の現場ではそんな意識性が失われていると感じられる場面が少なくありません。

例えば部活動等で起こりやすいのは、「指導者に言われたから」という理由だけでトレーニングをするというものです。

「とりあえずグラウンドを10周走ってこい!」というハチャメチャなものはどう考えてもおかしいのですが、選手(生徒)が指導者に対して意見できない空間においては、「とりあえずやるしかない」という状況に陥ってしまいます。

もちろんグラウンド10周を走ることで得られる効果もあるでしょうが、その効果を狙っているのか、ただ服従させる為に10周走らせるのかでは、話はまるで違います。


目的を提示する

この様に考えていくと、指導者が留意せねばならないのは、今から実施するトレーニングプログラムの目的は何かを対象者に対して提示することです。

場合によっては「何も考えずにやってみて?」という誘導をすることもありますが、それは何故かというのは説明できなければなりません。

そしてつまるところ、対象者が自分自身の頭で目的を理解するということが大切です。

これは指導者と指導対象者の間で、コミュニケーションがしっかり取れている必要があるということにも繋がります。

指導対象者の理解度に合わせた説明が出来ないといけないのです。


(番外編)意識のさせ方

先に「使っている筋肉を意識するのだ!」という筋トレ界のお話をしました。

これは使っている筋を意識することによって、動員される筋線維の数を増やすという効果も期待できるのですが、いわゆるストレッチをする際には要注意です。

ストレッチをするということは筋を伸ばす必要があるわけですが、よくここで「伸ばしている筋を意識してぇ……」なんて言う人がいます。

これはよくありません。

意識すると動員される筋線維の数が増える、つまり筋は活動する、すなわち短縮する方向に働くのです。

筋は自発的に伸びるという機能を有していません。

ですからストレッチやリラクセーションを目的とするのであれば、その目的とる筋や部位のことを意識してはいけないのです。

例えば前屈をして裏腿を伸ばす場合は、裏腿を意識するのではなく「手を地面に近づける」とか「身体を折りたたむ」という別の言葉掛けによって、裏腿から意識を外すことが大切です。

この様に意識のさせ方ひとつで、得られる効果が大きく変わってくる事例は多々あります。

様々な言葉のバリエーションを獲得して、よりよい意識を持って頂ける様にしましょう。


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