KOK勝手に応援企画2021年大会出場者紹介(7)~HI-KING TAKASE
2010年代から徐々にはやり始めたMCのフリースタイルバトル。元々はいわば、クラブのイベントなどで行われる余興に近いものだったことは間違いない。
だが、KREVAさんやR-指定のようにフリースタイルバトルで圧倒的な強さを誇ってきたMCが成りあがって行く様というのは多くのB-BOYたちに希望を与えたし、またそもそもが「自らのプロモーション活動」とも考えられる。
だが、その中でふいに思うことも多々ある。それは「フリースタイルでの活動」でしか印象にないMCもいるということである。
MCバトルブームだからこそ
BAD HOPのT-PABLOWさんやYZERRさんのようにバトルから成りあがって、現在メジャーという大きな舞台で活躍するMCは実際にはあまりにも少ない。
もちろん、切った貼ったの世界である音楽・芸能という部分の世界において生き残ることは決して容易ではない。だからこそ、MCバトルという部分で生き残っているMCが多々いることは事実だ。
例えば、ちょっと前に曲を出したベルも言わばバトルMCの枠を出ていなかったし、がーどまんやミメイ、ニガリも曲という点ではあまり評価を聴いたことがない。昨年UMBを制覇した早雲さんも、やはり楽曲というよりはバトルでの評価が先行している。
そういうのもあってか、かつてバトルで名を馳せていたMCたちが楽曲に比重を置く活動をしているのが印象的だ。Novel Coreと百足といった、MCたちがそうした経験を得て、レベルアップを果たしていくのだろう。
ただ、まだまだバトルが先行しているのは事実だ。実際に舐達麻が凱旋MCバトルでライブをした際にあまり盛り上がっていなかったというのもあったらしいのだが、楽曲だけで勝負をしているクルーやMCたちには、中々光が当たらない。
それこそ、スナフキンさんが舐達麻をティーアップしなければ、彼らがここまでのMCになっていたかというのも疑問が残る。
だからこそ、ここまで成熟しきったこの文化に対して「次」はどういうことをしていくのかがとても大事なのだと思う。
それこそ、楽曲という部分で勝負しているラッパーたちの曲もまた、聴いていきたいとは思うのだけれど。
そんな、古くから活動し、楽曲そしてバトルと活発に頑張っているMCがまたKOKに戻ってくる。
HI-KING TAKASE
「音源と両立してこそのラッパー」という意識で、楽曲にバトルに活発に活動するMC。RHYMESTERの「リスペクト」を聴いて「雷を受けた」ほどの衝撃を受け、ラップを始めた。
2008年から活動をしている一方で、2015年にアルバムを出すまで時間を要したこと、またその中で様々な経験を積んだと己の未熟さとも向き合いながら地道に成長し、活動をしてきたMCでもある。
ユーモアあふれるワードセンスと聞き取りやすいラップで多くのヘッズたちの心をつかんできたTASASEさんは、傍からするとB-BOYというよりは「気の優しいお兄さん」という印象だ。実際にあがり症でスロースターターという彼が、KOKでどんな活躍を見せてくれるか。今から楽しみでもある。
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