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KOK2024勝手に応援企画(6)KOK全国大会代表「GIL」

リアルなラッパーたちが集い、そしてそのリアルさを愛する人たちのための大会、KOK。これまでは協力大会と9Sari選抜という形をとってきた大会の中で、予選枠として1枠が確保される形となった。

各地方大会から勝ち上がり、そしてたった1枠のために覇権を争った戦いを現地で観戦してきた。そして、勝ち上がってきたラッパーについてもご紹介する。


KOK全国大会

たった1枠の激しい争い

11月23日に渋谷HARLEMで行われた全国大会は、前回大会で全国予選を勝ち抜いたオニオンことSilent Killa Jointのライブから幕を開けた。いなたくも実に格好の良いラップで観客のハートをがっちりと掴むと、全国地方から勝ち上がってきたMCたちのバトルが始まった。

私自身もリサーチをあまりしないで行ったものだからここでは個人的に印象に残ったMCたちを紹介させていただきたいのだが、ZトNさんが圧倒的に仲間を多く引き連れてそのあとも物販でワイワイと楽しそうにしているのが印象的だったし(もちろんフリースタイルは素晴らしいものがあったわけだが)、岡山代表の牛志さんもまた実にかましたと思う。

言うまでもなく空廻さんの相手を一瞬おちょくりながらも酔拳のように立ち回るフリースタイルはガッチリと観客の心をつかんでいたし、個人的にはOMATA Longinusさんのあの「おじさんの叫び」はとてつもなくうんうんと共感する分もありNAIKAさんとか崇勲さんのようなそういう味のあるラッパーがまだまだ地方に入ると思うとなんだかうれしくなった。

言うまでもなく、フリースタイルのバトルというのは「スタンスの提示」と「分かり合えるかどうか」という部分に大きく依存する。その中で観客や審査員が納得してどちらが良かったかを決めるのがバトルだ。いわゆる「上手に言えたので1ポイント」というものではないことは認識しておかないといけない。

いわば「最近のMCバトル」ではぶちあがれない人たちの中にこそ本当に光るものがあると実感させられた大会だった。その中で、KOKの舞台を勝ち取った男がこの人だ。

GIL

白河の気高きリリシスト

ということでチャンピオンとなったGILさんだが、彼のラップスタイルは一風変わっている。相手を見据えるわけでもなくじっとやや目線を下げて動かず、徐々に言葉に熱を加えそしてパンチラインを食らわせる時に一気に炸裂させる。

じっとこらえて相手の動きを探る様はさながら様々な死線を潜り抜けてきた武士のようで、その一発で相手をひっくり返すことができるラッパーとしての老獪さも併せ持つ。輪入道さんのようにガッチリと相手を受け止めるタイプのMCだ。

一方でラッパーにとって何よりも大事なライムはとても詩的で、情感あふれでてくる。相当頭の回転が速くないとこうしたライムを吐くことはできないし、一撃で相手を伸せるだけのパンチラインを吐くことはできないのだなと実感させられた。彼がただバトルのうまいだけのラッパーではないということを如実に示している。

今年はUMB2024にも出場したが、惜しくも準優勝だったJAKEさんに敗れてしまったが、年始に向けて熱量は満載だろう。質実剛健なラップスタイルとバトルが終わった後に対戦相手の目を見てニコッと笑うあの顔は何度見ても癖になる。

豊洲PITで、彼のそんな笑顔になるところを楽しみにしている。

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