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KOK2023勝手に応援企画(3)「MOL53」

日本語ラップで今ラップが上手いラッパーは?と言ったら誰になるだろう。
バトルで今一番強いのは誰?と言われると誰になるだろう。

率直に言えば上手いラッパーという定義に関する回答を求められると極めて難しい。主観なども入るし、何をもって「上手い」と定義すべきかがわからないためだ。

バトルの強いラッパーと言われるとそれはただ「ファン」が多いという部分にも左右されるため絶対的なものが無い。

なんとも定義が難しいが「ラップが上手くて、しかも強い」人というのがやはり大きな大会を制してきている。その中の一人として名前を挙げなければならないのがMOL53さんだろう。


R-指定をあと一歩まで追い詰めた男

2010年、11年のUMBの覇者と言えば晋平太さん。まだUMBの規模が小さくそして…出場枠も限られているまさしくアングラな中で行われた激闘を繰り広げたのがR-指定さんだった。

彼が2012年大会で3連覇できなかった後を継ぐようにRさんは3連覇を達成する。その最初の栄冠を手にした際の決勝戦の相手こそが53さんだった。当時のバトル界隈は「東京」「大阪」「神奈川」「埼玉」といった大都市の面々が勝利をしていた。

その中でたった一人当時福岡代表として出ていた宮崎県日南市の男は持ち前のラップのスキルだけを武器にして(それはRさんも同じではあるが)ファイナルまで出てきた。結果として最後のバースの音抜きのミスによって準優勝に終わるが、これ以降「地方のやばいMC」にもどんどんとスポットライトが浴びてくるようになる。

その後もMCバトルでは勝ち上がる高い安定感を持つ一方で、UMBなどの大きなタイトルにはほとほと縁がない(CIYは優勝したことがあるが)。まぎれもない優勝候補と言われていた年に逮捕される不運もあった。そのスタンスやSNSでヘイトを集めることもあるが、そのたびに彼はすべてを覆してきた。

RAWAXXXとしてKOKを制し、300万円でスタジオを作成しBlazz Worksというアパレルブランドで服を作り…彼は逆境からすべてを見出してきたのだ。

常にある「マイク一本」

彼のマインドの根底にあるのは「マイク一本」という意識だ。そしてそのすさまじいまでに高いラップのスキル。バックステージでの批判をすべて彼はマイク一本で跳ねのけてきた。ステージに立ち、曲を作りながらそれだけで自らを証明する様。

その生きざまそのものを多くの同業者が認めている。売れていないことを批判する向きも中にはあるものの、売れていなくても格好いい曲を作り続け、そしてステージ上でその様を見せつけ続ける。

同郷の同級生とはまた対照的な生き方をしながらも53さんは今でもまだ「マイク一本」で己を証明し、そして純粋にストリートカルチャーを心から楽しんでいるのだ。

代表曲

Back In The Days -12-

彼の代表曲は何か?と言われると正直難しい。過去を語ることはあまり好まない彼にとってマイク一つで勝ち上がってきた様を知ることができるとしたらこの曲だろうか。

前回大会は準優勝に終わったが、出場した5回のうち4度の決勝進出は最多。そのうち1回の優勝を誇る彼は、今もなお孤高であり多くのヘッズに憧れを抱かせ続けている。

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