どこまでも鳴り響け。
10月19日、どうしてもこの日だけは押さえておきたかった一日だった。
だから、バイトのシフトに入れるかどうかという連絡も、他の人の誘いも。
すべて断って、この日を待っていた。なぜなら、PK Shampooというバンドは、それだけの時間を掛けて見に行く価値のあるライブだと私は思っていたからだ。
だけれど、それ以上に私は彼らに……いやヤマトパンクスに感謝をしなければならなかった。
それは、彼らがいたからこそ、今回の短編小説集を出すことができたからなのだ。
歌詞の中に語られる、心が弱いがとてもやさしい男の言葉。そして、息遣い。
PK Shampooは間違いなく後世に語り継がれるべきバンドだし、そしてこれからも追いかけていきたいバンドの一つであるということは間違いないと思う。
鳴り響け。
今回、初のライブレポートだが、そう書こうと思う。
※あくまで個人の感想ですので、様々ご意見があると思いますが、なにとぞご容赦くださいませ。
①登場・京都線・僕らが死ぬまであまり時間がない
何度か言っていることなので、今更ではあるがPK Shampooというバンドが無ければ、今回の短編集を作り上げることができなかった。
だからこそ、しょっぱなから「京都線」が流れた時には、マジかと思った。
今回のPK Shampooは主催者の龍ノ平さんからの強い要望で、一部をTrash Noiz版でお送りすることとなっていたらしい。
そのせいなのかトップから京都線を流し、かつてのTrashをほうふつとさせるような不思議さと、同時にいきなり観客に向かってヤマトパンクスが飛び込んだ。
ただ、どちらかと言うとやっぱりTrashよりはPK Shampooよりだったのかな……と思わないでもなかった。
それと同時にこの時点から相当涙腺はやばかった。
声を張り上げて歌っていたのだけれど、何度も何度も声が引っかかりそうになってしまって、本当にどうしようもなかった。
そのあとに来た「僕らが死ぬまであまり時間がない」も、時間がないから行こうというのが励ましにも聞こえて、過去への後悔にも聞こえて。
それでも、前へと進もうとするその強い意志をあえてそういうことで見せているようにも感じられて。
きっとここにあるのは「やさしさの中にある後悔」なんだろうと思う。
「なんであの時にあれを聞けなかったんだろう」とか「なんであの時にできなかったんだろう」とか、人生ではどうしても多くある後悔。
それでも「時間がないから行こう」と強がるように奮い立たせるように歌い上げているのに感動して、やっぱりここでも言葉に詰まった。
冒頭の美しさと反比例して、それが情景が湧いてきてこれはまずいと思った。
②星・空のオルゴール
※多分、ここからはほとんど叫んでいてよく覚えていないところもあると思う。どうか容赦してほしい。
毎回思うが「星」はここまで完成度の高くて、正直これを出されてしまえば太刀打ちができないと何度も感じさせられてしまう。
この曲を最初に作ったのかどうかは分からないけれど、何度も何度も口ずさみたくなり、そして間奏とラストで何度も何度も泣きそうになってしまうほどだ。
このメロディーラインの美しさをどう表現していいのかわからないのだけれど、はっきりと言えるのは一つ。
ヤマトパンクスってどこを見ているんだろうとさえ思ってしまう。
天才ゆえなのか寂しいのか……。彼と同じ次元で会話ができる人ってどんな人なんだろう。
そして、助走となった「空のオルゴール」。
毎回感じるのが、一番ライブで盛り上がる曲なんだろうけれど、多分ヤマトパンクスにとって「幸せ」って言うものがこういうものでしかないのかもしれないと思う。
そう考えると、本当に寂しい世界からやってきた男なのかもしれない。
あるいは……だからこそ、誰かに認められたくて、幸せをずっと追い求めているのかもしれない。的外れならばごめん。
③号泣した君の秘密になりたい
思うと「君の秘密になりたい」は何度聴いてもこれからも号泣するかもしれない歌であるということだ。
イントロが始まり、歌い始めるともうだめだった。一番思い入れのある歌で、一番届いてほしい人に向けてどうしても届けたいんだけれど、それでも届かなくて。
そして、何よりもどうしても伝えたい想いがあったのだけれど、ふいにその情景と歌が重なった瞬間ダメだった。
完全に私情が入っているんだけれど、それがこの歌の個人的な答えだった。
だから、小説ではこう書いた。
秋の風がアルペジオを運んでくる前に、あの人の秘密を知りたいという感情を持ってしまった。
それが叶うかはまだ一切分からないけれどね、という形にしたのは個人的な解釈だ。
ぶっちゃけ脈ありかどうかさえ分からないのに、そんな彼らの歌がどこまでも鳴り響いてくれるといいなと思って、聞いていた。
④夜間通用口を抜けて、また会いましょう。
そしてMCを挟んだ後に夜間通用口。
その時にはなぜか涙が乾いていた。それはヤマトパンクスという男の「決意の歌」だから。
確証のない未来、その先にある苦しみ。
全部が全部思い通りに行くわけがなくて(実際にヤマトパンクスは大学卒業までに7年半もかかっている)、自分も自分で25の時に会社員という立場から放り出されたと考えれば本当はそうなるなんて考えていないはずだった。と思う。
彼はすごい。自分はどうだ?問われているのはきっとこれからも変わらないだろう。だからこそ、今過去から未来へと踏み出した。
夜間通用口は自らが前へと進んでいくという決意表明のような歌なのだと感じる。
ヤマトパンクス、いやPK Shampooがさらにレベルアップをして戻ってくるという、彼なりの決意表明だったのかもしれない。
だから、涙目で別れない。むしろ笑ってまた会える時を楽しみにしたい。そう感じた。
これまでの人生がろくな人生だったかどうかは分からない。それは自分でも選択した結果だから、何も言うつもりはない。
あえて言うならば、くそったれでも、悔しくても。この音楽がある限り自分は価値があることをつなぎ留められそうな気がする。
過去の自分と別れて、軽やかに走ることができそうな気がする。
PK Shampooとはそういうバンドなのだと、強く感じたしまた自分も何かを書きたいと感じている。
なんでだろう。疲れているのに、まだ眠れない。
もっとでかいところに彼らが行きそうだからなのか。それとも……彼の見ている世界はもっと遠くて深いのか。
分からない。とりあえず言いたいのは「夜間通用口を抜けて、また会いたい」ということだけだ。
そして、もっともっと彼らが鳴り響いてほしいということだ。
そして、ありがとうハングリーオーバー。最高の時間でした。そしてありがとうお会いした皆さん。またお会いましょう。