KOK勝手に応援企画2021年大会出場者紹介(9)~CHEHON
HIPHOPとレゲエ。近年、その繋がりがとても強まってきている傾向にある。それは、とても喜ばしく、また音楽という点において新たな幅を見せ私たちにバトルの面白さを広げてくれたように思えてならない。
最近ではMAKAさんのように、レゲエDeejayとMCの二刀流をしている方も多いし、古くから現場レベルでは深い交流があったことは事実だ。そして、今年のKOKにはなんと、レゲエDeejayが本格的に殴り込みをかけることとなる。
今回出場者のMC紹介と併せて、自分なりに調べたDeejay Clashと先日行われた渋谷レゲエ祭 vs 真・ADRENALINEについても書いていきたいと思う。
レゲエとHIPHOPの違いとは?
レゲエは言わずもがな、生演奏で歌い上げるのが特徴でオーソドックスなバンドの編成に、トランペットやトロンボーンを加えたバンドで演奏されることが多い。レゲエの曲で有名なものと言ったら純恋歌だが、それほど韻を踏むわけではないし、また音楽性の面も割と「歌」に寄っているのが特徴だ。
一方でHIPHOPは4つ打ちのリズムに攻撃的な内容のラップを乗せ、韻を踏んでいくことが特徴。MCバトルでも基本的に4つ打ちで作られており、基本的にメロディーの部分はそれほど重要視されない(もちろん「それほど」というわけで、重要視している曲もいくつかある)。
こうした異なる違いがあるが、DEEJAY ClashとMCバトルの違いとしてあるのは「ネタ仕込みがOKかどうか?」ということになる。
原則的にMCバトルは『即興性』が求められる。何やら考えてきたようなリリックで戦うという事をナンセンスとしている部分がとても大きい。
だが、DEEJAY Clashでは『ネタ仕込みOK』。もちろん即興で戦う部分もあるにはあるが、むしろ盛り上がることが出来ればOKという部分もあり、いかに面白く楽しくピースにやることができるかが問われる。
だが、元々ビートに乗っけてバトルをするという点では同じのために、極めて親和性が高いことも事実だ。
だからこそ、喰吐さんや手裏剣さんといったMCたちもレゲエを聴いていた人たちだって中にはいるし、日本語ラップにおいても多大なる貢献をしていることに間違いはない。
そして、その絆がより強固なものとなったきっかけがあった。それは2018年フリースタイルダンジョンで行われた「レゲエVSHIPHOP」。
この企画で、レゲエDeejayとHIPHOPのMCたちがMCバトルという舞台で見事に活躍。また一方でMCたちも負けじと応戦し、見ごたえのあった企画として高い評価を得た。
その後、フリースタイルダンジョンで3代目モンスターにはJAMBO MATTCHさんが選ばれ、挑戦するMCたちの幅が広がったことも大変意義深いものとなった。
そして、今年行われた「渋谷レゲエ祭 vs 真・ADRENALINE」も同様に大成功を収めることとなったのだろう。
渋谷レゲエ祭 vs 真・ADRENALINE
元々の現場力からか、それとも生演奏という舞台が良かったのかは分かりかねるが、強豪MCたちを続々撃破していくDeejayたち(個人的にはMAKAさんが鬼ピュアさんに勝利したバトルも印象深いので、アベマやアドレナリンの公式チャンネルよりぜひ確認してほしい)。
その中で、唯一残ったのがMU-TONさんだった。
どちらかというと、MU-TONさんはメッセージ性や口げんかで勝利するというよりも「格好良ければOK」というDEEJAY Clash寄りの考えのMCだ。元々バンドなどもやっていたからか、音に対する高いセンスを持っている。
当然ライブ慣れもしているだけあって、即興で盛り上げるのがめちゃくちゃ上手い。
「上手く踏む」ことを考えるよりも「自らを格好良く見せる」ということに主眼を置いている彼にとっては、当たり前のことだったのかもしれないが。
特に1回戦で戦ったPOWER WAVEさんとのバトルではMU-TONさんらしいフロウももちろんだが、演奏を即興で取りやめさせてアカペラで踏むということもやるなど音楽性と即興性の高さ、そして格好良さで圧倒して見せたのは驚きだった。POWER WAVEさんも決して悪かったわけではないし、むしろレゲエの魅力にあふれていた。
個人的にはMCがDEEJAY Clashに出ても良いと思うし、そういった交流がさらに幅を広げてくれるんじゃないかなと思ったりもした。
さて、今回なぜレゲエの話をしたのかというと、今回KOKに出るMCにあの高名なDeejayが出場することになったからだ。それがCHEHONさんである。
CHEHON
既にレゲエミュージシャンとしても「みどり」で大ヒットを記録するなど、大変高名なDeejayの一人である。
しかし、2018年のフリースタイルダンジョンで呂布さんに勝利して以降、積極的にMCバトルにも参戦をするようになる。そこでも圧巻の戦いぶりと存在感を見せつけていたが、ついに2021年にKOK東日本予選で優勝を果たした。
また、音楽活動も決して止めることなく、2021年にはアルバムもリリースするなど積極的に活動を広げていることから、レゲエでもHIPHOP界隈でも大きくリスペクトをされているMCだ。
今回、HIPHOPとレゲエの両方で頂点を極めることになるのかも注目だ。