口喧嘩祭に乗り込んだ
時間が経っても、まだ熱が引かない。それくらい熱い大会だった今回の口喧嘩祭。いつどの状況で誰が戦うかということも明確にならないまま、それぞれがステージの裏で待つというひりひりした緊張感はどの大会にもない最大の魅力だろう。
しかしだ。それでもバトルそのものが面白くなければ、大会そのものに意味がなくなってしまう。その点でも、口喧嘩祭はイベントとして飽きることがなかったということを明確にお伝えしておかなければならない。
今回はその当日どのようなことが行われたかも含めてレポートしたいと思う。
地元のクルーががっちり空気を作り出した
オープニングアクトとして登場したのはHIKIGANE SOUND。言わずと知れた大会を主催するメンバーがステージ上でがっちりと観客の空気をつかむ。
やはり、岐阜のドン・梵頭さんに加えてネームバリューがある裂固さんが在籍するだけあって、いきなりのインパクトは絶大だったといえる。個人的にはアルカイダさんの何考えているか分からなさそうな感じの振る舞いはとても好きだ。
https://www.youtube.com/watch?v=rbHEBsHfOVY
↑彼のソロ曲らしい。
その後に出てきたKJIさんもまた「いかにもHIP HOP」な曲で会場を温めてくださった。会場から開演までの1時間以上場を温め続けたDJタイム含め、テンションをあげるのには十分すぎるライブだったように思う。
元来、東海地区は相当ドープなMCたちが多く集まる場所だ。まだまだ東海地区に潜むやばいMCたちがどんどん出てくるに違いない…。そんなことも思わせるくらいのオープニングライブだった。
そしてメインイベントでもあるバトルが始まる。
とてつもない緊張感の中優勝したMCは…裂固!
久しく聞いていなかった名前だった裂固さんだが、UMBではベスト4にも残っていたし、優勝こそなくてもMCとしての地金を鍛え続けていたことが存分にわかる大会でもあった。
第1試合から素晴らしいバトルとなったが、本当に「これはこっちの勝ち」という明確な判定を下すことが難しかった。
実はオープニングのライブを聴いている途中から腰が痛くて大変だった。これ、最後まで持つかなと不安になっていたのだが…いざバトルが始まれば本当にあっという間だった。本当にそれさえ吹き飛ばすくらいハイレベルなバトルが多かったためだ。
行われた試合、どれも素晴らしいバトルだったが特筆すべきはやはり裂固さんだろう。極めて印象的に残る……準決勝の梵頭さんとのバトルは、MCバトルの年間ベストバウト賞があるとするなら間違いなくノミネートされるにふさわしいと思う。憧れであり師匠でもある梵頭さんという存在を乗り越えたこと、何よりも地元岐阜を代表するMCだったことも有利に働いたのかもしれない。
だとしてもだ。これだけは声を大にして言える。間違いなく今回かましていたのは裂固さんだったという事。そして、その空間を創り出したのは梵頭さんを始めとする関係者の皆様だという事だ。大いに感謝したい。
そして……、この大会はライブもそして「エキシビジョンマッチ」も凄いものがあった。
口喧嘩祭はラップバトルだけにあらず
実は今回、ラップバトル以外でも「エキシビションマッチ」として行われたバトルがあった。
ダンスバトルである。これ自体を見るのが初めてだったわけだが、ラップバトルが全盛である今だからこそ、ダンスバトルもまた注目したくなるものがあった。個々人の感性だけにゆだねられる格好良さや表現にどっちが上と決めるのが難しいからこそ。
テーマごとにビートに乗せて即興で踊るバトルが行われ、質の高さとパフォーマンス一つで一気に観客の心を掴めるダイナミックさに何度も驚かされた。「ヤバかっただろ?」嬉しそうに話す梵頭さんの声はとても鮮烈に残っている。
そして行われたYUKSTA-ILLさんとMU-TONさんのライブもまた、途轍もなく格好いいステージだったということもまた、お伝えしておきたい。
HIPHOPとは何ぞやというのを彼らは追い求め、そしてまだまだそれは途上にあって。それを貫き通すっていう事の難しさ。そして、それを追い求め続けることの美しさ。彼らは何よりも知っているのだろう。
それがGADOROさんのライブにも繋がっていった。今までサブスクやYouTubeでしか聴いたことの無かった彼らの歌声や生のラップ。これらが途轍もなく美しくて素晴らしいものだったという事。それはこれからもまた伝えていくことになるのだろう。
初バトルの現場が岐阜の柳ケ瀬という場所で本当に良かった、口喧嘩祭で本当に良かった。私はそう思う。
満足度100点満点で言ったら150点以上を越えるような、そういう素晴らしいイベントだったと思う。大満足にさせてくれた皆様に改めて感謝に数多くの濁点をつけて。
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