35歳無職、コロンビアを巡る【カルタヘナ~ボゴタ】
こちらのnoteの続きになりますが、読んでいただかなくても大丈夫な内容です。
幼馴染が仕事しているコロンビアへ渡った9日間の記録をnoteに残しています。
コロンビア第二の都市メデジンを後にし、カルタヘナへ向かってからの旅行記です。
カルタヘナ:アート、グルメ、様々な顔を持つ世界遺産都市
コロンビアは中米からニュルッと伸びる陸地と南米大陸の入口部分にある国で、比較的広く海に面している国でもあります。
カルタヘナはそんなコロンビアの北側の海に面した都市です。
リアルディズニーシーを思わせるような素晴らしい景観と、現代的な商業施設や娯楽施設を備えたカルタヘナはどこでカメラを構えても画になる美しい街で、東洋人にとっては街を歩く間ずっと異国情緒を感じられる都市です。
メデジンから空路で1時間ほど。カラッとした乾燥した気候のメデジンとはうってかわって、飛行機を降りた瞬間から湿気を帯びた「むわっ」とした空気に包まれます。気温も湿気も日本の初夏に近いような、そんな気候の街です。
カルタヘナは海に面しているため、交易を司る要所であると共に、スペイン植民地時代は他国やら海賊やらの攻撃から国を守るための防御都市としての機能も備えていました。
そのため、街は砲台を備えた堅牢な城壁に囲まれています。
しかし、時代が進み城壁もその役目を終えると、ここを住処にしたホームレスが増加し街の治安は悪化、一時はこの美しい城壁の解体も検討されたとのことだったのですが、この城壁の観光資源としてのポテンシャルに目をつけた行政は城壁やその中の街の景観を保存する方向へと動くことになりました。
この防御施設としての要塞や、壁内に遺る当時の建物の希少性が認められ、港を含めた旧市街地一帯が1984年に世界遺産として登録されました。
広大な壁内にはスペイン植民地時代当時の建物や教会が保存されており、そこを改装した飲食店で食事をしたり、宿泊したりすることができます。
Ganem Suites (ホテル):築100年以上の建物を活用したホテル
友人がこちらも予約をしてくれたホテルだったのですが、とても素敵でした。
場所は壁内の旧市街にあり、100年以上もの歴史のある建物をリノベーションしたホテルで、部屋などは現代的に使いやすく作り変えられているものの、ところどころに重厚な歴史を感じられる素敵なホテルでした。
こう見てみると、巨大な吹き抜けや、整然として広々とした廊下など、元々の建物自体も当時相当先進的な建築だったのだと想像させられます。
ヘツェマニ地区:城壁外のローカルでアートな街並み
城壁から外に出て少し歩いたところはヘツェマニ地区と呼ばれる可愛らしい街並みが広がっています。城壁内の荘厳な街並みとは対照的で、庶民的な雰囲気とアートに囲まれた、ここもカルタヘナの人気の観光スポットです。
かつてはここもかなり治安が悪かった地域だったのですが、城壁内を中心とした旧市街地が観光地化されたことで治安の改善が進み、現在では多くの外国人が訪れる場所となっていました。
読んでいた本によると壁内では景観保護のため、個人による露店の出店が規制されていたそうなのですが(それでも結構露店はあったのですが)、ヘツェマニは道の両脇に様々なアートが飾られており、街の彩りを生み出していました。
新市街地とビーチ
宿泊している旧市街地からUberで15分ほどのところに、オフィスビルが立ち並ぶ新市街地があり、そちらはビーチが有名で見に行ってみました。
一つ前のメデジンの街並みを見たときは茶褐色のビルが立ち並ぶ光景が印象的だったのですが
こちらは壁が白く、それだけでちょっと見慣れたアジアの市街地の風景にも見えてきます。
ただ、ビーチと聞いて日本人が想像するような「白い砂浜と青い海」というリゾート感はあまりなく、観光客で賑わってはいるものの「まぁこんなもんかぁ」という感じ。
ビーチでビールを飲んでも良かったのですが、とにかく暑いのでここはささっと帰りました。
La Serrezuela:フォトジェニックな高級モール
場所はまた旧市街に戻って、非常にキレイなショッピングモールも見てみました。空港にもでかい看板があった、非常に近代的な商業施設です。
上の写真の中央の階段を下から見るとこんな感じ。この階段は行ったときは使えないようになっていました。
劇場を思わせるような大きなホールを備えており、元々あった建物を改築したものなのかも?とも思いつつだったのですが歴史的な背景はわからず。。
ただ見ているだけで非常に面白いモールでした。価格帯的にも観光客向けであまり地元の人がいるような感じはしなかったのですが。
CHIVA:観光そっちのけで踊り続けるパリピのバス
コロンビアには各観光地でCHIVAと呼ばれるド派手な観光バスが走っていることがあります。夜の街に繰り出して時間を持て余した我々も興味本位で乗ってみることにしました。
乗車自体は2000円くらい?だったか。それにドリンクを買わなければならず、合計一人3000円ちょいだったかと思います。
現地にいる友人も乗るのが初めてだったようで(まぁ東京住まいの人がはとバス乗らないのと同じかもですが)最初は派手な音楽流しながらグルグル街を回る感じなのかなぁくらいに思っていたのですが、バスが走り出し、DJが爆音で音楽を鳴らしだすと次第に乗客のボルテージも上がっていきました。
スペイン語で何しゃべってるのか分からないのですが、先頭のほうに居た女性の乗客がバスのポールを使ってポールダンスをし始めたのを皮切りに、一気に車内がダンスモードになりました。
その後はもう走り続けるバスの車内で全員が立ち上がり、車内をグルグルと回り始めます。もうこの時点で「これ観光関係ねえわ」ということが分かり始めてきました。
途中申し訳程度に休憩を兼ねてフォトスポットにも立ち寄りましたが、まぁ完全に乗客の人も爆音の音楽に任せて踊りに来ている、という感じで、カルタヘナの旧市街と新市街を何往復もしながら2時間、爆音の音楽を垂れ流す車内で歩いたり踊ったりしていました。
乗客はやはり観光客で海外から来ている人も多かったのですが、とにかくコロンビアはみんな踊ります。爆音で音楽を流して、歌うか騒ぐか踊る。これがコロンビア人のコミュニケーションなのだと、アジアの極東に住むコミュ障は身を持って体感したのでした。
CHIVAは最後は旧市街地近くのクラブで停車。そこで解散かと思いきや、そのクラブの入場料もCHIVAの乗車代に含まれていたらしく、仲良くなった乗客同士で最後はクラブで盛り上がる、というツアー設計になっているようでした。
自分は言葉も音楽もわからない中だったのですが、音楽好きな観光客にとってはかなり良い体験になる気がします。満足度がどうしても乗客の人たちの良し悪しという点への依存度が高い(自分は大当たり)のと、カルタヘナという都市の観光という意味合いがあまりにないのが難点ですが。
あと嬉しかったのが、翌日ボゴタ(首都)へ向かう飛行機を待っている際に、このCHIVAの乗客の方が声をかけてくれたことでした。
スペイン語のわかる友人は座席の関係で先に出ていってしまったところだったので、たどたどしい英語での会話になってしまったのですがとても嬉しかったのを覚えています。
正直昨晩の時点では自分だけ言葉がわからないので周囲に気を使わせてしまっている感情をずっと持っていたのですが、本当に彼らはそういった煩わしさや偏見なしに自分と接してくれていたのかなぁとその時感じれて、この旅の中での一つの良い思い出になりました。
◯カルタヘナでの食事たち◯
ちょっと食事に関してはここからまとめようと思います。
カルタヘナも一大観光地ということもあってか、食事のレベルが非常に高く、どこのお店もおしゃれで綺麗でした。ただ出費もそれ相応になる印象です。
主に友人が事前リサーチをしていてくれてそこを中心に回りつつ、たまにフラっとそのへんの店にも入ったりしてみたのですが、どこも非常に美味しかったです。
Buena Vida
宿泊先近くにあったレストラン。初日に遅めのランチを食べました。
友人ともこの旅の中でのベストレストランはここという意見で一致しました。それくらい料理が絶品でした。
カルパッチョに似たセビーチェと言う料理。レモンをベースとした酸味の強いソースと魚(鯛?なんだったんだろう、)の相性が最高でした。
海鮮のクリームグラタンパスタ。海鮮のダシとクリームソースの上にパン粉をまぶしてオーブンされたパスタだったのですが、これも旨い!ソースを最後の一滴まですくって飲み干しました。
友人が頼んでいた焼き魚。かなりのボリュームと肉感ある魚がバジルソースと合ってこれまたおいしい。
モラ(mora)と呼ばれるコロンビアでよく見るベリー系のジュース。ベリー系の爽やかで濃厚な香りと酸味が絶妙。コロンビアのレストランだとどこにでもあるありふれた飲み物のですがどこで飲んでもうまい。
レストランのメニュー見て「Mora」を見つけたらとりあえず頼んでみて損はないと思います。
店名忘れたアルゼンチン料理の店
ここも友人の事前リサーチでピックアップされていたアルゼンチン料理の店。友人曰く「アルゼンチン肉が世界一うまい」とのことで肉を食いにいったのですが、肉はアルゼンチン産ではないとのことでした。
ここもかなりフォトジェニックな店内で面白かった。
肉。アルゼンチン産ではなかったものの旨味しっかりでうまい。これで4000円くらい?だったかな。
付け合せのトマトと親の顔より見たAGUILA(ビール)。
外が蒸し暑いのですっきり系のAGUILAがやはりうまいです。
その後行ったバー
その後フラっと散歩してたのですが、夜でもダラダラ歩くには暑くて避暑地を求めてたどり着いたバー。(TIMEなんとかとかそんな名前だった気がする)
ここもオシャレなんですが、カルタヘナの旧市街地の壁内はこんな感じのいい感じなバーが何軒もあり、外国人で賑わっています。
ここでコロンビアでは有名な「アグアルディエンテ」という、焼酎に似たお酒を飲みました。
アグアルディエンテはサトウキビから作った蒸留酒で、焼酎に近いような飲み物なのですが、これを現地の人たちは小さなショットグラスに注いでテキーラよろしくグイッと飲み干します。価格も安価で庶民に親しまれているお酒なのですが、とにかく味が独特。
サトウキビ由来なので蒸留酒とは言えどことなく甘みを感じるお酒なのですが、そこに香辛料のアニスの香りがスパッと突き抜けていく、日本人にとっては結構クセを感じるお酒です。
アルコール度数は30%近くあり結構高いのですが、なんか身体に合っているのか飲んでも悪酔いせず、結構スルスルと飲めるお酒でした。
好んで飲むかと言われれば明らかに"NO"なのですが、ラテンの風に吹かれながらこういったお酒を楽しむのも一興かと思います。
Café de la Mañana
カルタヘナのホテルには朝食がついてなかったので、ちょっと自分が調べて良さそうだったホテル近くの店に行ってみました。
夜の営業がない、朝食を主力に扱っているレストランで、中はやはり観光客と思われる欧米人が多かった印象。
何種類もある朝食セットの中からベジタリアンセットなるものを頼んでみましたがこれもおいしい。友人は卵とベーコンのセットを頼んでいましたが、友人がむしろこの店を気に入り、翌朝もここで朝食をしました。
だいたいどれもセットで1200円~1600円くらいだったかと思います。
翌日は卵とトマトの朝食セットにしてみました。これもトマト感がしっかりしててうまい。
そして意外にもアイスコーヒーがめちゃくちゃ美味しかったです。コロンビアなので毎日のようにコーヒー飲んでいたのですが、個人的ベストコーヒーはこのお店でした。
後から知ったのですが、結構有名なお店だったらしくYOUTUBEでも取り上げられていました。
ボゴタ:新旧文化入り交じるコロンビアの首都
そして最後は友人が居を構えている首都ボゴタを訪れました。宿は友人の家に泊めてもらえることになっていました。
空港から「こここそが首都!コロンビアの玄関口!」という感じで、ここまで訪れたメデジンはカルタヘナとは全く異なる、日本の成田や羽田にも引けを取らないキレイで洗練された空港でした。
正直大阪の関西国際空港と比較してもその差は歴然という感じでした。頑張れ関空。
そしてちょっと写真だと分かりづらいのですが、道行く人は多くの人がコートや薄めのダウンを着ています。ボゴタは標高2600mの山の上に造られた都市で、年間を通して最高気温が20度弱とかなり涼しく、夜は10度を下回ります。温暖で半袖で歩いても汗だくになる暑さの海沿いカルタヘナから一気に季節が秋になったような感じです。
夜に着いたのですがこの日は日中あまり食欲がなかったのもあり、その反動で空腹に耐えきれず、空港からUberで友人宅へ向かうとすぐ近くのホットドック屋でホットドックを購入。でかい。
このデカさを記録に残しておこうと思い比較用にイヤホンケースと一緒に撮ってみたのですが、何となくイメージつくでしょうか。(つけ。)
見た目の通りジャンキーな味わいでワシワシ食べれます。右上の白いマヨネーズのようなものはチーズで、上にトッピングされているのが薄切りのフライドポテト。
これで600円ちょいなのでかなり満足感高かったです。
USAQUEN地区
翌日は朝から友人宅のある新市街内にあるウサケン地区の市場や街並みを散策しました。市民によるマルシェやオシャレで都会的なカフェなどが立ち並ぶ、日本で言うところの青山とか自由が丘みたいな雰囲気の地区です。
日曜日になると市場でかなり賑わうそうなのですが、平日だったのでマーケットはまばら。それでもローカルな雰囲気を感じれる良い場所でした。
ボゴタの新市街ということもあり、街並みが綺麗で歩いているだけで楽しいです。
ボゴタ植物園
午後は友人の勧めでボゴタの植物園に行ってみました。
ちょっと写真撮り忘れてしまったのですが、ここの入場料の価格設定が面白くて、コロンビア人と外国人での入場料が分けて設定されており、外国人は現地の人の倍の入場料がかかります(1000円ちょい)
こういった現地人と観光客を分けるダブルプライシングは日本でもニセコあたりからどんどん導入されていきそうな気もしています。
中は植物園とは言うものの事細かに植物ごとの説明がされているというよりはキレイに整備された公園というような感じの場所で、天気も相まって都会にいながら自然浴ができる素敵な場所でした。新宿御苑とかに近い印象を受けました。
歩いていると恐らく遠足に来ていたであろう小学生たちに遭遇。
アジア人が珍しかったのか、遠くからチラチラこちらに視線を向けてくる子どもたち。
そして数名の子どもたちがこちらに駆け寄って来たのを皮切りに、大勢の子どもたちがどっとこちらに押し寄せてきました。
「え?なに?なに?」と思っている間に周囲を数十人の子どもたちに取り囲まれてしまいました。
スペイン語で怒涛のごとく話しかけられるものの全くわからないため「No エスパニョール!」とワタワタする自分にお構いなしに子どもたちは迫ってきました。
ノートとペンを渡され、何かを書いて欲しそうだったので「あなたの名前は?」と聞くと「ジュリエット」と答えてくれたので日本語で子どもたちの名前をノートに取りあえず書いてあげると大変喜んでくれました。
そうするととにかく子どもたちが「自分も!自分も」と次々ノートを持ってきて、まるでドジャースタジアムでの試合後の大谷翔平にでもなった気分でした。
こんなもみくちゃなやり取りが15分くらい続いていたかと思います。(その後も何度か公園内で他のグループにも遭遇してその度に熱烈な歓迎を受けました)
子どもたちのエネルギーにただただ圧倒された瞬間でしたが、ふと冷静になって考えると、日本の小学生は同じ様な状況になった時にこんなことになるのかなぁと考えたりしていました。
例えば日本の小学生が遠足先の自然公園でたまたまギリシャ人旅行者の二人組に遭遇したとして、こんな熱量で旅行客を取り囲んだりするでしょうか。
さらに一人は全く日本語が喋れない外国人。自分だったら興味よりも恐怖のほうが勝って素通りしてしまうと思います。
でもとにかく彼らは言葉の通じない謎のアジア人に向かって精一杯何かを伝えようとしてくれていました。「スペイン語で数字はこう言うんだよ」と、なぜか途中から子どもたちによるスペイン語講習も始まったり。
6年前にも今回の幼馴染を訪ねて当時彼がボランティアをしていた中米コスタリカをまわったときも、小学校同じ様な熱烈な歓迎を受けたことがあり(友人のつてがあってですが、普通に昼間の外国の小学校にアポ無しで入れてもらったという経験も今考えればすごいことでした)、そのことも思い出されました。
文化や国民性と言えばそれまでなのでしょうが、とにかく彼らには「見たことないもの(今回の場合はアジア人)に触れてみたい」という好奇心が毛穴中から湧き出ているようでした。
その背景には彼らが元々多様な人種が混在した環境で暮らしていることや、はたまた「知らない人に声をかけても大丈夫」というレベルには安定した治安が(少なくともこの植物園内には)あることや、さらにはもしかしたら今後の経済発展のためには異文化を積極的に認め、許容していかなければならないという国内の雰囲気も遠因としてあったのかもしれません。わかりませんが。
こんなに目を輝かせた子どもたちが、どうか悪いビジネスに手を染めてしまったり、貧困に苦しむことがないような社会になることを願うばかりです。
ボテロ美術館・貨幣博物館:巨大な邸宅をリノベした無料の美術館
翌日はボゴタの観光の中心地でもある旧市街へ行きました。友人の家のある新市街からは車で40分ほど。
昼食をとった後に、旧市街にあるボテロ美術館・貨幣博物館(同じ建物)を見学しました。
フェルナンド・ボテロは(前のnoteで訪れた)メデジン出身のコロンビアを代表する芸術家で、彼の美術館は出身であるメデジンにもあるのですが、友人曰くボゴタのほうが良いよ、とのことでこちらを見てみました。
植民地時代の旧邸宅を改装して造られたという美術館だそうですが、3階建てで規模が大きく、館内も非常に清潔。しかもそれが無料で見られるというのも驚きです。
観光地のど真ん中にあるので外は観光客でいっぱいだったのですが、この館内は非常に静かで目立った混雑もなく、非常にゆっくりと中を鑑賞できました。正直自分はあまりこの美術館のことを知らなかったのもあり当初行く気はそんなになかったのですが、現地の友人が勧めるだけあって確かに素晴らしい美術館でした。
中はボテロの作品だけでなく、貨幣の歴史にまつわる展示や、現代アーティストたちの作品が並び、作品の点数も多くかなり見ごたえがありました。
あまり観光ブックなどには載っていない印象の美術館でしたが、めちゃくちゃ良スポットでした。
あと、たまたま流れで今回の旅はこういった美術館や博物館を巡ったのがだいぶ後日程だったのですがそれも良かったなぁと後から思いました。
その土地の風土を感じ、人々と触れ合った後でその土地に根付いた芸術を鑑賞すると、よりその作品の中に没頭できるような感覚がありました。今後の旅でも、こういった美術館や博物館は後のほうに回るようにしたほうが自分は良いのかも、と思えました。
ボリバル広場
美術館から歩いてまっすぐ、数分のところに観光地旧市街地の中心でもあるボリバル広場があります。
東側にはボゴタで最も古い教会であるボゴタ大聖堂があります。その左手には裁判所、右手には国会議事堂があるコロンビアの宗教、政治、司法が集まる重要拠点でもあります。
広場へ通じる道には露店が多く立ち並び、人通りも多く雑然とした印象があったのですが、こちらでは露店の数も減り(あるにはあったので規制されていたわけではないのかもですが)広大な広場から荘厳な建造物を思う存分見ることができました。
旧市街地は比較的治安が悪めな側面もあるのですが、このあたりは観光客が多いのもあってか比較的落ち着いていた印象でした。
黄金博物館
ボリバル広場からさらに歩いた先に、ボゴタの一大観光スポットである黄金博物館があります。中南米にはこのような黄金をテーマとした博物館が多く存在するそうですが、このボゴタの博物館が世界最大規模とのことで、こちらも多くの観光客が訪れていました。
ただ、有名観光地ではあるのですが、周囲の治安はあまり良くないそうで、確かに先程のボリバル広場とは異なる雰囲気の町並みの中に美術館が立っています。とは言え近隣には美術館や日本で言う日本銀行のような公的機関もあり、虎ノ門の中に大阪西成があるような、そんな独特の雰囲気を醸し出しています。
ここも入場料は1000円程度。日曜日だと無料だったようでしたがこの日は土曜日。ボゴタの観光地の中にはこのように日曜日に入場料が安くなったりする施設が結構ありました。(理由はわからず、カトリックの影響?)
博物館自体はやはり評判に違わず素晴らしい場所でした。
コロンビアに限らず、世界の中で黄金がどのように人々から扱われ、どのような変遷を経てきたのかをわかりやすく展示してくれています。
内観がわかる写真を撮っていなかったのですが、展示室も広々として見やすく、説明も分かりやすいので、大きな博物館ですがゆっくり回ることができました。
ちょっとくすっと笑ってしまうようなチャーミングな金細工も多数あり、それらを見ているだけでも面白いです。
数百年前当時の人達のセンスと現代に生きる私達の感覚に通じるものを感じれる、面白い体験でした。
モンセラーテの丘(バジリカ教会):標高3400mからボゴタを一望
その後は友人の勧めでモンセラーテの丘というスポットも観光しました。
自分も何となく観光ガイドで見ていたものの、「まぁ景色がいいところは他でも見れてるしいいかなぁ」と正直考えていたのですが、いざ行ってみるとやはり圧倒されてしまいました。
モンセラーテの丘は、標高2600mのボゴタからさらにロープウェイで登った山の頂上にあるバジリカ教会がある場所で、後から調べて知ったのですが標高は富士山の8合目(3400m)くらいだそう。
土曜日ということもあって長蛇の列だったのですが、夕方は比較的空いていたので比較的スムーズに入ることができました。それでも頂上に着くまで1時間ちょいくらいはかかったでしょうか。
ちなみにUSJのファストパスのようなものもあり、チケット代(往復で2000円弱?)に追加で3000円くらい払うと列をすっ飛ばしてロープウェイに乗ることもできたみたいです。こういうファストパスってめちゃくちゃ良い仕組みだと思うので、日本でもガンガン導入したらいいのになぁと思ったりもしました。
ロープウェイが徐々に上昇し、ゆっくりとボゴタの町並みが眼前に広がっていきます。
そして頂上に到着。ここに来て初めて「空気が薄い!」と感じました。
ちょっとした坂を歩くだけでも息が切れる。身体が重い。
そして丘から見えるこの景色でようやくボゴタという都市がどれのどの規模で、どれほどの人の生活が息づいている場所なのかを認識できた気分になりました。
山の峰に築かれた都市というイメージだったので地形のアップダウンがもっとあるものかとも思っていたのですが、巨大なアンデス山脈の上にはこれほどまでに広大な平野が広がっていたのか、と実感しました。
日本でこのような景色が見えるスポットがあのかなぁとふと考えました。
自分が住む大阪を考えると、府北部の山から大阪平野を一望することはできるでしょうが、西の海と東の奈良との県境にまたがる山々に挟まれた大阪ではこのような眼前いっぱいに都市の広がりを感じることは難しいかも、とも思いました。何より郊外の山からだとここまで近くに都市を観察することはできないでしょう。
では東京ならどうか、とも考えました。例えば高尾山の頂上であるとこちらもあまりに都心部から離れすぎていてこのような景色をみることは難しいでしょう。
スカイツリーの展望台からなら?とも思いますが、都市部との高低差はこの丘よりも低く、さらに東京のビル群の高さ故に広大な街の広がりを感じることはこれまた難しいかもしれません。
ボゴタの人口は800万人。大阪市と京都市と神戸市の人口を合算しても届かない超巨大都市です。(※そこに広島市と福岡市を合わせると同じくらいの人口になるっぽいです)
どこの景色が素晴らしいのか、という議論をしたいわけではなく、「高いところから都市を見る」ということにあまり意味を見出していなかった自分だったのですが(すげえ、という感想以外なさそうに思っていたのですが)、いざこのような景色を見ると色んなことを考えさせられ、それもまた旅行の醍醐味とも思えました。
また、こんな標高のところに教会を建てようとした先人たちのエネルギーにも凄みを感じます。日本の清水寺や高野山、比叡山などもそうですが、人々の信仰心、宗教が人々を動かす力にはやはり圧倒されます。
CUMBIA HOUSE:エンタメ汁120%の濃厚空間
コロンビア最後の夜は友人がボゴタに来て以降何度か話題に上げていたCUMBIA HOUSEという日本で言うミュージックバーのような場所に行きました。
”ような”と書いたのは自分のボキャブラリーの中でCUMBIA HOUSEを的確に言い表す日本語を持ち合わせてないためで、とにかくそれくらい鮮烈で刺激的な素晴らしい場所でした。
ボゴタ新市街地の中心から少し外れた場所にひっそりと佇んでいるのですが、夜(20時過ぎだったかと思いますが)になると店の前には5~6名くらいの入店待ちの列ができていました。
お店の価格帯的に完全に富裕層、観光客向けなお店で、来ている人も40代以上のちょっと身なりの良い紳士淑女の方々、という感じでした。
中に入るとまずはチャージ(1500円くらい?)を支払うのですが、まずこのエントランスでビックリしました。外観のそっけない感じとは対象的な、賑やかで心を高揚させずにはいられない装飾で彩られていました。
中は土曜日ということもありかなりの賑わい。自分たちはステージ近くのカウンター席に案内してもらったのですが、ステージ前のテーブル席は予約じゃないと取れないそう。
ステージの前のテーブルでは、家族づれか会社の同僚か、5~9人くらいのグループがステージが始まるまでの時間を食事を取りながら楽しんでいました。
食事を済ませていた自分たちは飲み物のみ注文。自分はモヒートにしました。1杯2000円弱だったかと。ここで食事するとなると一人ウン万円の世界かと思います。平均収入が日本の4分の1の国であることを考えると、この価格がいかに庶民離れした価格設定かがわかります。
あとここでサプライズでCDをいただいてしまいました。
何やら知らぬ間に友人が店員さんに「こいつ日本から来たんだけどコロンビアの曲全然わからないんっすよ」と話していたらしく、それを聞いた店員さんが「これ聞いて下さい」とわざわざプレゼントしてくれたのでした。
素敵すぎます。こういう粋な気配りやホスピタリティに他の店との違いが如実に現れている気がしました。これはファンになりますわ。
店員さんのユニフォームも世界観に合っていてオシャレです。
待っている間も、店内の空間が素晴らしく見飽きません。
まぁしっかりとしたテーブルがあってステージがあってなおかつこの価格帯で・・・ということを考えるとショーは皆座席に座りながらゆったりとながめる感じなんだろうなぁと思っていました。
そしてショーが始まりました。
演者がいきなり客席(テーブル席)に来ていきなりそこでパフォーマンスがスタートします。
もうそうなると客は座ってなんかいられません。
総立ちです。
なんかロープを使ったショーも始まったり。
店内の空間演出に加え、食事とお酒が程よく入った客席のボルテージは上がりっきりです。
観客総立ちで、さっきまで食事を楽しんでいたテーブルの周りで踊るは歌うはの盛り上がり。
個人的にはこの「食事テーブルが置かれた場所にいきなりショーが入り込む」というストーリーというか演出もまた素晴らしいと感じました。
さっきまで完全に食事モードだった場が一気にクラブさながらの熱気を帯びる。このちょっとした(あくまで作られた)事件性というかハプニング性がより観客を興奮させているようにも感じました。
食・歌・踊りの120%のエンタメ空間。まだステージが始まってもいないのに大満足な体験でした。
そしてステージ上のショーももちろん素晴らしかったです。ちょっとした寸劇というか演出が入るのですが、音楽もスペイン語もわからない自分でも演者たちの動きなどを見ていると何となく流れがわかるように作られていて、スペイン語話者でもそうでなくても楽しめるように本当に抜かりない作り込みがされていたショーでした。
ショーが終わった後は何とも言えない高揚感の余韻が心の奥にグツグツと残るような、そんな素晴らしい体験でした。
◯ボゴタでの食事たち◯
ボゴタはこれまで訪れた街の中では特にコスパが良い!と思いました。
友人が住んでいるからそういう店を知っていた、というのもあるのかもしれませんが、高級店から庶民的なお店まで色んなものを食べ歩きましたが、どこも満足度は高かったです。
CAFE18
友人が住むエリア内にあるおしゃれなカフェ。朝からパソコンを広げて作業する、海外からの駐在員かとも見えるビジネスマンで賑わっていました。
コーヒーはアメリカンコーヒーで、エスプレッソを自分の好みの分量のお湯で薄めて飲むスタイル。食器もキレイです。また、チーズケーキが美味しいとのことで注文しました。
コーヒーは酸味が強いサッパリ系の味で、ほのかにカカオっぽい香りのする上品な味でした。チーズケーキも異なる味が積層されたしっかりとした甘めなケーキでボリュームもあったのですが、これで400~500円くらいだったのでかなり安いと感じました。
友人の職場近くの食堂
ボゴタ観光の初日の昼食は、友人が平日ほぼ毎日通っていると言う食堂に行きました。
600円ほど前払いして、日替わりの料理を好きなだけ盛ってもらうスタイルのお店。
スープはポタージュを選びました。じゃがいもっぽい風味のコロンビア料理らしい優しい味わい。プレートのご飯の右が豚肉に甘辛いソースが乗った料理。肉は日本の生姜焼きのような感じですが、ちょっとフルーツっぽいソースがうまい。
右下の紫のおかずは、キャベツなどの葉物野菜を甘めに煮てパクチーを和えたものでした。色からは味が想像できなかったのですが、こちらもおいしい。
さすがサラリーマンの食堂という感じで、写真からはちょっとわかりづらいですがボリュームたっぷり。本当はさらにフライドポテトもあったのですがそちらはパスしました。
Estancia Chica
友人には色々とお世話になっているのもあって「何か食べたいものご馳走するよ」と言うと「じゃあアルゼンチン肉かなぁ」とのことで友人の家近くにあるアルゼンチン肉の有名店に行きました。
ここもまたお金持ちな雰囲気の紳士淑女、そのご家族が来ていると言った感じのお店。
1番定番の肉(手前)と友人のおすすめのちょっと高い肉(奥)を注文。
付け合せのポテトはマッシュポテトかじゃがバターかを選べてこちらもボリューム満点。
手前の肉はガッツリ肉感を感じれる脂身少なめの赤身肉。歯ごたえはあるものの噛み切れないほどではない、絶妙な柔らかさで何より肉の味が濃い。
あっさり塩味で肉感を堪能するには最高な肉でした。
そして奥の少し白い肉も赤身肉同様脂身は少なめなのですが、繊維が細かく柔らかい。ヒレ肉というイメージに近いものの、肉汁が少なくやや乾いた感じの肉。でもしっかりと旨味を感じられる、あまり食べたことない感覚の肉でした。(メニューの写真撮っておくんだった)
Balcones de La Candelaria
翌日のボゴタの旧市街へ行った際に寄ったコロンビア料理の店。本当は有名なLa Puerta Falsaというお店に行けたら行きたかったのですが、休日ということもあり行列で入れず、その近くにあった友人のおすすめのお店に行ってみました。
美味しくてボリュームがあって安い!店内は比較的空いていたのですが、古い建物をそのまま使った店内の雰囲気もよくこちらも大満足なレストランでした。
前菜代わりに頼んだチョリソー。しっかりとした味付けがおいしい。
タマルというチマキにも似たコロンビア料理。↑の写真だと大きさが分かりづらいですがかなりでかいです。
中にはターメリックライスのようなスパイスで柔らかめに炊いたご飯に鶏肉や豆、野菜など具材がたっぷり入っています。それでも味はコロンビア料理らしいあっさり味。バナナの葉っぱの香りと鶏肉のエキスの旨味でどんどん食べ進められます。
スープも注文。パクチーが効いててこれとタマルの相性が抜群でめちゃくちゃおいしい。
量が多すぎてスープは残してしまったのですが、味もボリュームも大満足で、これにそれぞれジュースも頼んだのですが一人1500円くらいだったのでコロンビアの外食の中では圧倒的なコスパでした。
CREPES & WAFFLES
名前の通りそのままズバリクレープとワッフルの人気店。各都市にチェーン展開しているのですがどこも行列で、自分たちはボゴタの空港で最後の食事に利用しました。
雇用面で不利な立場にされがちな黒人や女性を積極的に採用しているそうで、そういった取り組みにも注目を集めているお店だそう。
自分は友人のすすめで肉とチーズのクレープを頼みました。
中に薄切りの肉が沢山入っていてボリューム満点。少し口の中に残る粉っぽさ?の原因がわからず気になったのですが、味付けは人気に違わぬ洗練されたクレープでした。
そしてさらに罪深いギルティワッフルをデザートに注文。
濃厚なチョコクリームとサクサク系のワッフルがおいしい。
あとは自分はMoraを注文。友人はグレープジュースを頼んでいました。Moraはもうどこで飲んでもうまいです。
Juan Valdez
そう言えば書き忘れていたのですが、Juan Valdez(フアン・バルデス)というコーヒーチェーンには旅行中何度も訪れました。コロンビアのスタバのようなお店で、それこそ日本のスタバくらいのお店の数があります。※スタバもあるのですが観光地に少しある程度で、現地では圧倒的にJuan Valdezがメジャー
コーヒーの値段も日本のスタバとほぼ同じ。味も、比較的サッパリ系な味の多いコロンビアの中でもコクがあって濃厚なコーヒーで、そういった面でもスタバに近いものを感じました。
とにかく空港でも街中でもどこにでもあって、安定して美味しいコーヒーが飲めるので旅行中ヘビーユースしていたお店でした。
コロンビア旅行を終えて
2記事にわたり、合計2万文字以上コロンビア旅行記を書いて来たのですが、それだけ(ありがたいことに)情報量が多い旅でした。他にも行った場所や食べたものもあったのですが、頭に残った記憶を全部アウトプットしているとキリがなくなってしまうためある程度(これでも)絞って記事にしていました。
帰国すると色んな人から「コロンビアどうだった?」という質問をされるのですが、「コロンビアはこう」と一言で表現することができないほどあまりにも多くの情報が頭に無秩序に放り込まれてしまっていたので、noteを書くことで自分の記憶と思考の整理を行っていました。
楽しい時間はあっという間、という表現がされますが、自分の場合この旅は1日1日の中で頭に流れ込む情報量が多く、1週間ちょっとの滞在が体感3週間くらいに感じました。それくらい濃厚な旅を同行してサポートしてくれた友人には本当に感謝しかありません。
そして海外へ赴くと、日本のことを翻って考え直す機会にもなります。
日本は今後、生き延びるために間違いなく観光産業を伸ばしていく方向性に舵をきるだろうし、実際自分も日本にある観光資源のポテンシャルにはまだまだ可能性があると考えていました。
しかし、ある意味日本と対象的な、他国に占領され土着の文化が一掃された歴史を持ち、また一つの国の中でも様々な気候を持つコロンビアを巡ることで色んなことを考えさせられました。
そのことについてはまた改めて、頭の中の思考が薄れてしまう前に文章化させたいと思っています。
誰が読んでくれているのかわからないような長文に毎度なるのですが、誰のためでなく自分のため、と言い訳をしながら今回も長々書かせていただきました。
こんな長文の壁にしぶとくお付き合いくださった方はどうもありがとうございました。
個人的に気になった海外記事を週数本メモしてたりしますので、よければフォローお願いします。
たまにこんな感じで自分の考えなどをまとめています。
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