セールス現場における変数と定数について
自己紹介
初めまして、前島と申します。簡単に自己紹介させていただきます。
私はリクルートの新規事業室や、DX支援を行う自分が代表を務める会社で、セールスイネーブルメント支援、セールスマネージャー、Webマーケティング等に従事してきました。
SaaS事業の新規立ち上げや、60名近くのセールスマネージメント/セールスイネーブルメントなどを担当しており、今回は、そういった経験をもとに執筆致します。
Twitterはこちらです(@Maejima_tw)
今回は「セールスイネーブルメントアドベントカレンダー」として執筆致します。主催の橋本さん(@hashimoto_pres)有り難うございます!!
(アドベントカレンダーに関する詳細は最後に記載しています)
「DX」などと同様に、「セールスイネーブルメント」の定義自体がファジーで、議論が曖昧になっていると思い、その定義と問題提起について個人的見解を述べています。
変数と定数について
さて、先日、Twitterでこの動画が流れてきました。東進ハイスクールの林先生と元USJ森岡さんの動画です。
このような会話がなされていました。
激しくアグリーしたと同時に、「犬の道」を進むのではなくて、イシュー度が高いものからアプローチしているか?、そんな問題提起のように感じました。
セールス現場に感じた違和感
少し話は逸れますが、私が学生の頃、初めてセールスMTGに入った頃の話
こんな違和感を覚えました。
結局「*定数」は動かないので、営業パーソンごとの業績を改善するには、「変数」をいじらなければなりません。
(*補足:森岡さんの動画でもそうだと思いますが、完全な「定数」というよりも「変数」だが改善幅が小さいパートのことを指しています)
一方で、当時のセールス現場においては
重要な「変数」が見える化していないため、議論がふやけているように感じた
全ての変数が見えていないため、見えている変数に関してだけフィードバックが行われている
自分の中でそう解釈しました。
セールス現場における変数と定数
この動画を見てから
「セールス現場における、変数の切り口ってなんだろう?/見える化されているかな?」
今回はセールスイネーブルメントの文脈で、その点を再考してみようと思います。
例えば、法人営業の場合、営業担当を主語にした時に、
商談担当者(商談所有者)→誰が?
ターゲットリスト(取引先)→どこの?
商談相手(取引先責任者)→誰に対して?
時間/回数(活動)→いつ/何回?
セールスコンテンツ→何をどう話したのか?/どんなレスポンスがあったのか?レスポンスに対してどう対応したのか?
これらが変数の切り口として存在するように思えます(より細分化はできますが、ここでは目的が逸れるので、割愛します)
よく営業現場はブラックボックス化していると言われますが、SFA/CRM/ABMなどの発達により、1〜4については、徐々に、モニタリングやPDCA改善ができる体制になりました。
一方で、5.「セールスコンテンツ」については不十分な認識があります。
どのコンテンツを訴求したのか、そしてそれに対してどんな反応があり、次のコンテンツを提示したのか、など、クリアに見えているとは言い難いでしょう。
「セールスコンテンツ」とは?
「セールスコンテンツ」とは?
と思われる方もいらっしゃると思いますが、ここでは、商談や電話など含まれる全てのコンテンツ(=情報の中身)を指します。
トークスクリプト
トーン/強弱
商談相手のレスポンス
などを想定します。
個人的に、「セールスコンテンツ」はセールス組織改善において、「変数」としてとても重要な要素なのではないかと考えています。
また、他組織においても、この「セールスコンテンツ」が「見えていること」は重要と言えるでしょう。
「どの広告文からCVした顧客か」をマーケからセールス組織に共有するのと同様に、「どんなセールスコンテンツから、成約した顧客なのか」が、CS部門において共有される必要があると思います。
ここで、セールス会議の比較対象として、Webマーケティングの会議を参照します。
といったように、いわゆる訴求したコンテンツと、レスポンスに基づく打ち手の選定、コンテンツ改善サイクルが回っています。
現在の多くのセールス組織では、どんなコンテンツを発信して、レスポンスがあったのか、がハッキリ見える化できていないと認識しています。そのため、業績が属人的になると捉えることもできます。
オフラインマーケティングを否定する意味ではなく(むしろとても好き)、現在の僕なりの定義だと、セールス活動はまだまだオフラインセールスと言えるのでは無いかと思います。
セールスイネーブルメントの定義とポイント
やっとこさ、セールスイネーブルメントの定義についてです。あくまで、僕なりの定義ですが
結局は、Enablementなので、「セールスが、できるようになり、経済的なメリットを組織にもたらすこと」と定義しています。
経済的メリットとは、営利法人として、売上Upもしくはコストダウンなど短期中長期において利潤追求活動にプラスをもたらすことです。
元々の話に戻りますが、組織やフェーズによって「変数」は異なると思うので、それぞれのセールスイネーブルメントの形があって然るべきです。
ただ、一般的なセールス組織では、セールス活動における変数が全て見える化しているわけではないという前提に立ち、まずは変数の見える化ができる体制を作ること、次にその変数の「最適解」を最小工数で、提示できる仕組みを作ること、が重要だと思います。
セールス現場は、ブラックボックス化していると言われますが、先ほどもお伝えした通り、SFA/CRM/ABMなどの発達により、一部の変数は見える化してきました。
「セールスコンテンツ」に関しても、SFAなどにベネフィットや顧客課題を登録することで、一部確認できるようになりました。
このような分析は多くの組織において実施できていると思います。
一方で、まだまだ「セールスコンテンツ」は視界良好ではないと感じています。
セールス現場において、変数/定数の数字を見える化する、また変数を実際に動かす上で、適切な打ち手を取れることを支援する仕組み/ツール/施策を実施することがセールスイネーブルメントに繋がるのではないでしょうか。
それに伴い、今後、セールスイネーブルメント/セールスマネージメント担当者は以下のプロセスを踏む必要があると感じています。
セールス活動における要素を分解する
それらの要素を変数と*定数に分け、注力ポイントを決定する
変数をモニタリングできる仕組みを作る
顧客状況、営業パーソン状態など様々な現状を整理した上で、最適な変数を提示する
そして、セールス組織やメンバーが、定数ではなく、改善幅が大きい変数に注力できる体制を構築し、セールスコンテンツを始めとした集合知を作る、これらが最も重要と認識しています。
まとめ
労働者の約13%が、セールス現場(販売従事者)で働いていると言われている日本。今後の労働力人口の減少も踏まえると、日本企業はセールス現場をハックする必要があります。その中でも
変数が少しでもクリアに見える状態の整備
変数の中でも、日本の大半のセールス組織において今まで注力されてこなかった、「セールスコンテンツの見える化」と、適切な「セールスコンテンツの提供」
を実施することで、このセールスという領域が、「従事者も楽しくて、顧客体験としても良いものが提供されている状態」に変化していくことを願っています。
おわりに
今回#セールスイネーブルメントカレンダーとして、執筆致しました。
大前提、私はセールス組織と仕事をすることが多く、とても大好きな組織です。なのでセールス組織を否定しているのではなくて、好きだからこそ改善して欲しいと言う想いで今回問題提起をさせていただきました。
ご意見はご遠慮なくいただければと思います。
是非、TwitterなどからDMいただければ幸いです。
また、今回は文字数の都合で記載しませんでしたが、実際に行った事例について、ハウツーについても引き続き発信できればと考えています。Twitter/noteなどフォロー頂ければ幸いです。
アドベントカレンダーの詳細、他参加者さんについては、主催者橋本さんのnoteをご確認ください。
こういった皆さんの記事/取り組みから、日本のセールス活動が少しでも良いものに近づければと思います。
お付き合いいただき有り難うございました。