丸子川
丸子川は、世田谷区大蔵の大蔵団地と東名高速高架下の湧水に源を発し、途中から、かつての六郷用水の流路を引き継いで流れ、大田区田園調布で多摩川へ注ぐ川。
昔の六郷用水の中流部が整備され、名前を変えて残っている川とも言えます。
上流・大蔵の親水園
丸子川の上流が流れる、大蔵運動公園の崖の下の親水園。
崖は国分寺崖線の一部で、丸子川は崖の斜面に沿うように流れています。
右手の急斜面が国分寺崖線の崖
川の傍に鳥居と弁財天が。
鳥居をくぐり、弁財天を拝み、その奥の崖の階段を少し登ると、御嶽神社の祠があります。
小さな祠で、オオカミ像などはありませんが、武蔵御嶽神社より正式に勧進したものだそう。
森の中のちょっと神秘的な空気に包まれていて、何だか、お参りしたら願い事が叶いそうですね。
ここは、とても雰囲気が良くて、お気に入りの場所でした。
でも最近、何かの工事が始まって、立ち入りができなくなってしまいました。
何の工事をするのかな…
二年前、ここに、この場所の「整備プランをまとめるための現地見学会のお知らせ」が貼られていました。
地域民の意見も聞いてプランがまとめられたのは良かったと思いますが、どう整備することになったのか気になります。
とにもかくにも、この長閑で神秘的な雰囲気が、無用な理由で壊されることのないよう、願うばかりです。
中流・丸子川親水公園
東名高速の高架下をくぐり、さらに南下したところの水神橋のたもとで、丸子川は流れを東向きに変えます。
ここから先が、昔の六郷用水の流路のようです。
ちなみに、水神橋から西へ、丸子川の流れとは反対の方へ少し行った所に、水神様の祠があります。
昔、六郷用水で子供の死亡事故が多発し、それを収めるために祀られた水神様だとのこと。
祠の中を覗いたら、ご神体の石がありました。
丸子川に戻りましょう。
ここから先、水神橋から静嘉堂緑地の東端までの岸辺の道が、丸子川親水公園となります。
カモやサギが頻出します。
川幅はせまく、水深もごく浅いけれど、水はきれい。
よい獲物が獲れるのでしょうかね。
岡本公園の前に来ました。
岡本公園は、静嘉堂緑地の崖の下にある、静かでこじんまりとした公園。
丸子川が前を流れ、園内にも池や小川や小さな滝が造られています。
水の流れがテーマの公園なのでしょうか。
遊具も少しあって、小さな子供連れの親子がよく遊びに来ています。
静嘉堂緑地の崖の方から水が流れ落ちてくる
年にもよりますが、ここのもみじが素晴らしいです。
岡本公園に隣接する民家園には、世田谷区内の別の場所から移築してきた、江戸後期の農家の家屋敷や蔵や門があります。
季節ごとに変わる飾りつけが素敵。
岡本公園を出て、丸子川沿いを東へ進みます。
左手の静嘉堂緑地の森が、倒れてきそう。
静嘉堂緑地も国分寺崖線の崖にできた森で、丸子川はここでも崖の斜面に沿うように流れています。
静嘉堂緑地の南東端まで来ました。
北から流れてきた谷戸川が、ここで丸子川に流れ込みます。
かつての谷戸川は、ここよりもっと南の二子玉川まで流れていましたが、六郷用水が掘られ谷戸川の水を丸ごと取り込むようになって、谷戸川の流れはここで断ち切られてしまいました。
写っていないが手前を左から右へ丸子川が流れている
中〜下流・住宅地と橋
静嘉堂緑地から離れた丸子川は、南東へ流れます。
以降はずっと住宅地。
丸子川には、川沿いの民家へのアプローチとなる小さな橋がいくつもかかっています。
民家へのアプローチとなる橋がかかっている
「東京の橋クラブ」サイトより
南東へ流れ続けた丸子川は、野毛付近で谷沢川と交差し、さらに南東へ流れ、最後は大田区田園調布で多摩川へ合流します。
ちなみに、谷沢川との交差で、二つの川の水が入れ替わり、そこから先の丸子川は実は丸子川ではないという、おかしな話もあります。
〜 〜 〜 〜 〜 〜 かつては六郷用水として、他の川の水を貪欲に取り込んだ丸子川。
多くの川が蓋をされて暗渠となる現代になっても、きれいに整備され、岸辺には花が咲き、水鳥が泳ぐ川になりました。
近年、都市化がますます進んで、湧水を集めて流れる川の水量は減るばかり。
丸子川はちょっとずるい川だけど、この一帯の川の生き残りとして、変わらず流れ続けてほしいです。