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多摩川河川敷① 二子玉川今昔

二子玉川駅の高架下から、多摩川左岸の河川敷を下流方向へ歩きます。

まっすぐ伸びる歩道。

右手が多摩川、左手が土手(堤防)

駅の高架下から程近いところ、土手の向こうに、6本の松の木が植えられていました。

6本の松の木


2010年代に二子玉川の再開発が行われる前、このあたりの河川敷には松林があり、林の中には洒落たレストランがあったといいます。
その頃にもここを訪れたことがありますが、たしかにそんな感じだったかなと、おぼろげな記憶があります。


時は遡り、大正時代に多摩川の堤防工事が進んだ時、このあたりの川沿いに並んでいた料亭は、風光明媚な川辺から離れるわけにいかず、堤外地(河川敷)に残りました。
現代になって、その跡地にマンションや住宅が建ちましたが、昔の堤防はそこよりも内陸側にあったため、川辺の堤防(土手)の強化が急がれました。

昔の堤防と陸閘(堤防の内外をつなぐ通行口)
料亭街の跡にできた住宅地よりも内陸側にある
二子玉川駅の高架のたもとにある飲食店
この佇まいから、鮎料理を出していたという昔の料亭を連想してしまうが、お肉中心の串焼き屋さんらしい


こうして、二子玉川の再開発につづき、多摩川の堤防強化工事が行われ、松林はその時に伐採されてしまいました。

想像とかすかな記憶の中にある、松林の素敵な風景。
それが失われてしまったのは、とても残念です。

今の川原

でも、その工事で強化された堤防は、2019年10月の台風19号襲来で多摩川が氾濫した時、川辺の家々を洪水から守りました。
マスコミで報道された、二子玉川の浸水被害があったのは、堤防の強化が完了していなかった、駅より上流側の地区でした。

松林の伐採と引き換えに、堤防は整備され、その役目を果たしたのです。
背に腹は代えられないでしょうか。

高くなった堤防(土手)より内陸側からは川が見えない


土手の向こうの6本の松は、伐採せずに残されたのか、河川敷から移植されたのか、あるいは新たに植えられたものなのか。

またここに、松林を作ればいいじゃないかとも思います。
でも最近は、何かと物騒な世の中。
松林みたいな見通しの悪いところは、犯罪の起きる危ない場所にもなりかねません。
いろいろ考えると、昔と同じ風景を再び作ることは、もうできないのかもしれませんね。


河川敷を下流方向へ、二子玉川駅の下から1km弱歩くと、左手の土手がだんだん高くなり、二子玉川公園のテラス階段につながります。

二子玉川公園のテラスから河川敷へ下る階段

二子玉川公園は、二子玉川の駅前に広がるライズショッピングモールのテラスマーケットともつながっています。

二子玉川ライズのテラスマーケット
写真の奥へ行くと二子玉川公園へ至る

テラスの階段に座って多摩川を眺める人々。
いろいろと悩みを抱えているのかもしれませんが、側から見ると、平和な光景です。

階段の下の河川敷は護岸が整備され歩道ができている
対岸の約5km先に見えるのは武蔵小杉のビル群

これが、令和6年の二子玉川・多摩川河川敷の風景。
心に留めておこうと思います。


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