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バンドン発のインドネシアブランドのご紹介 服編+靴編
バンドンは芸術の街、ユネスコ登録のデザインの街、数々の若者文化の発祥の拠点となってきた街です。
まだまだ経済格差の大きいインドネシアにおいて、学生の街バンドンは裕福な家庭の出身比率が高い大学生が多く、彼らが新しい文化を生み出すエネルギーとなってきた背景があります。
このあたりは、「ポピュラー音楽と現代政治」金悠進著の第3章(P.111)を読んでいただければ。インディーズの発信地になったディストロはバンドン発といわれています。
Distribution outletまたはDistribution storeの略称であるディストロは、ティーンズや若い世代向けの衣類やアクセサリーを販売する店である。ディストロファッションの由来は1990年代半ばのバンドン市にあり、もともとはバンドン出身のミュージックバンドが自分たちのCDやTシャツなどをしないで販売したのが始まりである(日本貿易振興機構2012.8)
ディストロとして商業的に認知されたのがアンクル347。わたしは1998年にジョグジャカルタを旅した時に、知らずにジョグジャのディストロでアンクル347のTシャツを購入してます。
1997年のアジア通貨危機が、インドネシアブランドブームの動きに拍車をかけたと言われています。
インドネシアルピア安で外国製品を輸入できなくなったとき、自分たちの手で自分たちの好きなものを作り出そうというDIY精神が発揮され、ローカリズムの動きが高まったのです。
メイドインインドネシア、Buy local、DIYは、ディストロの動きと結びつき、創造的(クレアティフ)という言い方をされるようになりました。
バンドンはもともとクレアティフの代表格だったわけですが、のちのバンドン市長、その後西ジャワ州知事となり、バンドンをデザインの街として国際的な認知を高めることとなるリドワン・カミルの貢献も大きいです。
彼はバンドン工科大学を卒業したあとUCバークレーに留学、バンドンに戻り友人と建築事務所を作り数々の賞を取ります。(わたしがアチェで建築家の意思を感じた津波博物館も彼のデザイン)
彼は2008年にバンドン創造都市フォーラム(Bandung Creative City Forum)を設立し、バンドンの創造産業を支援していくことになります。
前置きが長くなってしまいました。服と靴についてご紹介したいと思います。
1.服のバンドン発のブランド
UNKL347
1996年にバンドン工科大学デザイン学科の学生だったデンディー・ダルマンがTシャツを作り始めて始まったブランドで、UKLE347の名称になったのは2006年から。最初は347 Board Ridersという名前だった。
その名の通りサーフィンとスケートボード愛好家のブランド。
前述のディストロの始まりであり、Made in Indonesiaムーブメントの始まりでもある。シャツにインドネシア製ですと書いてある。
わたしが最初にここのTシャツを買ったのは1998年。ジョグジャカルタを旅しているときに気に入ったデザインのシャツ(自転車をかついでいるおじさん)があり買った。ディストロとは知らなかったが、普通のシャツの価格の倍以上したのでぼったくられているんじゃないかと当時思った記憶がある。
ジャカルタに駐在していた2004年にはすでに有名になっていて、バンドンの動きがジャカルタをはじめ全国に波及していた。
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Screamous
2004年にバンドン出身のニノ・ノルマン氏によって始まったディストロ。バンドンのブランド、ディストロで検索すると、だいたい上の方に出てくる。
様々なアーティストのコラボや海外との積極的なコラボを行っている。
バンドン出身の世界的なカートゥンアーティスト、Arkiv Vilmansaとのコラボなど。
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バンドンにはディストロが集積しているエリアがあり、UNKL347とScreamousのお店は50メートルも離れていない場所にある。
もしご興味があれば、この辺を散策してもらえれば一気に10か所くらいの店を見ることができる。
若者向けなので、欲しい服が無かった。記念にTシャツでもと思ったものの、それでも買うのを躊躇してしまった。
やっぱりちょっと高いかな。
地図を貼っておくので、ご興味のある方は是非足を運んでみて下さい。
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Heritage Outlet
アウトレットで有名なバンドンの中でも、ルマモードと並びアウトレットモールの老舗として知られる。
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ディストロの店員さんに、ここにもバンドン発ブランドがいくつか置いてあると聞き行ってみた。
ここで探すのも一つの方法。
わたしが見たのはWRNGとThird Day.
サードデイは、変な日本語Tシャツを出している。
アウトドアブランドのEiger
バンドンらしいクリエイティブな感じではなく、もう大きな会社になってしまったが、バンドン発祥のブランド。
1962年にバンドンで生まれたロニー・ルキトが1994年にチパンプレスで1号店をオープンしたのが創業。貧しい家庭に生まれ育ち、大学進学はあきらめ叔父の店を手伝いながら商売の基本を学んでいったというたたき上げの起業家。
いまや登山、自転車のブランドとしてインドネシア国内に350店舗を構えるまでになっている。
かなりの浸透率で、旅に出るとこのブランドのバックを持っている人をよく見る。またモールにもたいてい店舗が入っている。
アイガー北壁からつけられたブランド名で、2023年には初の海外店舗をスイスにオープンしている。
ここまでくると、Made in Indonesiaにこだわるわけにもいかず、Made in China等インドネシア以外もたくさん売っている。
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2.靴のバンドン発のブランド
EXODOS57
2016年にバンドンで創業した靴のブランド。
Born wild Roam freeを合言葉に、オートバイを好む硬派でアドベンチャー好きな若者たち向けのブランドとして立ち上がった。
オーナーはバンドンの人ではなく、スラウェシ島のパル出身。
バンドンは歴史的に洋服と靴の縫製業が盛んで、ものづくりインフラがあることからこの地を創業の地に選んでいる。
靴はハンドメイドで少量生産。ショップはバンドンとマランの2か所しかない。
価格は65万から120万ルピアまであり、わたしが質問して理解した限りでは、素材の原材料費が大きく価格に反映している。つまり使用する革の量が多いと高い。一番高いのは内側もすべて革張りでハイカットのブーツ。
ハンドメイドの特徴をいかしていろいろな素材を複雑に組み合わせている手間賃はあまり価格に反映されていないように感じた。
わたしは一つ気に入った靴があったので購入した。
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Fortuna Shoes
日本でも「ジャランスリウァヤ」の名で高級紳士靴として売られているため、ご存知の方もいらっしゃるかもしれない。
わたしもNoteの記事にしたことがある。
もう大きくなってしまい、ディストロやクレアティフの範疇からは外れているが、立派なバンドン発のブランドだ。
99%以上を輸出しているためインドネシア人にはほぼ知られていない。
かけ足のご紹介となってしまいましたが、以上となります。
成長している国、若者比率が高い国はエネルギーが違います。機会があればぜひ一度ディストロめぐりを楽しんでいただければと思います。