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インドネシアの選挙はとても参考になる 11.27統一首長選挙
インドネシアの大統領選が終わり、新大統領が誕生したばかりですが、11月27日(水)に総選挙が行われます。
これは全国の首長を選ぶ選挙で、日本でやる知事、市長、区長、町長、村長を選ぶ選挙と同じです。
インドネシアの場合、今回の選挙区は545(州37、地区415、市93)あり、一斉に投票が行われます。
インドネシアでは5年に一度選挙があり、今年は選挙イヤーになってます。
インドネシアは投票率がとても高く、日本も見習うべき点が多いので、今回はそのあたりを記事にしたいと思います。
直近の大統領選の投票率は82.03%です。
🔹投票日はいつも水曜日
インドネシアの選挙はかなり前から水曜日に行われるようになっています。
そしてこの日はお休みになります。授業もお休みです。
元々は月曜日に行われていたらしいのですが、3連休になるとレジャーに出かけてしまい投票率が下がる可能性があるとされ、水曜日に変わったそうです。
この前の大統領選挙も水曜日でした。
日本は休みの日に選挙を行いますが、平日を休みにして選挙をするのはとてもよいアイデアと思います。
🔹投票した人へのご褒美あり
インドネシアでは投票はマニュアルで行われます。
投票した人の小指はインクで紫色に染まり、その染まった指をしてレストランに行くと割引になるシステムになっています。
これは政府が補助金を出しているのではなく、民間が勝手に始めたことなんです。
家族みんなで投票に行き、そのままみんなで外食するというのが、インドネシアの家庭でよくみられるイベントです。
特に初めて投票する若者には特別サービスがあると聞きました。
本当にすばらしい。
子どものときから投票することは当たり前の存在になり、かつ良い思い出として記憶に残るでしょう。
日本でもぜひやってほしいです。
特に若者向けに何か工夫してほしいですね。
🔹うるさい選挙カーも街頭演説もポスター掲示場もなし
特に選挙カーがないのは最高です。
日本は禁止すべきとわたしは思います。SDGsの時代に候補者の名前と政党の名前を連呼するだけのために化石燃料を燃やし、大音量のマイクで電気も無駄にしています。
どうしてもやりたいなら、自転車かランニングで、かつマイクを使わずに肉声でやってください。プラスチックのメガホンくらいならいいでしょう。
街頭演説はいいと思いますが、選挙の時だけやるならやめて欲しいです。
インドネシアでも都市によってはあるかもしれません。バンドンでは見ません。
ポスターはインドネシアもあります。またいい加減なことにポスターの形と大きさがバラバラで、6畳くらいはありそうな巨大なポスターや、のぼりのような形のポスターもあります。
小ネタ1
大統領選のときも事件になった立候補年齢制限について、今回も騒動になりました。
30歳に達するタイミングが立候補のときか、就任のときかというものです。
またもやジョコウィファミリー絡みです。今度は次男が年齢にひっかかり、就任のときに30歳になっていればいいと押し通そうとして、最高裁で否決されています。ところが憲法裁判所で逆転し、就任時に30歳になればよいとなりました。
ご参考まで、大統領選のときに起きたことを説明します。
副大統領の候補者にジョコウィ前大統領の長男ギブラン氏を擁立するため、年齢制限は憲法違反として憲法裁判所を通してしまったんです。
市長経験者は十分な経験を積んでいるので、正副大統領の被選挙権を40歳以上とする年齢制限を当てはめるのは正しくないという主張です。ギブランはソロ市長だったのです。
これを通した憲法裁長官がジョコウィ前大統領の親族だったため問題となり、結局この長官は罷免されましたが、ギブランの立候補は認められ無事副大統領として就任しています。
こういう解釈でなんとかしようとするのは絶対にダメです。
きちんと議会で公職選挙法の改正案を通して立候補年齢を下げるべきです。
今回のケースは、議会が改正案を作り議会を通そうとしていますが、採決が選挙後となるため、ジョコウィ氏の次男の立候補はなくなりました。
小ネタ2
ジャカルタ特別州(日本でいえば都知事選)の選挙がおもしろいです。
当初は西ジャワ州の州知事であるリドワン・カミル氏が圧倒的に優勢と言われていました。
彼はバンドン工科大学出身の建築家/デザイナーで、バンドン市長時代にバンドンをアートの街として売り出したとても人気のある政治家です。
いつか大統領になるんじゃないかと思っている人気も実力もある素晴らしい政治家です。
彼が西ジャワ州知事の再選を目指さず、ジャカルタ州知事選を目指すことになった背景は、プラボウォ現大統領と、ジョコウィ前大統領の政敵であるアニス・パスウェダン前ジャカルタ州知事をつぶすためと言われています。
アニスを復活させると、5年後の大統領選の有力候補になってしまうからです。
アニスも人気のある政治家ですので、彼に選挙で勝って止めるにはリドワン・カミルしかいないというわけです。
並行して行っていたアニスの立候補を止める作戦が奏功し、アニスは立候補をあきらめました。
そうなると、逆にリドワン・カミルが将来の有力な大統領候補として育ってしまうリスクが出てきて、とたんにはしごを外し応援しなくなったという流れになっています。
もうドロドロの権力闘争です。
わたしはジョコウィは好きだったんですが、最近嫌いになりつつあります。権力というのは本当に恐ろしいものですね。どんな高潔な人でも腐敗します。
ちなみにプラボウォは最初から嫌いです。1998年のジャカルタ暴動のイメージが消えません。
リドワン・カミルに勝ってほしいけれど、どうでしょうね。ジャカルタ市民の良識にかかっています。
インドネシアの民主主義は危機を迎えていると言われていますので、なんとか踏みとどまってほしいです。
End