インドネシアを賑わす政治家の裏アカ問題 fufufafa(フフファファ)とは
ニュースとしては2週間くらい出遅れました。
授業で話が出てきて知り、調べるととてもおもしろいので古新聞になりつつありますが記事にします。
次期副大統領のギブラン氏に関する疑惑です。
ギブラン氏は現大統領ジョコ・ウィドド氏(通称ジョコウィ)の息子で、次期大統領プラボウォ氏とタッグを組み大統領選挙に勝ちました。
被選挙権の年齢制限を疑義の残るやり方でクリアしたため、ダーティーなイメージが知識人階層の間についてしまいました。
インドネシアに日本でいう2ちゃんねるのようなサイトがあり、Kaskus(カスクス)と言います。インドネシア語で噂話をKasuk-kusukといい、この略語がKaskusで、ゴシップネタが飛び交うサイトです。
ちなみにこのサイトは、わたしがジャカルタに駐在していた2007年頃にスタートし、わたしは投資したくて創業者に接触を試みたことがあります。結局会えませんでした。
アメリカ留学中の学生がアメリカで始めたサイトでした。
このKaskus内で暴言を吐きまくっていたfufufafa(フフファファ)という名のアカウントがあり、ギブラン氏の裏アカ(本人であることを隠した別アカウント)ではないかと噂され、政治問題になっています。
当然ですが、ギブラン氏本人は否定しています。
今から10年前の2014年から2019年にかけて活動していたアカウントで、彼が20代のころの若気の至りともいえる迂闊な行為が今になって火を噴いているわけですね。まだ本人と確定したわけではないですが。
みんな気を付けましょうね。
1.どんな暴言をはいていたのか
ギブラン氏はジョコウィ大統領の息子ですから、ジョコウィの政敵にあたる人への暴言があります。
スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領への悪口、現在パートナーのプラボウォ次期大統領へ悪口をしています。
ジョコウィ氏とプラボウォ氏は今でこそ手を組んでいますが、過去2度の大統領選を争った政敵で、第2期のジョコウィ政権になってからプラボウォ氏が内閣に入り、形のうえでは仲間になりました。
当時20代だったギブラン氏も、まさか自分がプラボウォ氏と大統領選でパートナーになる日が来るなど全く想像していなかったでしょう。
ギブラン氏のものと言われる裏アカに話を戻しますが、悪口のレベルがひどく、離婚歴の話、子供がホモ(Homo原文ママ)だとか、政治家やリーダーとしての資質を疑われても仕方がないつぶやきをしています。
政治家以外にも芸能人への誹謗中傷、スハルトの娘への誹謗中傷など、やりまくっているみたいです。
ドナルド・トランプを彷彿とさせます。
2.アカウントの紐づけは進んでいる
ここぞとばかりにインドネシアのネットオタクたちが調べまくっています。どの国にもいるんですよ。人物を特定してさらして喜ぶ人たちが。
すでに、アカウントに使われた電話番号が、ギブラン氏がソロ市長に立候補したときに登録した電話番号と同じことが明らかになっています。
使われていたメールアドレスからも紐づけが始まっているようです。しかもこのメールアドレスがポルノサイトの登録に使われているとか、次々と問題が拡散していっています。
オタクたちがこのメールアドレスを使い、ためしにどのサイトにアクセスできるか、要は登録者として認識されるかをしらみつぶしに当たっているのです。やたらとポルノサイトにつながるぞと大騒ぎです。
あー恐ろしい。
3.何が政治問題なのか
ジョコウィもプラボウォも事を荒立てたくはないでしょう。
今は政権移行期ですし、院政をしきたいジョコウィも、ジョコウィ人気を利用したいプラボウォも、少なくとも当面は仲良く協力関係を維持したいという意向が働きます。
そのためにはジョコウィの息子のギブラン氏がプラボウォ氏とうまく正副大統領として連携していかないといけません。
なので、政治圧力で裏アカの紐づけはストップされるでしょうし、ギブラン氏と関係ない人物のアカウントという方向に持っていくと思います。
実際、IT担当大臣がアカウントの所有者を明らかにすると言っていたのに、トーンダウンしてきていて、ギブランのアカウントと確定したわけではないと言い始めています。
データを消そうという動きもあります。
ギブラン氏は権力を握る立場になって良かったですね。
でも、将来の政敵にいつでも脅される弱みを握られた事実は重いです。データだって仮に消し去ったとしても、恰好の脅しのネタだから、誰かがコピーして残しておくでしょう。
握りつぶすのに協力した大臣や関係者はギブラン氏に恩を売ることができ、ギブラン氏は借りができたので、将来自分が権力を握ったときに報いなければならなくなります。
わたしなら、今の段階で「若気の至りでした。大変申し訳ありませんでした」と言って謝罪する方を選びますけどね。その方が絶対にダメージが少ないです。
犯罪を犯したわけではなく、人間性に疑いありとされるレベルの話です。20代と若く、父親の政敵をなんとか貶めようとやりすぎただけだと思います。
ギブラン氏はまだ若いし、将来的に大統領になるであろう人物です。ここは白状して身ぎれいになってほしいですね。
小池都知事の学歴詐称問題と同じで、嘘をつくと結局ずっと嘘をつき続けないといけなくなり、真実を知っている人間からいつでも脅されるリスクを負い続けます。
デジタル時代はおそろしいです。
データが簡単にコピーされていくし、消えないで残り続けます。
いつの日か、とんでもない昔の発言が掘り返されて叩かれるという事態が多発するに違いありません。
自戒の念も含め、気を付けましょう。