GDPにカウントされない地下経済の規模はどの程度あるのか
経済学の授業でGDPの話になり、GDPにカウントされないものの一つとして地下経済(Shadow economy)があるという話になりました。
ちょっとふれられただけだったのですが、わたしはインドネシアの地下経済はかなり大きいのではないかと気になり調べてみたのでご報告します。
結論は最後に持っていきます。
1.なぜインドネシアの地下経済は大きいと思ったのか
インドネシアにはなぞの職業がたくさんあります。
たとえば、バンドンのような都市には、勝手に交通整理をして小銭をもらっている人、車の駐車を手助けしてお金をもらっている人、市場で野菜や雑貨を仕入れて天秤棒で担いで売っている人、屋台を繰り出すひとたちがいます。おそらく彼らの大部分は納税していないでしょうし、天秤棒や屋台の人たちに物を販売したところまでしか把握できていないはずです。
旅行に行けば、オジェックやアンコタを紹介するだけの客引きや、荷物を持ってチップをもらおうと企む連中、様々なぼったくりにあいます。すべて表に出てこない活動でしょう。
バスやアンコタ、アプリではないオジェックの運転手たちは、みんな収入をちょろまかしているはずです。
さらにインドネシアに限ったことではありませんが、ワイロの世界があり、これも表に出てこないお金になります。
そもそも、ちゃんとした企業であっても、脱税しまくるのがインドネシアという印象です。税務職員と結託して彼らにワイロを渡して脱税を見逃してもらうという行為が少なくともわたしがジャカルタに駐在していた頃は普通でした。
インドネシアには3つ決算書がある。一つは銀行用に利益を多く計上しているもの、もう一つは税務署用に利益を少なく計上しているもの、3つ目は本当の決算書というわけです。
最近でも税務職員のボンボン息子が問題を起こしてニュースになりましたが、税務職員がなぜ金を持っているのか、その息子がボンボンなのか、ワイロ以外に考えられないです。
2.どうやってデータを取るか
世界銀行(World Bank)が調査結果をオープンにしています。
1990年から2020年の30年間にわたり、196か国をカバーしたデータです。
Dynamic General Equilibrium (DGE) モデルと、Multiple Indicators Multiple Causes (MIMIC) モデルを使って算出したとあります。わたしはどちらのモデルもマクロ経済の専門家ではないので、理解していません。
出てきた数字を見る限り、MIMICの方が国のランキングのイメージがしっくりきますので、個人的な感覚になってしまいますが、MIMICモデルの方があっていそうです。
なので、今回はMIMICモデルのランキングをお見せします。World Bankのデータはエクセルでダウンロードできますので、ご興味のある方はDGEモデルの方も見てもらえればと思います。
3.ランキング
ワースト10から発表です。わたしがエクセルのデータを悪い順に並び替えました。GDP比で何パーセント地下経済があるかというデータです。
1位のボリビアは64.2%ですから、GDPの6割強に匹敵する地下経済があるということですね。
まあこんなものでしょうね。あまり顔ぶれに違和感はありません。
次にベスト10の発表です。
日本は5位です。中国は??という感じはします。わたしの中では地下経済がかなり発達した国という印象です。額が大きいだけで、GDP比にすると低いのかもしれません。
電子マネーが普及しているので、現金取引よりも補足しやすくなっている可能性もあります。でも数字がずっと一定なので違うかも。
わたしの大学時代ですから30年前の話だと、地下経済が2割あると言われていました。
次にアジアに絞ったランキングです。
タイが意外に悪くて驚きました。
でもよく考えてみれば、あの国の政情は不安定で民主主義といえない状態なので、仕方ないかもしれません。フィリピンも同じですね。
賄賂が盛んな国でもあります。
インドネシアの地下経済がこんなに低いわけはないと思うのですが、実態はわかりません。
クラスメイトにこのランキングを見せたら、驚きつつもうれしそうでした。先進国の何か国かより地下経済の規模が低いというのは、それだけ透明性が高い経済ということですし、誇らしい気分なんでしょう。
気持ちはわかります。